新世紀の“女優で映画監督”、その情熱の行方は?

2018年10月12日

PFF2018出品作品『最期の星』撮影現場の小川紗良(左)/『脱脱脱脱17』(2016年)撮影現場での松本花奈(右)

新世紀の“女優で映画監督”、その情熱の行方は?

小川紗良と松本花奈。女優であり映画監督である90年代後半生まれの若いふたりが、いま、わたしたちが生きる時代に活躍をしている。

田中絹代らを想起するまでもなく、女優たちが監督をすることは日本映画史上、特殊なことではないかもしれない。だが、じっくり女優経験を積んでから監督をするのではなく、若くして芸能活動を開始した20代はじめの女優たちが、その世界観と映画観を長篇映画によって観客へ問うことは、デジタル技術が可能にした「新世紀の面白さを告げる事件」といえるだろう。

ふたりの歩み

W主演作『聖なるもの』(2017年)、小川役の小川紗良

ふたりの歩みは一様ではない。小川紗良は、高校時代のモデル活動から芸能活動を開始、映像も撮りはじめた。早稲田大学で『万引き家族』(2018年)の是枝裕和監督の教えを受けながら、『最期の星』(2018年)を監督。PFFにもノミネートされ注目を浴びる一方、10月からは女優として日本テレビ系のドラマ「ブラックスキャンダル」出演が決定している。

松本花奈は根岸吉太郎監督の『サイドカーに犬』(2007年)などで子役として活躍。中学生の頃から映像作品を作り始めた。ここ数年、女優としての出演作はないのが気がかりだが、映画にテレビドラマにMVと、20歳にして映像を監督をすることをひたすら楽しみ、謳歌しているようにみえる。

撮影現場の「熱」

『脱脱脱脱17』(2016年)撮影現場での松本花奈

ふたりの“女優で監督”の意識を知りたくて12の同じ質問をしてみた。興味深いのは女優と監督に通底するものとして撮影現場の「熱」「パッション(=情熱)」とほぼ同一の答えをしたことだ。スタッフ&キャストの作品に向かう熱と熱が発散され合う撮影現場で、自分自身の熱を十全に燃焼させること。そこにふたりは「この世界に生きることの魅力」を見出しているのかもしれない。ふたりの情熱の行方は、いずこへ? わたしたちは、その情熱を追いかけ、受け止め続ける権利を持つ同時代人だ。

映画を咲かせる新世紀の“女優で監督”に12の質問!

1 最初に「女優になりたい」と思ったのはいつ、どうしてですか?
2 最初に「映画を撮りたい」と思ったのはいつ、どうしてですか?
3 はじめて女優として演技をしたときの感想は?
4 はじめて映像を撮ったのはいつ、何を撮りましたか?
5 人生最愛の映画は?
6 スマホの動画撮影機能で最近何を撮りましたか?
7 演じることと撮ることに通底していることがあれば教えてください。
8 これから(も)、自作自演で映画を撮りたいですか?
9 他の映像と映画との根本的な違いはなんだと思いますか?
10 映画最新作の着想はどんなところから生まれましたか?
11 女優を生涯、続けていきたいですか?
12 映画監督を生涯、続けていきたいですか?

ふたりの12の質問に対する回答は『キネマ旬報』10月下旬号に掲載している。今号では、「映画を咲かせる二十代の女優たち」と題して女優特集をおこなった。黒木華、門脇麦、夏帆、趣里らへの取材のほか、今後の日本映画界で活躍が期待される女優6名なども紹介している。(敬称略)

小川紗良(おがわ・さら)/1996年生まれ、東京都出身。高校時代モデルとして芸能界に入る。女優として2016年『イノセント15』、2018年『聖なるもの』、『ウィッチ・フウィッチ』にW主演。2018年『リバーズ・エッジ』『さかな』、テレビドラマ「ブラックスキャンダル」に出演。監督作品として2016年『あさつゆ』、2017年『BEATOPIA(ビートピア)』、2018年『最期の星』。

松本花奈(まつもと・はな)/1998年生まれ、大阪府出身。子役として数々の作品に出演。中学生の頃から映像制作をはじめる。監督作に『脱脱脱脱17』(2016年)『スクールアウトサイダー』(2017年)『過ぎて行け、延滞10代』(2017年)『21世紀の女の子』の『愛はどこにも消えない』(2019年公開予定)、テレビドラマ「平成物語」(2018年)「恋のツキ」(2018年)など多数。

文=『キネマ旬報』編集部/制作:キネマ旬報社

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