誰かに教えたくなるシネマ<5月号>

2019年4月25日

誰かに教えたくなるシネマ

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毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!

<5月リリース作品>

もがき続けた親子が辿り着いた奇跡

母さんがどんなに僕を嫌いでも

 

 KADOKAWAより4月24日リリース

 

 

(C)2018「母さんがどんなに僕を嫌いでも」製作委員会

【STORY】

タイジは幼い頃から母・光子のことが大好きだったが、光子は情緒不安定で日々タイジに暴力をふるっていた。17歳で家出をし、ひとりで生きてきた彼だったが、ある友人たちと出会ったことで、母と向き合う決意をする。

 【オススメCOMMENT】                                                              

主人公が鼻歌を歌いながら美味しそうな混ぜご飯を作るシーンで始まる冒頭。予想外の出だしに少々困惑したが、彼がそんな風になれるまでに乗り越えてきた日々は辛く苦しく、観ていて涙が止まらなかった。母の抱える過去や複雑な感情、そんな母を憎み切れない彼の想いなど、一筋縄ではいかない親子の関係に終始考えさせられつつも、ふたりが辿り着く奇跡にまた涙が溢れます。そして彼を支える人々の温かさと彼自身の強さに、観ているこちらが救われるような、どこか優しい映画でした。

 

プロ顔負けのピアノ演奏に脱帽

『それだけが、僕の世界

 

 ツインより4月24日リリース

 

 

(C)2018 CJ E&M CORPORATION, JK Film ALL RIGHTS RESERVED

【STORY】

かつて脚光を浴びていた元プロボクサーのジョハは、定職も住む場所もない生活を送っていた。ある日、17年振りに母親と再会を果たしたジョハは、生まれて初めて会うサヴァン症候群の弟・ジンテと暮らすことになり……。

 【オススメCOMMENT】                                                              

四六時中手がかかる弟・ジンテの面倒を見ることになり、粗野な兄・ジョハが手こずりながらも距離を縮めていくほのぼのとした前半。ある日街で弾いた弟のピアノの才能に兄が気付くと物語は変調し、 イ・ビョンホンが彼の才能を引き出す“見守り兄”に変身。ジョハは絶対音感の天才なのだが、その演奏を俳優パク・ジョンミンが吹替えなしで演奏する様には脱帽。スマホのゲーム画面を譜面代わりに毎回セットする奇才ぶりも良い。多才かつ普遍的な兄弟が、音楽を通して観るものを泣かせる家族物語だ。



すべての頑張る人に贈るエール!

『パッドマン 5億人の女性を救った男

 

 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントより4月24日リリース

 

 

 

(C) 2018 CAPE OF GOOD FILMS LLP. All Rights Reserved.

【STORY】

インドの小さな村で新婚生活を送るラクシュミは、最愛の妻が高額な生理用品を買えずに不衛生な布を使っていることを知りショックを受ける。彼は安価な生理用品を作ろうと独自に研究を重ねるが、周囲の理解を得られず……。

 【オススメCOMMENT】                                                              

話に抵抗がある人、特に男性でも全く問題ないこと、保証します。サクセスストーリーと考えれば、こんなにスカっとする話はないです。愛する妻のためにという真摯で素朴な考えから猪突猛進の末、見事成功! この過程が文句なしの面白さ。さらにインド全土、さらに世界へ広めていく第2章的な後半は、彼のサポ―トとして登場する女性との恋愛的要素も加わり、一層物語は加速。奥さんとはどうなるの? という部分も見事にまとめる一方、ハイライトの国連でのスピーチは笑い、そして涙、涙。



宇宙を越えた友情が起こす結末とは?

『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!

 

 ニューセレクトより4月26日リリース

 

(C) MEDIAPRO-RTV Commercial-ICAIC

【STORY】

経済危機に苦しむキューバ共和国に暮らす、エリート共産主義者であり無線愛好家であるセルジオは、ある時宇宙飛行士のセルゲイと交信が繋がる。しかし彼はソ連の崩壊により、祖国に帰れない状況になっていて……。

 【オススメCOMMENT】                                                              

ソ連崩壊の影響で苦しい生活を送るキューバ人のセルジオ。家族を残してひとり宇宙へと旅立ち、帰還の無期限延長を余儀なくされてしまったソ連人宇宙飛行士のセルゲイ。そんなふたりが遥か遠く離れた距離を越えて繋がり友情を育んでいく過程は、彼らの過酷な状況や不安定な無線による緊張感を忘れさせてくれるほど平和で温かい。そして彼らの絆が巻き起こす、世界をも驚かす展開とその結末には感動。キューバの心地よい音楽と共に描かれる、超ハートフルな友情物語!



それを必要悪と呼べるのか?!

『バグダッド・スキャンダル

 


 アンプラグド/キングレコードより5月8日リリース

 

 

 

(C)2016 CREATIVE ALLIANCE P IVS/BFB PRODUCTIONS CANADA INC. ALL RIGHTS RESERVED.

【STORY】

02年、念願だった国連職員への採用が叶い、国連事務次長の特別補佐官に任命されたマイケル。イラクでの国連主導による石油・食糧プロジェクトの担当になるが、多くの利権が絡み、莫大な金が動く汚職に巻き込まれていく。

 【オススメCOMMENT】                                                              

イラクがクウェート侵攻による経済制裁下にあった当時、国連史上最悪の汚職事件という実話を基にした本作。汚職の額が18 億ドルと桁違い。これは分かっているだけの氷山の一角らしいので、その規模は想像すらつかない。本作はそんな複雑で巨額の汚職を分かりやすく、かつ手際よくサスペンスに仕上げて見応え十分。秘密を知る中で出会う美女とのロマンスも目が離せず、底なしの闇を感じさせる余韻も確かに、巨大な不正の前に若者の正義の小ささもほろ苦い、まさに骨太のサスペンス。



振り切れた針と衝動の愛おしさよ

『生きてるだけで、愛。

 


 ハピネットより5月10日リリース

 

 

 

(C) 2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会

【STORY】

過眠症で引きこもり気味の寧子は、雑誌の編集部に勤める恋人・津奈木と成り行きで同棲生活を送っている。そこへ津奈木の元カノが現れたことから、寧子は外の世界と関わらざるを得なくなり、ふたりの関係にも変化が訪れる。

 【オススメCOMMENT】                                                              

予測不可能な自分自身に振り回される女と、自分の声を押し殺して生きる男。そんな現代的病める男女を趣里と菅田将暉が大好演。行き場のない“踏み出したい”思いをぶつける寧子と、彼女の半狂乱な中に自分と同じ何かと、独特な美しさを見出す津奈木。荒療治で始めたバイト先での人々の温かさに触れたことで、“やっぱり分かり合えない”事実に直面すると、たちまち絶望が開花する様は爽快。屋上で光を放つ寧子の生まれたての姿(美しい裸体!)と、終始意識された赤と青の色使いにもぐっと来る。



■前回の誰シネ(4月リリースタイトル)は
こちらから


 

(C)Maipo Film AS Subotica Ltd. Sirena Film s.r.o.

【STORY】

19 世紀半ばのノルウェー。貧しい家庭に育つ三人兄弟の末っ子エスペンは、政略結婚から逃れてきた王女・キリステンと出会い惹かれあうが、彼女はトロールに拉致されてしまう。エスペンは兄弟らと共に救出に繰り出すが…。

 【オススメCOMMENT】                                                              

18歳までに結婚しなければ、王女はトロールにさらわれるという期限つきの伝承は末恐ろしい。王女を見つければ彼女と国の半分をもらえることから、己の欲望真っしぐらの王子と、家を焼いてしまったがためにお金が必要な村の子エスペン兄弟たちが、水中、洞窟の中をかけめぐり、巨大トロールに出会うため、あの手この手で大奮闘。トム・ホランド似のイケメン、エスペンのトロール撃退術は目からウロコ…。夢のような幻覚を見せるあの金色の林檎は、ある意味毒リンゴより罪なアイテムかも。