その生き様に惚れる!! 牙を剥くアウトロー映画の男たち

2018年9月11日


(C)2018「孤狼の血」製作委員会

その生き様に惚れる!! 牙を剥くアウトロー映画の男たち

今年5月に公開された映画『孤狼の血』のヒットが記憶に新しいが、これまでこのような“闇社会”をテーマに数多く作られ、高い人気を博してきた「アウトロー映画」。そしてそんな作品の魅力をさらに引き立たせるのが、“アウトロー”なキャラクターたちの存在だ。

クールなスーツに身を包み、スマートに組織を牛耳る男から、自分の信念のためなら容赦なく暴れ狂う熱い男まで、その姿は様々。そんな社会とは一線を画し、命がけで闘い続ける姿にロマンや憧れを抱いてきた人も多いだろう。そこで今回、映画ファンたちの心を掴んできた歴代のアウトロー映画をピックアップ。各時代の代表的な作品を、“アウトロー”な登場人物たちの魅力と共に紹介する。

【1970年代<洋画>】『ゴッドファーザー』シリーズ (1972年~・米)


発売・販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社

マフィア一族の運命を綴った映画史に残る名作

ニューヨークを拠点にするマフィアのコルリオーネ一家がたどる興亡を見つめた傑作シ リーズ。マフィアというアウトローばかりの集団ではあるものの、その中で繰り広げら れるのは父子の確執と和解、兄弟間の嫉妬や羨望。どの家族にも起きる出来事ではあるが、彼らが身を置く環境が環境なだけにそれらが暴力と死を招いてしまうという展開が切ない。

【その他の観ておきたい作品】
『ダーティハリー』/『デリンジャー』/『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯』/『タクシードライバー』

【1970年代<邦画>】『仁義なき戦い』シリーズ (1973年~)


発売・販売元:東映ビデオ

リアルなヤクザ像を描いた現代任侠映画の原点

終戦直後の広島を舞台に起きる暴力団抗争を、菅原文太演じる広能昌三を軸に活写。登場するヤクザは組への忠誠心よりも己の欲望を重んじ、策略を張り巡らし、親分や手下を平然と裏切る狡猾で冷酷な者ばかり。彼らの凄まじい激突ぶり、鮮烈な暴力描写が支持を集めた。『~広島死闘編』に登場する大友勝利の狂気に満ちた姿は、後の極道映画におけるヤクザ像に大きな影響を与えている。

【その他の観ておきたい作品】
『日本やくざ伝 総長への道』/『県警対組織暴力』/『最も危険な遊戯』

【1980年代<洋画>】『男たちの挽歌』(1986年・香港)


発売・販売元:ツイン/NBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社

ガンアクションの美学に酔う元祖香港ノワール

裏社会で名を馳せるも転落した男たちの生き様を壮絶な銃撃描写満載で描き、“香港ノワール”というジャンルを確立したクライムアクション。楊枝代わりのマッチ棒を常に咥え、ロングコートの裾を翻しながら2丁拳銃を乱射するチョウ・ユンファ扮するマーク。その姿は香港映画=カンフーのイメージを抱いていた当時の観客には鮮烈に映った。

【その他の観ておきたい作品】
『グロリア』/『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』/『アンタッチャブル』

【1980年代<邦画>】『夜叉』(1985年)


発売・販売元:東宝

黄金コンビが放つ、過去を抱えて生きる男の物語

『冬の華』などの名作を放ってきた黄金コンビ、高倉健と降旗康男による作品。極道だった漁師が、ある女との出会いを機にその過去を露わにする。男気や寡黙な男は古いものとされていた80年代。そんな状況だからか、無口な“人斬り夜叉”という主人公が一巡して輝いて見えた。彼と対峙する小悪党に扮したビートたけしの力演も必見。

【その他の観ておきたい作品】
『竜二』/『極道の妻たち』シリーズ/『その男、凶暴につき』

【1990年代<洋画>】『グッドフェローズ』(1990年・米)


発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

裏社会の頂点に上り詰めた男と仲間の実録ドラマ

50~80年代に悪名轟かせたマフィア、ヘンリー・ヒルの実体験をベースにした犯罪ドラマ。大統領よりもマフィアになりたかったという彼がその夢を果たし、何のためらいもなく違法賭博、現金強奪、殺人、麻薬密売に手を染めてのし上がる姿は恐ろしいがどこか清々しくもある。その非道さには驚くも、ここまで潔いと逆に好感が持てるキャラクターだ。

【その他の観ておきたい作品】
『パルプ・フィクション』/『レオン』/『ヒート』

【1990年代<邦画>】『ソナチネ』(1993年)


発売・販売元:バンダイナムコアーツ

破滅の道を歩む男を静かに激しく描くバイオレンス

沖縄で勃発した抗争の手助けを命じられたヤクザが、次々と手下を失う中、裏で蠢く計画を知る。すべての破滅を願うかのように死を振りまく一方で、手下たちと童心に戻って遊びにふけるヤクザの村川。その描写のコントラストに、異様さと恐ろしさを感じつつも引き込まれてしまう。北野作品独特の色調 “キタノブルー”の冷たい美しさも際立っている。

【その他の観ておきたい作品】
『GONIN』シリーズ/『シャブ極道』/『HANA-BI』/『不夜城』

【2000~2018年<洋画>】『友へ チング』(2001年・韓国)


発売・販売元:ポニーキャニオン

幼馴染みのヤクザ者が辿る哀しき結末

幼馴染み同士として固い絆と友情で結ばれた男たちが、敵対する組織のヤクザとして向き合ってしまう姿を見つめたドラマ。闘うことなど避けたいはずなのに、組織への忠誠心やヤクザとしての見栄、子分への示しをつけるため、彼らが選ぶ選択が何とも哀しい。アウトローが抱える悲哀を描いた傑作。

【その他の観ておきたい作品】
『インファナル・アフェア』/『ドライヴ』/『新しき世界』/『夜に生きる』

【2000~2018年<邦画>】『アウトレイジ』シリーズ(2010年~)


発売・販売元:バンダイナムコアーツ

命を賭けて鎬を削る侠たちの壮絶な抗争劇

北野武が監督と主演を務めた、極道映画シリーズ。関東一円を治める暴力団の内部抗争を、武闘派ヤクザ・大友を軸に活写する。自ら戦いの場に立ち、上層部からの無理難題にも寡黙に従い、子分たちの身を案じる大友の男気溢れる姿は印象深い。凄惨なバイオレンス描写だけでなく、銃弾のように飛び交う威嚇の言葉にも圧倒される。

【その他の観ておきたい作品】
『座頭市』/『映画 闇金ウシジマくん』/『新宿スワン』シリーズ/『日本で一番悪い奴ら』

 

時代と共に数々の名作が生まれ、長年愛され続けているアウトロー映画。派手なアクションシーンやバイオレンス描写、役者たちの熱演に惹きつけられるだけでなく、そこに込められた切ない人情ドラマもまた、映画ファンがこのジャンルにハマってしまう要因かもしれない。そんな中、11月2日には、『仁義なき戦い』にインスパイアされた作品として話題を呼んだ衝撃作『孤狼の血』DVD・ブルーレイが発売する。本作をDVDで堪能する前に今一度、昔のアウトロー映画を見返し、その魅力と時代の懐かしさに浸ってみるのはいかがだろうか?

『孤狼の血』


発売元:東映ビデオ/販売元:東映
11月2日発売

文:平田裕介/制作:キネマ旬報社