今こそ見るべき!映画のプロ11人に聞く”私のおすすめ配信ムービー5本”【後篇】

今こそ見るべき!映画のプロ11人に聞く”私のおすすめ配信ムービー5本”【後篇】

オリジナル映画からドラマシリーズ、バラエティショーまで、膨大かつさまざまなコンテンツが楽しめるネット配信。その中で “ 映画ファン” が楽しめる作品にはどんなものがあるのか? その答えに近づくべく、映画のプロであり、映画ファンの代表とも言える評論家、ライター、ジャーナリストの方々におすすめの作品を聞いてみました。

◉作品リストの後ろの( )内は 2020年4月時点での配信プラットフォームです。リストの1~5は便宜上のもので、基本的に序列はありません。 

映画ライター 常川拓也おすすめの5本

1:ユニークライフ(Netflix) ※シリーズ
2:セックス・エデュケーション(Netflix) ※シリーズ
3:ノット・オーケー(Netflix) ※シリーズ
4:アンビリーバブル たった 1 つの真実(Netflix) ※シリーズ
5: 同じ遺伝子の 3 人の他人(別題:まったく同じ 3 人の他人) (Amazon プライム・ビデオ)

 Netflixオリジナルシリーズ『ユニークライフ』独占配信中

スティーヴン・キングやジョン・ヒューズが築いた学園青春ものの伝統を踏まえた上で、多様な 人種やセクシャリティを持つキャラクターを意欲 的に盛り込むことで、既存のステレオタイプやパラダイムを変革し、クィアを祝福する包括的なドラマを中心に選んだ(順不同)。ジェニファー・ジェイソン・リー製作の1は、軽視されがちだが、ノア・バームバックが元妻である彼女との体験を基にした「マリッジ・ストーリー」と少なくとも同等に評価されるべき。パンセクシャルやアセクシャルをも明確に照射するセックスポジティブな 2、クィア版「キャリー」な3。4は「童貞。をプロデュース」の性的暴行の告発を考える上でも必見の現代の最重要フェミニズム・ドラマ。

 

映画批評/編集者 降矢聡おすすめの5本

1:ブリタニー・ランズ・ア・マラソン(Amazon プライム・ビデオ)
2:ハイ・フライング・バード-目指せバスケの頂点-(Netflix)
3:マーダー・ミステリー(Netflix)
4:風の向こうへ(Netflix)
5:ホールド・ザ・ダーク そこにある闇(Netflix)

 Amazon Prime Videoにて「ブリタニー・ランズ・ア・マラソン」独占配信中

オーソン・ウェルズの未完の遺作「風の向こうへ」がネットフリックスによってまさか完成されようとは。まさか、といえば配信作品でのアダム・サンドラーの目覚ましい活躍もそうだ。「マーダー・ミステリー」のようなサスペンスコメディはなにより演者の魅力にかかっている。であれば、 嫌な人物を魅力的に演じるというコメディ俳優の真骨頂「ブリタニー・ランズ・ア・マラソン」もオススメ。若手の有望株ジェレミー・ソルニエによるストイックな最新作「ホールド・ザ・ダーク そこにある闇」やスティーヴン・ソダーバーグの インディ精神溢れる「ハイ・フライング・バード- 目指せバスケの頂点 – 」も配信だからこそ可能となった映画だろう。 

 

映画評論家 真魚八重子おすすめの5本

1:コミンスキー・メソッド(Netflix) ※シリーズ
2:バリー(Amazon プライム・ビデオ)※シリーズ
3:FYRE:夢に終わった史上最高のパーティー (Netflix)
4:アンカット・ダイヤモンド(Netflix)
5:マインドハンター(Netflix) ※シリーズ

Netflixオリジナルシリーズ『コミンスキー・メソッド』独占配信中

 

『コミンスキー・メソッド』におけるマイケル・ ダグラスの軽妙さ。年齢に対する悲嘆をこめた自 虐的な目線と、それでも喜びがある挿話が楽しい。『バリー』も同じく演劇教室が舞台という偶然。 本作ではビル・ヘイダーの繊細な演技に泣かされる。バリーの心に、かすかなさざ波が立つ瞬間のドラマティックさに胸が突かれる。そして 「 FYRE~」の逃れ難い悪夢っぷり。どうにも止まらない暴走機関車のような悲劇に、黒い笑いを越えて鳥肌が立つ。「アンカット・ダイヤモンド」は作品も素晴らしいし、サフディ兄弟の新作が配信で観られる簡易さが嬉しい。気軽に観る視聴者によってファンも増えるかもしれないので。『マインドハンター』はルックが好み。

映画評論家 森直人おすすめの5本

1:FYRE:夢に終わった史上最高のパーティー (Netflix)
2:ザ・ダート:モトリー・クルー自伝(Netflix)
3:ルディ・レイ・ムーア(Netflix)
4:全裸監督(Netflix) ※シリーズ
5:チェルノブイリ(Amazon プライム・ビデオほか)※シリーズ

「FYRE:夢に終わった史上最高のパーティー」 Netflix映画『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』独占配信中

ネットフリックスのオリジナルドキュメンタリーが大好きで、つまみ食いの感覚でいろんな作品を日々鑑賞しています。本稿では最近の代表1本として怪作の類いをレコメンド。「 FYRE~」は悪名高き音楽フェス計画の大失敗に至る顚末を追ったもので、これほど現代の空虚で埋まっている映像作品を他に知りません。マジで観ている間、溜め息しか出ない(笑)。こういう昔で言う“ビデオス ルー”的な掘り出し物こそが大好物です。残りの4本は有名タイトルばかりで恐縮。 HBOのドラマシリーズ『チェルノブイリ』は Amazonプライムで観たのでセレクトに加えました。思えば本当にここ1~2年で、配信専用作品か否かという区別をほとんど意識しなくなったのは自分でも驚きです 

 映画評論家 吉田伊知郎おすすめの5本

1:同じ遺伝子の3人の他人(別題:まったく同じ 3 人の他人) (Amazon プライム・ビデオ)
2:チャック・ノリス vs 共産主義(Netflix)
3:ロングショット(Netflix)
4:消えた 16mm フィルム(Netflix)
5:マーキュリー13 宇宙開発を支えた女性たち(Netflix)

 

映画「マーキュリ−13 宇宙開発を支えた女性たち」Netflixにて独占配信中

ドキュメンタリーに限定したが、「同じ遺伝子の3人の他人」はTIFFで「まったく同じ人の他人」の題で上映されたもので、生き別れの3つ子が偶然再会したことから有名人となる。信じがたい内容だがこれがすべて仕組まれたものだったことが明かされる後半の転調も凄い。「チャック・ノリス共産主義」は西側諸国の情報を遮られた国民が米国映画を密かに鑑賞する映画会を催す。映画で世界を知ったと語るのが感動的。「ロングショット」は冤罪を晴らすために意外な映像が登場し、「消えた16mmフィルム」は映画に取り憑かれた者の狂気に慄く。宇宙飛行士志望の女性たちを描いた「マーキュリー~」は「ドリーム」の裏面史的面白さあり。

 

映画批評・編集者 渡部幻おすすめの5本

1:アンカット・ダイヤモンド(Netflix)
2:サクセッション(別題:キング・オブ・メディア)(Amazonプライム・ビデオ)※シリーズ
3:DEUCE/ポルノストリートinNY(Amazonプライム・ビデオ)※シリーズ
4:ウエストワールド(Amazon プライム・ビデオ)※シリーズ
5:伝説の映画監督 – ハリウッドと第二次世界大戦 – ( N e t fl i x ) ※シリーズ

 

Amazon Prime Videoにて『ホームカミング』シーズン1~2を独占配信中

1の映像と音のうねりは劇場で観たかった。2はメディア王一族の継承争いを辛辣に描いて抜群。3の70~80 年代の街と性意識の変遷。4はビッグデータに管理され、自由が幻影となった世界の悪夢と革命。5 は映画ファン必見のドキュメンタリー。配信終了間近の「ベトナム戦争の記録:ケン・バーンズ&リン・ノービック 監督」(Netflix) の大胆な構成は圧倒的。さらにHBOの『ウォッチメン』『シャープ・オブジェクツ』『ザ・ナイト・オブ』 『TRUE DETECTIVE』『またの名をグレイス』 『チェルノブイリ』『ビッグ・リトル・ライズ』、それに『MR・ ROBOT/ミスター・ロボット』『ブラック・ミラー』の着想、構成、社会批評に興奮したが、有名作なので、加えて映画マニア向けの拾い物『ホームカミング』( Amazon) を。帰還兵収容施設をめぐる奇妙なミステリ。

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