誰かに教えたくなるシネマ<2月号>

2019年1月30日

誰かに教えたくなるシネマ

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毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!

<2月リリース作品>

対極的なふたり、男たちの死闘

ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男

 

  ギャガより1月23日リリース

 

 

(C) AB Svensk Filmindustri 2017

【STORY】

1980年。世界ランク1位のテニス選手、ビヨン・ボルグは5連覇がかかったウィンブルドンの試合を目前にしていた。歴史的記録へのプレッシャーが高まる中、ジョン・マッケンローが最大のライバルとして現れる。

 【オススメCOMMENT】                                                              

冷静沈着のボルグは、誰もが求める理想の王者像。彼の連覇を邪魔するマッケンローは、試合中罵詈雑言で集中力を高めるというキワモノ。対極に見えるふたりだが、実はボルグも横暴な性格を矯正されていた過去が回想で明るみになり、ふたりの共通点が見えてくる。ボルグを優雅に再現した北欧俳優の容姿の美しさや、マッケンローになりきったラブーフも素晴らしい。テニスにすべてをかける男たちの言葉なき打ち合いは、もはやブロマンス。歴史に残る死闘のラストマッチは、緊張で身が持たない。

 

その懸命さに感動と尊敬!

『皇帝ペンギン ただいま

 

  ハピネットより2月2日リリース

 

 

(C)BONNE PIOCHE CINEMA PAPRIKA FILMS - 2016 - Photo : (C) Daisy Gilardini

【STORY】

南極圏内だけで一生を過ごす唯一の大型動物、皇帝ペンギン。彼らはある時突然、海から陸へ上がり、100kmも内陸にある繁殖地“オアモック”へ列をなして歩きはじめる。その場所で家族を作る彼らだが、子育ては過酷を極め……。

 【オススメCOMMENT】                                                              

氷上をてちてち歩く一羽のペンギンがドテッと転ぶ瞬間を捉えた冒頭。もうそこから完全に心を奪われた。眠そうな目で、ふくふくな身体を動かす一挙一動がとにかく可愛い。しかし、そんな彼らの過酷な子育て現場を観たら、「可愛い~」なんて呑気に言っていたのが申し訳なくなった。卵を守るためにどんな強い吹雪でも耐えて温め続ける父親ペンギン、食べ物を求めて100km以上も歩き続ける母親ペンギンなど。ただ懸命に命を繋ごうとする彼らの姿に胸を打たれます。でもやっぱり、可愛い……。



ローライフな奴らが辿り着いた正義(ラスト)

『ローライフ

 

 アクセスエーより2月2日リリース

 

 

 

(C)2017 LOWLIFE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【STORY】

違法移民やチンピラなど、様々な人々が暮らすロサンゼルスの街。犯罪を斡旋するテディの下で家族を守るために働く元覆面レスラーのエルモストロにとって、生まれてくる赤ん坊だけが唯一の希望だったが……。

 【オススメCOMMENT】                                                              

売春やら臓器売買やらに手を染める極悪人テディの下で働くエルモストロ。偉大な父親に憧れるまっすぐな男だが、ブチ切れたら人の顔を原形が残らない程殴りまくる……。怖すぎる。そんな彼を始め、アル中で我が子を売った女、金を盗んで脅されている男、11 年間服役し、顔に何故か卍マークを掘った男(これがまた良いキャラしてる)など、まさにローライフな人物達の物語がリンクし、ある正義にたどり着きます。その時間軸の描き方とちょっと感動的なラストに引き込まれること間違い無し!



韓国トップ俳優大集結の群像劇

『1987、ある闘いの真実

 

 ツインより2月6日リリース

 

(C)2017 CJ E&M CORPORATION, WOOJEUNG FILM ALL RIGHTS RESERVED

【STORY】

1987年、警察に連行された大学生が取り調べ中に命を落とす。警察は心臓麻痺と発表するが、裏情報をつかんだ新聞が「拷問中に死亡」と報道。事件は大騒動へと発展し、人々は真実を求めて民主化運動デモを始める。

 【オススメCOMMENT】                                                              

民主化抗争の起爆剤となった学生拷問致死事件を基に、当時のデモまで再現した緊迫の群像劇。「暴力は一切なかった」とする所長にキム・ユンソク、事件を訝しむ検事にハ・ジョンウ、民主化運動家にソル・ギョング、彼を助ける刑務官にはユ・ヘジンと、豪華俳優が集結。一際印象的なのは、ユ・ヘジンの姪を演じるキム・テリ(『お嬢さん』)と、民主化運動に傾倒する若者に扮するカン・ドンウォンの初々しいふたり。互いに贈り合ったお揃いの靴が鮮血に染まるラストは、思い出すと胸が痛い。



平穏な生活が一転、すべてが怖い

『スレンダーマン 奴を見たら、終わり

 


  ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントより2月6日リリース

 

 

 

(C) 2018 Mythology Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

【STORY】

アメリカの小さな田舎町に住む、女子高生4人組はある晩、巷で噂の都市伝説「スレンダーマン」を呼び寄せる動画を見てしまう。それから1週間後、悪夢を見るようになった彼女たちのひとり、ケイティが姿を消してしまう。

 【オススメCOMMENT】                                                              

この作品がただのホラーと違ってユニークなのは、“スレンダーマン”という存在が怖い、というだけでなく、それまでの平穏な日常が一変し、何をしていてもその存在に怯え、ひたすら悪夢に囚われて自滅していくような、人の心の脆さにフォーカスしてる点。それを引き起こすきっかけが、スレンダーマンという訳だが、仲良し4人組がひとり、またひとりといなくなる絶望感と孤立感。一番長く怖い思いをするくらいならさっさとやられちゃったほうが楽なのでは?と思うほど最後の子は気の毒。



熱いロック魂と底抜けのおバカたち

『スパイナル・タップ

 


 キングレコードより2月13日リリース

 

 

 

(C)1984 STUDIOCANAL All Rights Reserved.

【STORY】

60 年代にデビューし、一世を風靡したロックバンド「スパイナル・タップ」。80 年代に入り新しいアルバムのリリースが決定、全米ツアーを行うことを知った映画監督のマーティは、彼らのツアーに密着することを決意する。

 【オススメCOMMENT】                                                              

フェイク・ドキュメンタリーのはずだが、とにかく本物にしか見えない。リアルに頭が悪そうなリードボーカルを筆頭に、劇中の全員残らず、演じるのは不可能だと思えるほどのペラペラなキャラクターを、皆が迫真の演技で表現する可笑しさ。呆れるほど馬鹿馬鹿しい人たちの中でも、その言動のすべてが救いがたいベースが群を抜き印象に残るが、終盤、幼馴染みのふたりのメンバーの分かちがたい絆を見せるシーンがあり、『スタンド・バイ・ミー』の監督らしさが垣間見え、ちょっと泣かせる。



■前回の誰シネ(1月リリースタイトル)は
こちらから


 

(C)Maipo Film AS Subotica Ltd. Sirena Film s.r.o.

【STORY】

19 世紀半ばのノルウェー。貧しい家庭に育つ三人兄弟の末っ子エスペンは、政略結婚から逃れてきた王女・キリステンと出会い惹かれあうが、彼女はトロールに拉致されてしまう。エスペンは兄弟らと共に救出に繰り出すが…。

 【オススメCOMMENT】                                                              

18歳までに結婚しなければ、王女はトロールにさらわれるという期限つきの伝承は末恐ろしい。王女を見つければ彼女と国の半分をもらえることから、己の欲望真っしぐらの王子と、家を焼いてしまったがためにお金が必要な村の子エスペン兄弟たちが、水中、洞窟の中をかけめぐり、巨大トロールに出会うため、あの手この手で大奮闘。トム・ホランド似のイケメン、エスペンのトロール撃退術は目からウロコ…。夢のような幻覚を見せるあの金色の林檎は、ある意味毒リンゴより罪なアイテムかも。