雑誌『演劇ぶっく』を発行する演劇ぶっく社が運営するENBUゼミナール。取材にうかがった7月某日の夕刻には、演劇コースのボイストレーニングの隣室で、個人映像作品制作に向けて映画監督コースの生徒たちが、脚本の手直しと画コンテ作成にウンウンうなっていた。彼らの輪の中には、赤ペンを手にした熊切和嘉監督。
「皆、進行中の作品を抱えている現役の監督やプロデューサーたちが講師です。『現場のアシスタントに来ないか』と生徒に声をかけることも。ネットワークが大事な世界なので、どれも夢実現へのきっかけになると思います。売り込む積極性も大事ですけどネ(笑)」
代表の坂口真人氏の話の通り、ここから世に出た映画人も、学んだこの場所でのつながりを活かしている。卒業作品でPFF審査員特別賞を受賞した岩田ユキ氏は、講師の中島哲也監督に監督として選ばれたオムニバス作品の1話を経て、「檸檬のころ」で長編監督デビューとなった。
「特別講師のプロデューサーに、勇気を出して企画書を渡す生徒も。講師は決して『要らないよ』なんて言いませんから(笑)」
昼間・夜間とも週に2〜3回の授業。映画監督コースでは、撮影基礎講座で機材・脚本・照明・録音などを学ぶことから始まる。
後半は、同校の特徴である「個人映像作品制作」。渋谷の『Q―AXシネマ』でレイトショー公開するという前提のもと、生徒たちは「自分の1本」に取り組む。「グループ作品じゃなく、各自1本。脚本直しや編集の思わぬ大変さに、みんな七転八倒しています」。要所要所で、プロから細かいアドバイスがなされる。観客の目に触れるまで徹底的に作り上げる、その経験がもたらすものは大きい。
もうひとつの特徴的なカリキュラムは、「映像俳優コースとの合同授業」。共に学ぶ人達と向き合うことで得るスキルは大きく、個人映像作品制作の役者に起用するなど、新たなネットワークをも生み出す。
さらに、新たに誕生した「映画監督&映像ディレクター専攻」では、監督コースのカリキュラムに加えて、関連会社デジタルハリウッドでVFX講座を受講。実写にCGを合成する技術など、今の映画業界で強く求められるスキルを身につけ、映像系のみならず広告、編集プロダクションなど就職先も多彩。「とにかく就職したい」という人にはお薦めだ。
夢は叶うか、自分は向いているのか向いていないのか。授業や作品制作の中でそれを見つめ、体当たりする1年。それが各々に与えるものは、決して小さくない気がする。
|