誰かに教えたくなるシネマ<1月号>

2018年12月27日

誰かに教えたくなるシネマ

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毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!

<1月リリース作品>

ひと夏のランデヴーと予想外の悲劇

女と男の観覧車

 

  バップより12月19日リリース

 

 

(C) 2017 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.

【STORY】

1950 年代。元女優のジニーは、コニーアイランドの遊園地にあるレストランでウェイトレスとして働く日々。海岸で監視員をするミッキーと不倫の仲を楽しむジニーだが、夫の娘が現れたことから日常が狂い始めていく。

 【オススメCOMMENT】                                                              

コニーアイランドの舞台がレトロで色鮮やかでとにかく画が毎秒最高。ケイト姐さんとジャスティンの不倫カップルという斬新さが、爽やかな下世話感を与えていて堪らない。(今年のベストカップル賞!)若い男と出会ったことで目覚める“あの頃輝いていた私”と、若い女に男を横取りされそうになったことで火が付く女のライバル心が赤裸々で、ウディお得意のこの“女の自己崩壊劇”に深く共感してしまう。「私はこんなんじゃ終わらない」と、昔の衣装を引っ張り出して半狂いになる姿まで絶品。

 

後世に語り継がれるべき1作

『ヒトラーを欺いた黄色い星

 

  アルバトロスより1月5日リリース

 

 

(C) 2016 LOOK! Filmproduktion/CINE PLUS Filmproduktion (C)Peter Hartwig

【STORY】

1943年、ナチスはベルリンからユダヤ人を一掃したことを宣言。だが、多くのユダヤ人は身分を隠して潜伏し、ナチスから逃げ続けていた。青年ツィオマは東に移送される寸前、咄嗟に嘘をついてベルリンに残るが……。

 【オススメCOMMENT】                                                              

家族で東へ移送させられる寸前、とっさに嘘をつきひとりベルリンに残ることを決意した男性を始め、輝かしいはずの青春時代を命がけで生きた4 人の男女を描く。すべてに怯え、死と隣合わせの日々の中でユダヤ人としての誇りを守り続けた彼らの姿は、その若さからは想像できない程強く逞しい。また、同じように命がけで彼らを匿ったドイツ人たちの存在も忘れてはいけない。本作は、理不尽な争いが繰り広げられた時代に、国に囚われず自分の正義を貫いた勇敢な人々の、語り継がれるべき物語だ。



サム・ロックウェルの魅力全開

『ブルーイグアナ 500万ポンドの獲物

 

 ミッドシップより1月5日リリース

 

 

 

(C) UK Film Studio Productions

【STORY】

NY のダイナーで働くエディとポールは前科者で仮釈放中。行き詰まる彼らの前に、弁護士のキャサリンが現れ、ある違法な取引現場での仕事を頼まれる。余罪をばらすと脅されたふたりは、渋々ロンドンへと渡ることに。

 【オススメCOMMENT】                                                              

サム・ロックウェルファン必見のクライムアクション。オスカーを受賞した「スリー・ビルボード」のダメ男像も最高だったけれど、今作にも“ダメなのにどこか惹かれてしまう”姿が満載。郷に入ったら郷に従えと、英国アクセントを必死に練習する様や、クセ者たち相手に放送禁止用語を連発する場面には爆笑。『ブルーイグアナ』と呼ばれる宝石を横取りしようとファンキーな仲間たちを束ねるキレキレな姿にもうっとり。突如始まる銃撃戦とブラッディな描写、懐かしい音楽まで絶妙なテンポの1作。



世のダメんずウォーカーに捧ぐ

『けんじ君の春

 

 ストレイドッグプロモーション/ビクターエンタテインメントより1月8日リリース

(C) ストレイドッグプロモーション

【STORY】

「お金、貸してくんない?」が口癖の23歳、沢口けんじ。バイトも長続きせず、友人や家族に迷惑をかけまくる彼だが、ある日公園で涼子という女性に一目惚れする。そんな中、部屋には歴代の元カノたちが集合していて……。

 【オススメCOMMENT】                                                              

金ナシ、甲斐性ナシのダメ男だが何故かモテる男、けんじ君。ある日彼の部屋で元カノ3人が居合わせるという修羅場が発生するが、争いはすぐに終わり、未練話の暴露大会→元カノ同盟結成★とあっさり前向きな方向にシフト。彼に苛立っていた人々も気付けば「まぁいいか」と許し始めるので、「皆甘すぎやろ!」と突っ込まずにはいられませんでした。ですが最後の最後、けんじ君が言った言葉には「ほお~。」と感心。なるほど。これは確かに、彼に惚れてしまうのもわからなくはない?!



どいつもこいつもよく喋るぜ

『いつだってやめられる7人の危ない教授たち

 


  ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントより1月9日リリース

 

 

 

(C) 2014 Fandango - Ascent Film Srl

【STORY】

大学の職を追われ苦境に立たされた神経生物学者のピエトロは、ある日、違法薬物と認定されない合成ドラッグを開発することを決意。同じような不遇の研究者たちを集め、精製したドラッグは大人気となり大儲けするが……。

 【オススメCOMMENT】                                                              

頭が良くても報われない状況を皮肉ったコメディ。「ブレイキング・バッド」+「オーシャンズ」シリーズという宣伝文句通り、超優秀な科学者をはじめ、底辺でくすぶるインテリたちがドラッグを作ることになるが、どのキャラもとにかく濃い。濃すぎて持て余し気味な感もあるが、だんだん彼らのペースに巻き込まれて“いいヤツ”と思えてくるところが憎い。大金が入っても長続きしないというオチの一方、少しも懲りない面々のその後を知りたくなるが、ご安心ください、これ3部作なんです。



イーサン、アクションもイケるね!

『リミット・オブ・アサシン

 


 クロックワークス/ハピネット(ピーエム)より1月9日リリース

 

 

 

(C) 2017 24 HTL Co., Limited. All Rights Reserved.

【STORY】

任務中に命を落とした凄腕の暗殺者・トラヴィスは、組織による実験によって蘇生させられる。彼が持つ情報を手に入れるためだけに処分されようとする中、脱出を図り残された24時間の命で、組織に対して孤独な復讐を始める。

 【オススメCOMMENT】                                                              

何はともあれイーサン。このジャンルの定型として「ヤッてしまっても仕方ない」状況を提示した後に繰り広げられる、主人公の殺しの数々に拍手喝さいするところ、本作のイーサンはそうはさせない。背負った哀しい過去と、闘うことの虚しさを全身から発する彼に思わず、「もう、休んだら?」と声をかけたくなってしまう。アクションはキレキレ、敵側の手強く陰影のあるキャラも立っていて見応えは十分すぎるが、鑑賞後はやけに人恋しくなる。それもこれも、すべてはイーサンの仕業だ。



■前回の誰シネ(12月リリースタイトル)は
こちらから


 

(C)Maipo Film AS Subotica Ltd. Sirena Film s.r.o.

【STORY】

19 世紀半ばのノルウェー。貧しい家庭に育つ三人兄弟の末っ子エスペンは、政略結婚から逃れてきた王女・キリステンと出会い惹かれあうが、彼女はトロールに拉致されてしまう。エスペンは兄弟らと共に救出に繰り出すが…。

 【オススメCOMMENT】                                                              

18歳までに結婚しなければ、王女はトロールにさらわれるという期限つきの伝承は末恐ろしい。王女を見つければ彼女と国の半分をもらえることから、己の欲望真っしぐらの王子と、家を焼いてしまったがためにお金が必要な村の子エスペン兄弟たちが、水中、洞窟の中をかけめぐり、巨大トロールに出会うため、あの手この手で大奮闘。トム・ホランド似のイケメン、エスペンのトロール撃退術は目からウロコ…。夢のような幻覚を見せるあの金色の林檎は、ある意味毒リンゴより罪なアイテムかも。