作品世界のリアリティを探求する『パンク侍、斬られて候』綾野剛インタビュー

2018年6月25日


撮影=平岩享

作品世界のリアリティを探求する『パンク侍、斬られて候』綾野剛インタビュー

『パンク侍、斬られて候』の綾野剛は、いい加減なのにかっこよく、笑えるけれど色っぽい。さまざまな顔を見せていよいよ魅力的だ。『キネマ旬報』2015年5月下旬号以来の表紙を飾る綾野に、新作『パンク侍』について、および俳優としての現在を尋ねる。

――この映画に主演するという話は、どのように始まったのでしょうか

綾野 クランクインする1年半くらい前に、『新宿スワン』(2015年)の公開前配信の際にお世話になった、dTVの方からお話をいただきました。監督も僕たちも、主役を綾野剛さんにやってもらいたいと思っている、と。そのときイメージキャストを見せてもらって、ヒロインについてはまだ何もイメージがなかったのですが、男性キャストはほぼそのままこの映画にキャスティングされています。なかなかそういうことはないです。

最初は配信のみの企画と聞いていました。配信の作品は僕も観ていますし、素晴らしい海外ドラマなどありますから、現在では配信に対して今までと違う向き合い方をしていかなければいけないと思っていますが、当時の僕は、映画とドラマに育てていただいたという意識が特に強く、ましてや町田康さん原作で石井岳龍さんが監督する作品であれば、配信ではなく映画館で上映するのが一番いいのではと。そのあとすぐにいろいろなことが具体化し、映画化する運びになりました。

掛十之進(かけじゅうのしん)は、自由度がある役でした

撮影=平岩享

――原作は町田康さんの小説ですが、読んでから撮影に臨まれましたか。また、撮影前に原作を読むか読まないかを、綾野さんはどのような基準で決めているのでしょうか。

綾野 今回は読んでいません。原作が小説の場合、読んでほしいと監督から指示があった場合のみ読むようにしています。小説の登場人物の表情などは、読む人の想像力にまかされますよね。こちらが読んでイメージを持ってしまうと、監督の演出の妨げになることもある。漫画が原作の場合は必ず読みます。キャラクターの表情や服装、髪型などが全部絵で描かれていますから。

――脚本を読んで、掛十之進(かけじゅうのしん)をどのようなキャラクターだととらえ、どのように役に入っていこうと考えられましたか。

綾野 ただのプータローだとか、適当な男というだけじゃなく、野心もしっかり持っている。チャーミングさもあり、道徳に反することをする一方で道徳に準じようとするところもある。相手や状況によってキャラクターが変わる、わかりやすく言えば一人十色なんです。だからシーンごとに、別に人間性やキャラクターが変わってもいいと振り切っていました。幕暮(まくぼ・染谷将太)に対しては「おまえ年下だぞこの野郎」と、魂次(こんじ・渋川清彦)に対しては、同列か少し下ぐらいに思っていたし。すごく自由度がある役でした。

キャラクターのイメージが色で表現されている


撮影=平岩享

――キャラクターを作る上でとても衣裳が力を持ったのではないかと想像するのですが、いかがでしたか。

綾野 衣裳師の澤田石和寛とはいろいろな作品を一緒にやらせてもらっていますし、石井岳龍組では全部やってくれているので、ほぼ彼にまかせていました。台本を読んだときは自分の衣裳のイメージは赤だったんですが、監督が水色を指定されました。それぞれのキャラクターのイメージが、色で表現されているんです。オサム(若葉竜也)だったら自然界だとか。石井監督のアイディアを見事に具現化した。素晴らしいなと思います。

インタビューの続きは『キネマ旬報』7月上旬号に掲載。今号では、「俳優×監督 危険な共犯者たち」と題して『パンク侍、斬られて候』巻頭特集をおこなった。綾野剛のインタビューほか、綾野剛×石井岳龍監督の対談、浅野忠信や豊川悦司、町田康のインタビュー、作品評を掲載している。(敬称略)

あやの・ごう/1982年生まれ、岐阜県出身。2003年に俳優としてデビュー。『Mother』(2010年)『カーネーション』(2011年)などのTVドラマで人気を博し、以降、映画、テレビ、舞台と各方面で活躍。『横道世之介』『夏の終り』(2013年)で日本アカデミー賞新人男優賞を、『そこのみにて光輝く』『白ゆき姫殺人事件』(2014年)でキネマ旬報ほか各賞の主演男優賞を独占。他の映画作品に『リップヴァンウィンクルの花嫁』(2016年)『亜人』『ラストレシピ~麒麟と舌の記憶~』(2017年)など。

取材・文=篠儀直子/制作:キネマ旬報社

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