甲斐みのりのコラム「東京映画散歩」

第14回:渋谷

『acteur(アクチュール)』5月号の連載「東京映画散歩」。第14回目に訪れたのは、田中絹代監督「恋文」、吉村公三郎監督「春雪」、成瀬巳喜男監督「稲妻」、フリッパーズ・ギター音楽「オクトパスアーミーシブヤで会いたい」の舞台、渋谷。駅前の忠犬ハチ公像やスクランブル交差点、センター街から円山町も、数々の映画に登場する繁華街。本誌で紹介の、「道頓堀劇場」「名曲喫茶ライオン」「恋文横丁跡」「千羽」「渋谷区立松濤美術館」以外の立ち寄りどころをご紹介します。

写真1

ギャラリーTOM

村山知義の息子・村山亜土夫婦が開設した私設美術館。
「TOM」とは大正期のダダイストグループ「マヴォ」の作家だった
知義の署名ロゴに由来。
視覚障害者として生まれ育った亜土夫婦の一人息子・錬の
「ぼくたち盲人もロダンをみる権利がある」という言葉から、
視覚障害者が彫刻に触れ美術体験できるような展示がおこなわれている。
渋谷区松濤2-11-1 03-3467-8102

写真2

B.Y.G

はっぴいえんど、はちみつぱい、頭脳警察と伝説のバンドがライブをおこない、
若き日の佐野元春も通ったライブハウス&ロック喫茶・バー。
今も遠藤賢司やBEGINなどが演奏する。
創業は1969年とまさにロックの年。
B.Y.Gとは、「ビューティフル・ヤング・ジェネレーション」の頭文字。
1万枚以上のレコードを有しリクエストもできる。
渋谷区道玄坂2-19-14 03-3461-8574

写真3

ムルギー

戦前にビルマ(現ミャンマー)を訪れた先代が現地でカレー作りを覚え、
昭和26年に創業したカレー専門店。
名物「玉子入りムルギーカレー」に盛られた三角形のライスは、
山登りが好きだったご主人の遊び心でエベレストに模している。
店名のムルギーとはひな鶏のことで、
十数種の香辛料とひな鶏を煮込んだルーは、独特の深みと味わい。
渋谷区道玄坂2-19-2 03-3461-8809

写真4

カフェ・テオ

映画美学校、ユーロスペース、オーディトリウム渋谷、シネマヴェーラ渋谷など、
映画にまつわるさまざまな施設が入居する「キノハウス」ビル1階のカフェ。
店名はレオス・カラックスが飼っていた犬の名前に由来。
映画館に持ち込みできるエスプレッソはアッパス・キアロスタミ監督が
1日3杯飲んだという映画ファンにはたまらない逸話が。
渋谷区円山町1-5キノハウス1F 03-5784-2427

写真5

たるや

「名曲喫茶ライオン」の向かい側。昭和6年に屋台からはじまった、
もんじゃ焼き、お好み焼き、焼肉などの鉄板焼きや、
土地土地の焼酎が揃う店。
テーブルに設置された鉄板で自ら調理と味付けをおこなう。
牛すじ煮と、昭和40年代からのメニュー「たるハイ」も名物。
ジャズが流れ、
ゆったりの座敷席もあるので大人数で集まるのにも重宝。
渋谷区道玄坂2-20-6 03-3461-3325

甲斐みのり

文筆家。旅や散歩、お菓子や手土産、クラシック建築にホテル、雑貨に暮らしなど、女性が好み憧れるモノやコトを主な題材に、雑誌や書籍に執筆。数校のカルチャースクールで、まち歩き講座の講師をつとめる。著書に『乙女の東京』『お菓子の旅』など。

 バックナンバー

第19回:向島界隈

第18回:高円寺

第17回:築地

第16回:東京駅~丸の内

第15回:浅草

第14回:渋谷

第13回:上野駅

第12回:上野恩賜公園

第11回:人形町

第10回:雑司が谷

第9回:聖蹟桜ヶ丘

第8回:椎名町

第7回:新宿

第6回:阿佐ヶ谷

第5回:東京タワー

第4回:神楽坂

第3回:井の頭公園

第2回:谷根千

第1回:神保町

帯

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