3分の予告編が、予算3千万の長編映画デビューをつかむ!?

2018年9月25日


第2回グランプリ『猿楽町で会いましょう』 (C)2018 オフィスクレッシェンド

3分の予告編が、予算3千万の長編映画デビューをつかむ!?

「未完成映画予告編大賞〜MI - CAN」は、2016年にスタートした新人発掘の公募プロジェクト。「作りたい映画の予告編を3分以内で作成し、脚本またはプロットをつけて応募してください。グランプリ受賞者には賞金100万円、そして制作費3000万円およびできる限りのサポートを提供して映画化します」という企画で、主催は、堤幸彦、大根仁、平川雄一朗ら俊英クリエーターが所属するオフィスクレッシェンド。最終審査には堤、大根、平川らオフィスクレッシェンドのメンバーに加え、岡田惠和、川村元気ら、まさに映像の現代をリードする審査員が並ぶ。

第1回のグランプリ『高崎グラフィティ。』(川島直人)は映画が完成して現在公開中だ。第2回グランプリ『猿楽町で会いましょう』(児山隆)の撮影もまもなく開始。そして第3回目の募集が10月1日にスタートする。『猿楽町で会いましょう』で第2回グランプリに輝き、映画監督デビューへの道を開いた児山隆監督に、受賞の喜びの声とともに、本公募プロジェクトへ参加したきっかけ、その魅力をうかがった。

「俺、いつか映画を…って言ってたよな」


第2回グランプリ・児山隆
(C)キネマ旬報社

『猿楽町で会いましょう』は、一言で言えば「嘘ばかりつく女の子の話」。ラブストーリーだけどラブストーリーの構造じゃない、ミステリーとかサスペンスの体に落とし込んでいくと面白いんじゃないかな、と考えて作りました。

僕は普段は広告の映像を監督する仕事をしていて、テレビCM等に携わっています。昔から映画を作りたくて、最初は、助監督として映画業界に入りました。その後、長編を撮れるという機会が何度かあったんですが、いろいろあって実現しないままで。広告の監督をするようになって、ドラマ仕立ての広告などもやらせてもらえらるようになってきたんですが、ただふと「俺、いつか映画を…って言ってたよな」って。大人になると、「いつかやろう」は「忙しい」を理由に、だんだんチャレンジしなくなるじゃないですか。

そしたら、僕が以前から知ってた川島直人くんが「第1回でグランプリを取って映画を撮る!」と聞いて。うわわ、これはいかん、腰を上げた者が結果を出してるんだ、腰上げないことがたぶん罪だ、と思った(笑)。と言っても第2回募集の時期が近づいたときは一旦衝動も収まってたんですけど、締切が迫ってくると、いよいよやらなきゃという気持ちが再び湧き上がり、仲間のカメラマンやスタッフたちに都合を聞いて、日程が決まったら中身を大急ぎで決めて撮って仕上げて応募しました。

映画をやりたい人は、やらない手はない


(C)2018 オフィスクレッシェンド

広告の仕事をしてたことが活きてたとは思いますが、それも実際に予告編を撮ってみてわかったこと。賞を取ってから、ありがたいことに、映像のいろんな方面の方から声をかけていただいて、仕事の幅も新たな方面に広がりました。最近では新潟のアイドルグループ「NGT48」のショートムービー「短い夏の、さよなら」という作品を撮らせていただきました。それもこの予告編がきっかけです。『猿楽町で会いましょう』の撮影は年明けを予定していて、現在はキャスティングと脚本に掛かっています。

僕が思うに、MI - CANって、めちゃくちゃいい企画だと思うんですよ。「商業作品でデビュー作が製作費3000万円相当!」なんて、普通に考えたら、ほぼない。映画をやりたい人は、やらない手はない。応募しないのは本当に本当にもったいない! と思います。

「強い作家」を作ろうとしている


(C)2018 オフィスクレッシェンド

予告編なら、作り手のエネルギーの意思を突端させて表現できる。ゴリゴリのCGでもいいし、怪獣映画でもアクションでも、一つの表現を突き詰めたら、絶対目に留まることに結びつくと思う。それが商業映画までたどり着く企画なんて他にはほとんどないし、すごく面白いと思います。

そしてこの企画は、オリジナル脚本で作家を作ろうとしている試みですよね。強い原作・強いキャストじゃなくて、「強い作家」を作ろうとしている。昔のATGではないですけど、若い作家に対しての「作家性」みたいなものをきちっと育てる土壌だとも思うんです、僕は若くないですが・・(笑)

僕は2回目のグランプリをありがたくいただいきましたが、3回目、4回目の活気ある応募作に期待しています。そして僕は、本制作に全力で取り組みます。できれば、というか、それが傑作になるように…。そうすることで、日本の映画界自体がもっともっと面白くなると思うから。

第2回 未完成映画予告編大賞 『猿楽町で会いましょう』


インタビューの続きは『キネマ旬報10月上旬号』に掲載。その他、本プロジェクトの事務局リーダー神康幸、第1回グランプリ『高崎グラフィティ。』川島直人監督へのインタビューもおこなった。(敬称略)

取材・文=キネマ旬報 編集部/制作:キネマ旬報社

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