出演作120本目!吉永小百合、この映画が最後かもしれない?最新作インタビュー

2018年3月8日


(c)2018『北の桜守』製作委員会


吉永小百合の通算120本目となる『北の桜守』は、『北の零年』(2005年)、『北のカナリアたち』(2012年)に続いて“北の三部作”のファイナルを飾る一大巨篇だ。太平洋戦争が終結したかと思いきや、旧ソ連軍の侵攻によりサハリン(旧樺太)を追われ、息子たちを連れて北海道・網走へとたどり着いた“江蓮(えづれ)てつ”の果てしなき大河のごとき人生。本作で彼女は、30代後半から60代後半までを演じ切っている。


出演作120本目は“節目”であり“通過点”であり

―― まずは、完成した映画の手応えから聞かせていただけますか。

吉永 6カ月間かけて作りあげたのですが、観てくださる方々に何かを投げかけるような作品になったと思います。戦争のこと、あの時代のこと、それから、生きていくということ……きっといろいろと感じていただけるのではないでしょうか。

―― 心境的に、120本目というのは“節目”ですか、それとも“通過点”ですか?

吉永 両方です。自分としては最初は、ただひたすらに「良い作品を!」って気持ちだったんですね。ところがクランクインの前あたりから、ひとつの“区切り”の意識が強くなりました。「ちょうど120本、これで終わりにしてもいいのではないか」とか、「もしかしたらこの映画が最後かもしれないなあ」と。ただその消え方って難しくて、今、原節子さんのように姿を消し、伝説の中で生き続けることはできないですよね。特に私は原さんと違って、泳いだり、普段も積極的に外へ出たいタイプ。ならば可能な限り、このまま好きな仕事に身を投じていくほうがいい。しかもいざ撮影が終わってみたら、とても充実した時間を過ごせて、映画の世界をもっと歩いていきたいという気持ちが増したんです。どこまでやれるか分からないけれど、挑戦してみたいです。とは言っても120本ですから、金属疲労というのはすごくありますよ。本当に。


語るべき歴史の一端にアプローチできた

(c)2018『北の桜守』製作委員会

 

―― 映画の舞台が、改めて北海道になったのは吉永さんの希望だそうですね。

吉永 製作に東映さんが名乗り出てくださって、できれば北海道で撮影していただけたら嬉しい、と私が申し上げました。『北のカナリアたち』を稚内で一緒に作った高橋一平さん……高橋さんは“最北シネマ”という映画館の社長で、今回もアソシエイトプロデューサーで参加なさっているんですけど、ある想いをずーっと持っていらしたんですね。“北のひめゆり事件”とも呼ばれる樺太の悲劇、ソ連軍の侵攻のさなか、9人の女性電話交換士が自決した真岡郵便電信局事件を映画で描けないかって。それでこのことを含めて“終戦後”の、南樺太の市井の人々の受難も皆さんの記憶にとどめていただけたらと、私も滝田(洋二郎)監督も思ったんです。

―― そうした信条を軸に、個人の力を超えた、歴史に翻弄される人々の代表として吉永さん扮する“江蓮てつ”とその家族の苛烈なドラマが綴られていきます。

吉永 もし戦争が起きていなかったら、この家族は樺太で、幸せに暮らしていたはず。けれども夫は徴兵に取られ、“てつ”は引き揚げ者として息子たちと網走に逃げざるを得なかった。そういう方々がたくさんいるんですよね。私は以前、対馬丸という沖縄の学童疎開の船がアメリカの潜水艦の攻撃を受け、無数のお子さんが亡くなった太平洋戦争中の史実を映画にできないかと考えたことがありましたが、南と北の違いはあっても、語るべき歴史の一端にアプローチできて良かったです。それも単にメッセージを打ち出すのではなく、映画的な潤いとともに大切な史実を物語に溶け込ませることができて。

インタビューの続きは現在発売中の『キネマ旬報3月下旬業界決算特別号』に掲載。撮影時のエピソードや今後の映画に対する想いなどをたっぷり語っている。

『北の桜守』 2018年・日本・2時間6分 監督:滝田洋二郎 脚本:那須真知子 出演:吉永小百合、堺雅人、篠原涼子、岸部一徳、高島礼子、永島敏行、笑福亭鶴瓶、中村雅俊、阿部寛、佐藤浩市 配給:東映 ◎3月10日(土)より全国にて (c)2018『北の桜守』製作委員会

取材・文=轟夕起夫/制作:キネマ旬報社

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