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誰かに教えたくなるシネマ<8月号>

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毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開ながらの傑作など、様々な掘り出し映画との出会いを提供します!

 

8月リリース作品

 

美少年がついた嘘の行方

映画『ジュリアン』


アンプラグド/ポニーキャニオンより7月17日リリース

(C) 2016 – KG Productions – France 3 Cinéma

『ジュリアン』あらすじ

離婚したベッソン夫妻は、11歳になる息子・ジュリアンの親権をめぐって争っていた。母のミリアムと姉と暮らすことになったジュリアンだったが、隔週の週末ごとに別れた父と過ごすことを余儀なくされてしまう。

 

【オススメCOMMENT】

離婚協議中の両親の間で揺れるジュリアンは、明らかに悪意のある父親の面会という苦行に直面する。姉にも衝撃的な問題が発覚し……と非常に良くない家族の形をスリリングに見せつけられる。ジュリアンを使って母の居場所を無理やり聞き出そうとする父、母を守るため嘘をつきまくり、隙あらば逃げ出そうとする少年ジュリアンの終始ビクついた顔が極めて美しい。伏線を張り巡らした悲劇のオンパレードが静謐に繰り広げられ、ラスト、追いつめられてバスタブで息を潜めるホラーな場面には失神寸前。

 

感染家族、“奴ら”に監禁される

映画『ゼイカム-到来-』


インターフィルムより7月26日リリース

(C) Further Instructions Ltd 2018

『ゼイカム-到来-』あらすじ

クリスマスを祝うため集まったミルグラム一家だったが、各々に問題を抱える彼らは不穏な雰囲気の中、眠りにつく。翌朝、黒いメタルのようなものが家を包み込み、家族は監禁状態であることに気付くとパニックに陥る。

 

【オススメCOMMENT】

息子が連れてきた彼女がインド系であることを気に入らず、冒頭から不穏な雰囲気を醸し出す父。家が世界と断絶されたことに気付くと、TV画面に謎の命令や警告が映し出され、言われるがまま漂白剤を体に塗りたくり、ワクチンを打って狂っていく家族たち。本当に“感染”しているのは、一体誰なのか。疑惑とパニックで荒れる家の中と、信頼関係が壊滅する様はまさに地獄絵図。『リング』より怖い何かがTV画面から這い出してくるトドメの一発と、最後に救世主として現れる“ある存在”に震撼。

 

あらゆる壁は越えていけるのだ!

映画『バジュランギおじさんと、小さな迷子』


フルモテルモ/ハピネット・メディアマーケティングより8月2日リリース

(C)Eros international all rights reserved (C)SKF all rights reserved

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』あらすじ

インドからの帰りの列車で母親とはぐれてしまった、声を出せないパキスタンの少女シャヒーダー。見知らぬ土地に独り取り残された少女を家に送り届けようと、インドの正直者の青年は彼女と共に、国境を越えた旅に出る。

 

【オススメCOMMENT】

インド映画らしい歌と踊り満載のエンタメ作品であり、主演ふたりの凸凹コンビに心温まる。主人公の青年は、身分、宗教の壁を乗り越え、少女と共に国境までも越えてみせる。その青年の極端ともいえる愚直さは、すべて最後の布石になっていることが分かるのは最終盤。印パ両国の融和の願いをも込めたラストには、彼のような人間でなければならなかったのだ。劇中唯一鳴り響く、終盤の銃声が象徴する現実に屈せず、作り手たちが想いを託すように紡いだその後の展開、最後の奇跡に涙。

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子供のための良作ファンタジー

映画『クエスト・オブ・キング 魔法使いと4人の騎士』


20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンより8月7日リリース

(C)2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『クエスト・オブ・キング 魔法使いと4人の騎士』あらすじ

ごく普通の少年アレックスはある日、伝説の聖剣エクスカリバーを引き抜いてしまい世界を救う使命を負う羽目に。古代からやってきた魔法使いのマーリンと共に仲間を結集させ、邪悪な魔女モーガナを倒す冒険の旅に出る。

 

【オススメCOMMENT】

クリーチャーも世界観も妥協なく作り込まれ“子供だまし”なところが一切ないのが良い。聖剣を手にしたイケてない中学生が、魔法使いの導きによりいじめっ子たちを仲間に組み入れ、次第に成長していく姿は馴染みのあるRPGのよう。4人の仲間と魔法使いでラスボスを倒すと思いきや、学校を最終決戦場にした大バトルも意外性があり楽しい。子供を置いてきぼりにするような小難しいファンタジー作品と違い、ストレートに子供が楽しめる良作として小学生から中学生、その親にもオススメ。

 

唯一成功したナチス高官暗殺の裏側

映画『ナチス第三の男』


バップより8月7日リリース

(C)LEGENDE FILMS – RED CROWN PRODUCTIO NS – MARS FILMS – FRANCE 2 CINEMA – CARMEL – C2M PRODUCTIONS – HHHH LIMITED – NEXUS FACTORY – BNPP ARIBAS FORTIS FILM FINANCE.

『ナチス第三の男』あらすじ

海軍基地の通信将校だったハイドリヒは、ある時不名誉除隊を余儀なくされてしまう。怒りに震える中、ナチ党支持者である婚約者の励ましにより、彼はナチス党親衛隊指導者ヒムラーとの面接の機会を得ることになり……。

 

【オススメCOMMENT】

前半で描かれる若き日のハイドリヒが纏う異色の雰囲気や、海軍の不名誉除隊を受け荒れ狂う姿などを見ると、それらが後に恐ろしい男となる兆候に思えて既に恐ろしい。彼の残虐さや、立ち向かった若者の死闘に胸が締め付けられる中、垣間見えた若者たちの青春のひとときには心を救われる。ただそれも長くは続かなかったことを思うと切なく苦しい気持ちに。本作を通して我々は何を感じ、どう生きていくべきか。目を背けてはいけない歴史と向き合う機会として観ておくべき作品。

 

パワフル母ちゃんの愛情に感動!

映画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』


東映ビデオより8月21日リリース

(C)宮川サトシ/新潮社 (C)2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』あらすじ

心優しいが故に頼りないところがある息子・サトシの、明るくてパワフルな母親・明子がガンによりこの世を去ってから1年。やっと家族が新たな人生を歩み始めた時、サトシの元に母からあるプレゼントが届く。

 

【オススメCOMMENT】

30歳を過ぎても実家暮らしで母の存在に救われ続けてきた男が、突如訪れた母との別れを不器用ながらも力強く乗り越えていく。入院中の彼に病室でこっそりカレーを食べさせたり、年頃の息子に精子を提出させたりと、母親の突拍子もない行動には驚くが、そのすべてに込められた彼女の愛情には涙。そんな母を失った彼とその家族が子供のように泣き叫びながらも必死に前を向こうとする姿も目頭を熱くさせる。辛い別れと向き合い、受け入れ、前に進むことの大切さについて考えさせられる1本だ。

 

■前回の誰シネ(7月リリースタイトル)はこちらから

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