誰かに教えたくなるシネマ<4月号>

2019年3月28日

誰かに教えたくなるシネマ

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毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!

<4月リリース作品>

皮肉な運命が巡りゆく残酷物語

運命は踊る

 

 ビターズ・エンド/ミッドシップより4月3日リリース

 

 

(C)Pola Pandora - Spiro Films - A.S.A.P. Films - Knm - Arte France Cinema 2017

【STORY】

ミハエルとダフナ夫妻のもとに、息子ヨナタンの戦死を軍の役人が知らせにやって来る。悲しみに打ちひしがれるふたりだが、その報せが誤りだったと分かる。ミハエルは怒りをぶちまけ、息子を呼び戻すよう役人に要求する。

 【オススメCOMMENT】                                                              

息子の死は誤報だったという急展開の中、何も知らない息子は戦地の検問所でステップを踏みながら和やかに過ごしている。悩みは日々傾いていく寝床のコンテナくらい。そんな中、彼は自ら大きな過ちを犯してしまう……。息子ヨナタンの運命が傾きだし、彼の足取りは前へ前へと進みながらもある地点に戻ってきてしまう。運命とは、避けた時にこそ必ず出会う究極の定め。遠く離れたふたつの場所が交差する様と、隙のない映像作りに見惚れながら、何度見ても逃れられない皮肉な運命が巡る。

 

これはもうひとつの青春の1頁

『怪怪怪怪物!

 

 キングレコードより4月3日リリース

 

 

(C)2017 Star Ritz International Entertainment

【STORY】

高校で酷いいじめを受けているリンは、いじめっ子たちと一緒に命じられた独居老人への奉仕活動中に、ゾンビのような2匹のモンスターに遭遇する。そのうちの1匹を捕まえた彼らは、残酷な仕打ちを実験と称し繰り返すが……。

 【オススメCOMMENT】                                                              

学校生活の影の部分を無慈悲に見せつけるモンスター映画、というオンリーワンな本作。残酷な「いじめ」が、怪物という人に非ざるモノがその対象になったことでより鮮明に浮かびます。あまりの酷い仕打ちに、囚われの怪物に同情必至、気持ちが完全に怪物側に傾く中、怪物が高校生たちを血祭りに上げていく様にある種の爽快感すら感じます。監督は『あの頃、君を追いかけた』のギデンズ・コー。全く違う作品のように見えて、表裏一体の作品とも呼べる、青春モノとしても見逃せません。



彼女を強くしたその想いとは?

『 500ページの夢の束

 

 キノフィルムズ、木下グループ/ポニーキャニオンより4月3日リリース

 

 

 

(C)2016 PSB Film LLC

【STORY】

自閉症のウェンディは大好きな『スター・トレック』の脚本コンテストに応募するため500ページの原稿を書き上げる。郵送では締切に間に合わないと考えた彼女はひとり、LAにあるパラマウントのオフィスを目指すが……。

 【オススメCOMMENT】                                                              

かんしゃく持ちのウェンディは、姉と一緒に暮らすことも叶わず、施設で暮らしている。彼女を守りきれないジレンマを抱える姉・オードリーに同情しつつ、自分の成長を認めてもらえないウェンディの苛立ちにも共感……。そんな中でひとり街を飛び出し、出会う人々に騙され、助けられ……と社会の荒波に揉まれながらも、夢の束を握りしめて足を止めなかった彼女の強さには心底感動する。周りの心配なんて跳ねのけて突き進む勇敢な姿に力をもらえる1本。愛犬ピートの忠誠心も可愛い!



苦くて切ない大人の成長譚

『タリーと私の秘密の時間

 

 キノフィルムズ、木下グループ/エイベックス・ピクチャーズより4月3日リリース

 

(C)2017 TULLY PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【STORY】

何事も完璧にこなしてきたマーロだが、3人目の子供が産まれると育児の忙しさから限界を感じるように。夜専門のベビーシッターを依頼することにした彼女の家に、ある晩“タリ-”と名乗るイマドキの女性がやってくる。

 【オススメCOMMENT】                                                              

限界寸前のマーロの家に来たタリーの存在は、まさに神。最初こそ半信半疑だったマーロも、完璧な家事にカップケーキまで焼いてくれる抜かりのないタリーに心を許していく。自分も若い頃は彼女のように何でも出来たのに……と嘆くマーロに、タリーはただ「私を頼って」とだけ言う。あなたは一体何者なの……。そして羽目を外したある晩、突如直面する青春の苦味とタリーの本当の正体。あの頃一番輝いていた思い出との別れは切ないけれど、それは誰もが通る道。不思議な味のする大人の成長譚だ。



覚醒したチカラを使いこなせ

『ダーケスト・マインド

 


 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより4月5日リリース

 

 

 

(C)2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

【STORY】

近未来、謎の病気により9割の子供たちが亡くなり、生き残った者は超能力に目覚めた。脅威とみなされた子供たちの収容施設から、反政府組織の助けにより脱出した少女ルビーは、仲間たちと共に彼らを追う政府との戦いを始める。

 【オススメCOMMENT】                                                              

支配する政府に抵抗する特殊能力を備えた子供という、『ハンガー・ゲーム』『メイズ・ランナー』などの類似作と同様、ヤングアダルト小説が原作の本作。『X-MEN』のスタジオ製作となっているように、そのアナザーワールド的世界と能力者が登場します。様々な特殊能力が備わった子供たちの中、最も強いとされるのが心を操る力という、一見目立たない能力であるところが面白い。主演の女の子はまだ日本では無名ながら、真っ直ぐな目が印象的で今後人気が出てきそうで要注目です。



純粋で異常で、切なすぎる恋物語

『君が君で君だ

 


 東映ビデオより4月10日リリース

 

 

 

(C) 2018PugnaciousFilmsLTD

【STORY】

ひとりの女性に恋心を抱き、彼女の好きな人物になりきって生きてきた3人の男、通称・尾崎豊、ブラッド・ピット、坂本龍馬。彼らは10年間、彼女の生活を覗き見していたが、ある日借金取りに存在を気づかれてしまう。

 【オススメCOMMENT】                                                              

何の恥ずかしげもなく自らを豊、ブラピ、龍馬と名乗り、超犯罪的な片想いを続ける男たちに早々にドン引きしたものの、その想いの深さというか、決して真っ当ではないけどまっすぐな恋心に、気付けば見入ってしまった。これはもしや好きな子のために髪型や服装を相手好みにする心理と同じなのかも……とすら考えてしまう程、様々な恋愛観が試されるような純愛暴走劇。そして終盤、好きな子の髪の毛をむしゃむしゃ食べまくる池松くんの役者魂にはド肝を抜かれます……。



■前回の誰シネ(3月リリースタイトル)は
こちらから


 

(C)Maipo Film AS Subotica Ltd. Sirena Film s.r.o.

【STORY】

19 世紀半ばのノルウェー。貧しい家庭に育つ三人兄弟の末っ子エスペンは、政略結婚から逃れてきた王女・キリステンと出会い惹かれあうが、彼女はトロールに拉致されてしまう。エスペンは兄弟らと共に救出に繰り出すが…。

 【オススメCOMMENT】                                                              

18歳までに結婚しなければ、王女はトロールにさらわれるという期限つきの伝承は末恐ろしい。王女を見つければ彼女と国の半分をもらえることから、己の欲望真っしぐらの王子と、家を焼いてしまったがためにお金が必要な村の子エスペン兄弟たちが、水中、洞窟の中をかけめぐり、巨大トロールに出会うため、あの手この手で大奮闘。トム・ホランド似のイケメン、エスペンのトロール撃退術は目からウロコ…。夢のような幻覚を見せるあの金色の林檎は、ある意味毒リンゴより罪なアイテムかも。