リトル・エッラの映画専門家レビュー一覧

リトル・エッラ

スウェーデン出身の作家ピア・リンデンバウムによる絵本を原作に「ロスバンド」のクリスティアン・ローが映画化。人付き合いが苦手なエッラが唯一仲良くできるのは、おじさんのトミーだけ。両親が休暇で出かける間、エッラはトミーとの時間を楽しみにしていたが……。主人公エッラを演じるのは本作で長編デビューを飾るアグネス・コリアンデル。
  • 文筆業

    奈々村久生

    好きなものにだけ囲まれていたい、そうじゃないものとは関わらなければいい。そんなシンプルな世界に生きていたはずのズラタン(エッラ)が、大好きな人の恋人という存在に向き合うのは、自分と違う「他者」を尊重し受け入れる体験に他ならない。子どもらしい発想を駆使したユーモラスな演出でラッピングされているとはいえ、彼女がその現実を知らなければならないことを思うと切なくなる。これをしっとりといい話ふうにせず、ズラタンの感情や衝動のパワーに寄り添った見せ方が心地よい。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    友だちがいないから恋愛ばかりしてる人も、好きになってはいけないことになってる人を好きになる人も、不潔でグロテスクってことになってる小動物が親友な人も、誰がしたのかわからぬ大便と対話する幼女(エッラや、Dr.スランプのアラレちゃん)も存在する。みんな反道徳的かもしれないが非倫理的ではない。嫉妬は嫉妬する人自身を苦しめるから、幼い人が嫉妬してたら大人はその幼い人を愛さなくてはいけない。心が幼い人に対しては欲望は向けず、愛することだけをしなければならない。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    確かに子どもにとって、休暇を唯一好きな親戚のおじさんと楽しめないのは残念なことだ。だが子どもが嫉妬から行う悪戯によって、大人たちが恋愛関係に終止符を打ったりするのは、真に受けすぎている。その子が後々大人になって自分のやったことを思い返したら、生きた心地がしないんじゃないだろうか。外国人で言葉が通じないとか、美術館の安っぽいアートなど、古典的ギャグがキツかった。一番魅力的なキャラクターは転校生のオットーだ。彼の暗いが一途な佇まいは存在感がある。

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