誰かに教えたくなるシネマ<11月号>

2018年10月31日

誰かに教えたくなるシネマ

wayf_bord

毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!

<11月リリース作品>

ごく普通の青年のありふれた恋愛話

『Love,サイモン 17歳の告白

 

  20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより10月24日リリース

 

 

(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

【STORY】

サイモンは両親と妹の家族、幼馴染みの親友たちに囲まれて暮らす17歳の高校生。彼は自分がゲイであることを告白するか悩んでいたが、ある日、ブルーという実名を隠したゲイの同級生がいることを知り、匿名で連絡をする。

 【オススメCOMMENT】                                                              

殊更シリアスな状況になったり、悲劇的な結末が多いLGBT映画に対し本作は、同性の恋愛を異性のそれと同じように扱っている点に好感の持てる、軽やかな快作。それにしても、主人公・サイモンの幼馴染みである女の子の健気な姿は泣ける。かれこれ15年くらいに亘って秘かに好きでいるサイモンにある晩、「ひとりの人を想い続けて苦しいの」と告げる。遠回しな台詞だが、精一杯の告白はしかし…。サイモンの恋の顛末の一方、中盤以降の彼女の切ない恋にも、是非ご注目あれ。

 

その村に帰ったら、最後。

『アルカディア

 

  クロックワークスより11月2日リリース

 

 

(C)2017 Arcadian Film

【STORY】

カルト集団と呼ばれる村“アルカディア”を10年前に脱走したジャスティンとアーロンの兄弟は、社会生活にうまく馴染めずいた。ある日村から送られてきた1本のビデオテープをきっかけに、ふたりは再び村を訪れることに。

 【オススメCOMMENT】                                                              

兄弟の日常を揺るがし、懐古心を誘った1本のビデオテープ。ちょっと里帰り、のつもりだったのにとんでもない村にまた迎えられてしまった…。村人たちは奇妙にも変化がないし、月は3つ出るし、超常現象が立て続けに起こる。異常だとわかっているのに、どこか静謐なテンションで、“何か”に近づいていってしまう様は最高に気味が悪い。集団自殺でも洗脳でもない、もっと恐ろしい真実を知った時、もう逃げることは不可能。そう、この村に一歩でも入った者は否応なしに“永遠”となるのだ。



ふたりが出てるってだけで合格!

『スティール・サンダー

 

  インターフィルムより11月2日リリース

 

 

 

(C)2018 BLACK WATER LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

【STORY】

CIAの極秘情報流出を捜査する中で、テロリストの収容施設に改造された米国の潜水艦に拉致されたウィーラー。データの鍵を吐かせようと迫るCIAのエドワードから逃れようと、独房に幽閉されていた謎の男に協力を求める。

 【オススメCOMMENT】                                                              

ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ドルフ・ラングレン。90年代のふたりを思うと、やはり懐かしい。未だ現役、第一線で身体を張るエージェントをヴァン・ダム、囚われの身ながらどこか優雅に幽閉生活を楽しむ男をドルフ・ラングレン。ヒット作を求めもがき続けるヴァン・ダムに、超インテリで、あまり俳優業にこだわりを感じないドルフ・ラングレンという、これまでの俳優としての歩みに重なるような、本作のふたりの役どころが泣けます。そんなふたりの初めての“共闘”作品としても必見です。



後を引きずる緊迫感MAXの脱出劇

『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~

 

  ハピネットより11月2日リリース

 

 

 

(C)2017 SHOWBOX AND THE LAMP. ALL RIGHTS RESERVED.

【STORY】

1980年5月、民主化を求める民衆デモが起こり、光州では軍が厳戒態勢を敷いていた。ソウルのタクシー運転手マンソプは、「通行禁止時間までに光州へ行ったら大金を払う」というドイツ人記者を乗せ、目的地を目指すが…。

 【オススメCOMMENT】                                                              

最初こそ金目当てだったが、民衆デモの真実(光州事件)を報道したいという外国人記者に心ほだされ、彼を目的地まで連れていき、そして出口が封鎖されている中、何としてでも脱出させるという超無理難題。この無慈悲な絶体絶命感は『クーデター』や『アルゴ』に通じるものすらある。その時実際にどんな惨事があったかには正直目を覆いたくなるが、突如始まるクライマックスのカーチェイスなど、控えめに言っても超感動もの。最後につく粋な嘘までかっこ良いのは、やっぱりソン・ガンホだ。



あるアンチヒーローの切なき人生

『バンディット
実在した最強無敵の銀行強盗

 

  ニューセレクトより11月2日リリース

 

 

 

(C) 2017 Viszkis Film Kft. All rights reserved.

【STORY】

ルーマニアで辛い少年期を過ごし、ハンガリーに亡命したアティッラ。プロのアイスホッケー選手になるも、市民権を持っていないため恋人との将来も描けずにいた。追いつめられた彼は銀行強盗に手を染めてしまい…。

 【オススメCOMMENT】                                                              

バーでウィスキーをひっかけ、酒の香りを漂わせながら襲撃するという小洒落たスタイルの強盗犯を描いた実話。“怪盗ウィスキー”として世間の人気者にまでなるが、命がけで亡命し、人生をやり直そうとしていた青年を犯罪に追い込んだのも「世間」、彼を“アンチヒーロー”として祭り上げたのもまた「世間」だった。そんな切ないドラマがありつつも、迫力満点の逃走劇と、しれっとカメオ出演しちゃってる本人のお茶目さがエンタメとしてしっかり作品を盛り上げている。激推しです!



ノリノリで楽しい北欧アニメ

『レスキューせん エリアスと海ではたらく仲間たち

 

  トランスフォーマーより11月2日リリース

 

 

 

2017(C)Animando Qvisten Animation Bømmelfjord SF studios Sola Media

【STORY】

小さなレスキュー船エリアスは、ある任務での活躍が認められ、大都市ビッグハーバーのレスキュー船として働き始める。そしてある日、洞窟で採れるという金属“ノルウェジウム”を違法採掘している船を発見するが…。

 【オススメCOMMENT】                                                              

田舎育ちの小さなレスキュー船が都会デビュー&イケイケお姉さん船に一目惚れ!という人間っぽい展開が親しみやすい(インスタやスマホまで出てくる)だけでなく、悪事に立ち向う姿や仲間の大切さに気付くドラマ性もしっかり押さえている良作。CGのクオリティも高く、港町の夜景、オーロラなど美しい描写にはうっとりします。そんな中ちょいちょい盛り込まれたB-BOYキャラやパーティシーンなどのヒップホップ感。流行なのか製作陣の趣味なのかが気になるが、そこもノリノリで楽しめちゃうYO!

■前回の誰シネ(10月リリースタイトル)はこちらから


 

(C)Maipo Film AS Subotica Ltd. Sirena Film s.r.o.

【STORY】

19 世紀半ばのノルウェー。貧しい家庭に育つ三人兄弟の末っ子エスペンは、政略結婚から逃れてきた王女・キリステンと出会い惹かれあうが、彼女はトロールに拉致されてしまう。エスペンは兄弟らと共に救出に繰り出すが…。

 【オススメCOMMENT】                                                              

18歳までに結婚しなければ、王女はトロールにさらわれるという期限つきの伝承は末恐ろしい。王女を見つければ彼女と国の半分をもらえることから、己の欲望真っしぐらの王子と、家を焼いてしまったがためにお金が必要な村の子エスペン兄弟たちが、水中、洞窟の中をかけめぐり、巨大トロールに出会うため、あの手この手で大奮闘。トム・ホランド似のイケメン、エスペンのトロール撃退術は目からウロコ…。夢のような幻覚を見せるあの金色の林檎は、ある意味毒リンゴより罪なアイテムかも。