2012/05/16 13:27
5月下旬号、編集後記ページの上部にある
「編集部発 コレすごく面白かった!」でも言及したけれど
書ききれなかったので、「隣る人」について、もう少し。
この作品は、事情があって親元で暮らせない
子どもたちを育てる児童養護施設を舞台とするドキュメンタリー。
この説明だけを聞いて、もしかしたら
辛くて悲しくて可哀相で涙がたくさん出る映画、
と想像される方もいるかもしれないけれど、
私が映画から受け取ったのはそれだけではなかった、
ということを言いたくて。
たしかに、肉親と一緒に暮らすことができない子どもたちは
ある意味で苦しい状況にあるのだけれど、
それはあくまで「ある意味で」だとわたしは思う。
この映画を見ているとそう思うんです。
肉親でない人間、血のつながりのない大人が、
「子ども」という世代にできること。
子どもたちの境遇に心寄せて泣くだけでなくて、
その可能性のほうに目を向けて、
具体的な策を考えられたらと。
映画は現在、ポレポレ東中野ほかにて上映中。
予告篇はこちら。ぜひ。
(島崎)
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2012/05/15 15:38
久々の早稲田松竹で、アンゲロプロス。
「永遠と一日」
老詩人と不法移民の少年が、
バスに揺られている。
高鳴るシュプレッヒコール。
ひとりの左翼青年が乗り込んでくる。
小編成の楽団が音楽を奏でる。
哀切に懐古的な、
エレニ・カラインドルーのテーマ曲。
車窓からは
行き来する黄色いジャケットの国境警備隊が
見える……。
国と国、彼岸と此岸の境界を
夢幻的にバスは走る。
どこ、いつなのか?
時空間は抽象化される。
そして「霧の中の風景」。
音もなく降りはじめる雪。
「タ・タン、タ・タン……」
単調な列車の走行音。
それらが少年少女を、
不在の“父探し”に連れて行く。
瀕死の馬。街角の結婚式。
荒野の巨大な機械。
破瓜の血。
ヘリのプロペラ音。
水揚げされた手のひら。
生と死、暴力、歴史と神話が
傍らを通り過ぎていく。
一発の銃声、
深い霧の向こうにある
なだらかな丘。
ふたりが辿り着いた、
<ドイツ>と呼ばれた場所。
一本の木をいただくあの場所は、
せかいのはじまり、なのだろうか。
(平嶋)
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2012/05/07 15:43
お待たせしました。
ゴールデン・ウィーク開けに金色表紙の5月下旬号が発売になりました。
表紙写真はアレクサンドル・ソクーロフ監督の「ファウスト」から。
下の写真は社内の倉庫に積まれた様子ですが、今号は特に迫力あります。

(島岡)
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2012/05/06 21:35
「女優霊」「リング」の脚本家として
世界へ恐怖をパンデミカルに仕掛けた
確信犯。
あまりに原理的な映画論「映画の魔」で
批評の最前衛を突っ走った
預言者。
あの高橋洋が
監督最新作「旧支配者のキャロル」で、
異形のビジョンを剥き出している。
「人が人をつぶす。
そんなことはないと思います。
人は勝手につぶれていく……」
悲劇的な結末を予知するかのように
そう語りかける、映画学校の女子学生。
「おもしろいわね」
その断定的な発言に感応する大女優。
女と女。
俳優と監督。
旧世代と新世代。
言葉と言葉。感情と感情。思想と思想が
正面衝突する。
物事はすべて必然のように進み、
やがて
“フィクション”にのみ可能な
“リアル”が立ち現れる。
夢魔的な、
つまりダリオ・アルジェント的な
旋律で開巻し、
そして徹底して増村保造的な運命劇を志向する。
傑作「旧支配者のキャロル」は
5/12~オーディトリウム渋谷にて。
そして
明日発売の小誌では、
<解題:高橋洋、作家自身が語る>ほかで
「旧支配者のキャロル」を
特集。
お楽しみに!
(平嶋)
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2012/05/01 19:52
バレー部のキャプテンで成績優秀。
彼女は美人で色っぽく(あの前髪!)、友達も目立つグループのカッコイイ系。
そんな桐島くんが、突然部活をやめた・・・
原作は注目の若手作家・朝井リョウ、
監督は「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の吉田大八という
何ともワクワクした組み合わせによって映画化された
「桐島、部活やめるってよ」の試写会に行ってきました。

神木くん 神木くん 神木くん
いわゆるクラスでも中心的存在の男女が持つ優越感や、
仲間意識が強い体育会系の汗臭さ、文科系の持つ引け目感と
高校生というその年齢にしかない、等身大の感覚を存分に感じられる作品でした。
個人的には、学校に居心地の悪さを感じながら
映研に所属していた自分の過去を思い出し
「映画部頑張れ!」と心の中で強く叫んでしまいましたが・・・・
大人の観客は、自分の学生時代はこうだったなあと思い出しながら
鑑賞するのではないでしょうか。
公開は8月11日とかなり先ですが、是非是非皆さんに観て頂き
「自分の学生時代はこのグループに所属していた」などと
感想を聞いてみたいものです。
(ち)
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2012/05/01 1:09
逗子海岸映画祭に行ってきました。
http://cinema-caravan.com/
逗子駅から会場の海辺へ向かう途中、
主宰のひとりである長島源さんがやっておられる
CINEMA AMIGOに立ち寄って一服。
その日は上映なし、カフェのみの営業でしたが、
一度腰をおろしたらしばらく立ち上がりたくないような
非常にコージーな空間でした。
映画祭会場はこんな感じ。(下の写真参照)

上映は完全野外。
海辺の砂浜に設営されたスクリーンで
「サボテン・ブラザーズ」を鑑賞。
(お酒を飲みつつ)コメディに皆で笑う、というのは
本当にいいですね。最適な作品選択でした。
映画祭は6日まで開催。
皆さんもぜひ。
夜は冷えますので防寒着を持っていってくださいね。
いやあ、しかし、
逗子自体、初めて行ったのですが
いいところですね。
海があって山がある街なんて。
品川から51分の距離と思えない
旅行気分を味わいました。
住みたくなりますよ。
帰り道は、浜辺から駅まで
「ここの家にする」「いや、あちらのマンションも捨て難いのでは」と
家探し(の妄想)に勤しみました。
(島崎)
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2012/04/25 12:34
美しいものを見たのか、美しいと思ったのか。
美しいという“純粋にそれだけ”のことが、
映像として目から飛び込んで、自分の体内をめぐりめぐって
涙になって出てくるという体験を久しぶりにしました。
フレデリック・ワイズマンの新作「クレイジー・ホース 夜の宝石たち」。
今回、ワイズマンは、
パリはジョルジュ・サンク通りにあるクラブ“Crazy Horse”に密着。
彼らが世界に誇るヌード・ショーの数々が
本篇中、惜しげもなく披露されます。
加えて、カメラが捉える舞台裏の様子。
ショーに懸けるディレクター、フィリップ・ドゥクフレのこだわり。
彼を含めたスタッフたちの熱のこもった議論。
他愛ない踊り子たちのおしゃべり、オーディション…。
個人的な趣味を言えば
ショー自体よりもバックステージに興味があり、
開演前の彼らの様子を収めた坦々とした映像を
もっと見たかった、という気持ちはあります。
踊り子について言うと、服を着ている踊り子を見たかったなと。
とはいえ、冒頭の涙は、ショーではないある部分で滲んだわけで、
「ああ、ワイズマン!」という思いを充分に
味わえる作品です、もちろん。
しかも、ショーの割合が大きいということは、
かなり間口の広いワイズマン作品ということでもありますね。
「パリ・オペラ座のすべて」や
「BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界」が面白かったという人や、
ワイズマンってよくわからないけど、でも美しく絢爛豪華なものが見たいという人。
多くの人が楽しめる映画だと思います。
公開は今夏、Bunkamuraル・シネマにて。
小誌でも改めてご紹介できればと思います。
(島崎)
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2012/04/25 3:01
フィリップ・ガレル「愛の残像」@シネマート六本木。
あれはたしか
シネヴィヴァン六本木のレイトショーで見た
「内なる傷痕」(71)。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの歌姫ニコの周囲を
実験的に!
旋回するカメラにつまづいて以来、
正直ガレルには、
苦手意識がぬぐえなかったというか。
<神童>
<ジョルジュ・サドゥール、アンディ・ウォーホルが見出した才能>
<ヌーヴェル・ヴァーグの恐るべき子供>
……
その選民的なコピーに、
近代日本人特有の欧米コンプレックスを感じてしまったというか。
でも、
「ギターはもう聞こえない」(91)で
トイレのドア全開でおしっこする女。
倦怠した恋人たちのプライベートを抜き取る
あけすけさは、
妙に記憶していたのです。
そして
最新作「愛の残像」。
幼稚で身勝手な男の理屈。
論理を超えて確信された女の生理。
毛穴やうぶげまでの接写。
男と女のあいだを揺れる視線。
ふたりを余白なく収める枠取り。
恋愛、死別、妊娠、出産。
そんなありふれた日常が、
カメラで極端に拡大観察される。
その息苦しさ。
レンズサイズ、露出、被写界深度。
どこまでも光学的に、
男女の衝突が描写される。
その不自然。
さらに、
余韻を徹底して排除した
ダンディな編集。
たとえばカサヴェテスの映画でも、
激しく上昇下降するとはいえ
感情の連続性がある。
でもガレルの映画には、
切断され並べられた、
感情のかけらしかない。
あくまでソフトコアにとどまるカサヴェテスの覚悟。
どこまでもハードコアなガレルのパンク。
どちらもハンパじゃないです。
(平嶋)
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2012/04/23 19:51
先日
山根貞男・上野昂志両先生、
取材・構成の寺岡ユウジさん、
そして編集部明智・平嶋での
六本木スナック映画主題歌合戦を
ダイジェストでお伝えしましたが、
いや、うたは世につれ~、です。
たとえば
僕の両親は最近、
よくディナーショウやコンサートに
行ってるみたいなんですど
ある夜は松田聖子、中島みゆき。
そしてこないだは、さだまさし@さいたまスーパーアリーナ!
加藤登紀子、加山雄三、森山良子・直太郎母子……
とにかく豪華なメンツが勢揃い。
さださんの楽曲を
延々五時間半にわたり、
歌い継いだそう。
はや両親も還暦過ぎですが、
その音楽の趣味は
まったくランダムというか、
はっきり『NHK歌謡コンサート』的というか。
それにくらべて山根・上野両氏の
映画のうた、
その記憶のアツイこと!
ひるがえって
自分がはじめて口ずさんだ
映画のうたは
「漂流教室」(87)より今井美樹<野生の風>。
あ、原田知世さま<時をかける少女>(83)!
そしていま脳内ヘビロテなのが
こちらはTVドラマ『予備校ブギ』(90)
(主演織田裕二、的場浩司、緒方直人!)より
フリッパーズ・ギター<恋とマシンガン>。
いやはや。
(平嶋)
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2012/04/19 14:17
5月上旬号が明日(4月20日)発売になります。
見本誌が手元にあるので、ふと前号(4月下旬号)と並べてみました。

特集によって表紙の雰囲気もかわります。
(島岡)
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