韓国エッセイ新刊発売記念!『僕だって、大丈夫じゃない』が教えてくれる、感情労働者の“心のモヤモヤ”との付き合い方とは?

韓国エッセイ新刊発売記念!『僕だって、大丈夫じゃない』が教えてくれる、感情労働者の“心のモヤモヤ”との付き合い方とは?

 

韓国エッセイ新刊2冊 6月11日発売記念!中身もチラ見せ!

「僕だって、大丈夫じゃない~それでも互いに生かし生かされる、僕とあなたの平凡な日々~」編

“感情労働”に苛まれる“大丈夫じゃない”人に贈る、心のモヤモヤとの付き合い方とは?

 

 

 毎日走り続けて疲れきった心を癒す『あやうく一生懸命生きるところだった』や、自尊心を高めてくれる言葉の数々が光る『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』など、日々抱える心のモヤモヤや不安を代弁し、心の隙間やモヤモヤにそっと寄り添ってくれる韓国エッセイに、新たな2冊が登場! 中身のチラ見せも含め、本書が教えてくれるメッセージをご紹介します。

『大家さんと僕』の著者・矢部太郎さんも賛辞を寄せる『僕だって、大丈夫じゃない』の悲しき“感情労働者”の日常に見る、心のモヤモヤとの付き合い方とは?

(こちらの記事では『僕だって、大丈夫じゃない』のご紹介をします。『あたしだけ何も起こらない』はこちらから

 

矢部太郎さんが絶賛!「人を癒すとき、その人もまた癒されている」

   本書冒頭のイラストより 医師と患者のお婆さんの関係において、互いが互いの存在で生かされている、という本書のメッセージを表現する構図

 

 韓国で小さな診療所を営むシニカルな医師が、日々対話するご老人などの患者さんたちとの間で生まれる心のモヤモヤを吐露したり、患者さんたちから掛けられる温かい言葉やささやかな行いに医師自身が有難みを感じたりする様を38のエピソードで綴った『僕だって、大丈夫じゃない~それでも互いに生かし生かされる、僕とあなたの平凡な日々~』は、疲れた心をじんわりと温かくしてくれるヒーリング・エッセイです。著者のキム・シヨン氏は本作で「ハンミ随筆文学賞」を受賞しており、翻訳は昨今の韓国エッセイブームの火付け役となった『あやうく一生懸命生きるところだった』や『今日も言い訳しながら生きてます』などで著者の悩める心情を爽快に表現する名手・岡崎暢子さんが手掛けています。

 

 

 

 また、本書の世界観に共感いただいた『大家さんと僕』シリーズの著者・矢部太郎さんが帯コメントに賛辞を寄せてくれました。コメントは表1側(カバー)と表4側(カバー裏)のリバーシブルになっているので、ぜひ書店等でその素敵なイラストとコメントをご覧ください。

 

 

 

『僕だって、大丈夫じゃない~それでも互いに生かし生かされる、僕とあなたの平凡な日々~』プロローグの一部を特別紹介

翻訳家・岡崎暢子さんの翻訳が光る本文の中から、今回は特別にプロローグの一部をご紹介します! キム・シヨン医師が過去の人生の辛い時期を振り返り、今日の自分が如何にして生かされているか(そしてなぜこの本の文章を書くに至ったか)が綴られています。

 

プロローグ「僕とあなたのよみがえり記録」より

 

―僕は一時期、やたら大げさに痛がる人たちや、生きるのがつらいと弱音を吐く人たちに対し、「大丈夫、それくらいでは死んだりしないから」という結論を提示してあげることが、医者としてできる最善の励ましだと信じていた。

そうやって決めつけた結論の中に自分を閉じ込め、高い塀をぐるりと巡らせていた。その間にも外の世界はどんどん広がって、狭い塀の中にいる僕はどんどん身動きが取れなくなっていった。

 

 しかし、そんな僕を救い出してくれたのは、皮肉にも僕から「大丈夫、死なないから」という言葉を聞かされてきた人たちだった。

 彼らは懲りもせずにやってきては「しんどくてもう死にそう!」という言葉で僕の目を覚まさせ、挙句の果てには「私たち、死なないで一緒に生きていこうね」と言って僕の手を取り、立ち上がらせてくれたのだ。

 

 ともすると、この本に収載されることになった文章は、

奈落の底で死んだように生きていた僕を救い出してくれた周囲の人々が

僕に書かせた蘇生記録、すなわち、よみがえりの記録なのかもしれない。

 

 

このプロローグに続く、キム・シヨン医師の心の葛藤の物語をぜひ本書にてお確かめ下さい。

(※本原稿は、キム・シヨン著、岡崎暢子訳『僕だって、大丈夫じゃない~それでも互いに生かし生かされる、僕とあなたの平凡な日々~』からの抜粋です)

 

 

“医師だって、感情を等しく持った人間なのに。”                           “感情労働者”が抱く悲しさと、他者への感謝の念

 

本文中のイラストより 頑固なお婆ちゃんに時には苛まれ、時には褒めたたえられる日常が表され、医師の感情が右往左往する様が描かれている。

 

 ERで緊迫していた日々を送っていたキム・シヨン医師が、片田舎の町医者となり緊迫感とは無縁の人々の相手をすることで、最初は無気力感に苛まれていたものの、そんなことはお構いなしに素直にぶつかってくる患者さんから受けるエネルギーに辟易しながらも、その本当の有難さに気づいていく。そんなひとりの人間の心が周囲の人によって少しずつ救われていく様を描いた物語のなかで、著者は自身のことも含め、自分の本心と切り離して仕事せざるを得ない“感情労働者”の苦労についても触れています。

 

―自分の本心と切り離して職務を遂行しなければならない労働を、近頃では“感情労働“といい、そしてそんな仕事に従事する人たちのことを“感情労働者”と呼ぶ。

 

―医師という職業を、頭脳労働者でも肉体労働者でもなく、感情労働者としてカテゴライズすべきか否かを論じようとしているのではない。ただ、医師も人間であるということ、誰もが感じる感情を同じように感じる平凡な人間であるということを言いたいだけだ。

 

―とにかく、爆発しそうな瞬間や、逆に気が抜けるほどがっかりするような場面に無理して目をつぶり、感情のさざ波が脳細胞の中に入り込まないように耐え忍ぶことは、決して生易しいことではない。口ではいつも“大丈夫、人はそんなに簡単に死なないから”と言っていたって、実際のところ、僕だって大丈夫じゃないときが多いのだ。

(エピローグ「だけど本当は、僕だって大丈夫じゃない」より抜粋)

 

 著者は、自分に生きる活力を与えてくれる他者への感謝を強く感じながら、また一方では、周囲との関係に同時に苛まれているという、私たちも日常の中で必ず一度は感じたことのある感情を吐露しています。人を診ながらも、“自分だって大丈夫じゃないのに”という感情を心のどこかで抱える医師の思いは、誰にでも共通する不安や心のモヤモヤだと言えるでしょう。

38の温かいエピソードで紡がれた、“それでも互いに生かし生かされていく”という他者との関わりの本質を突く、ある医師の平凡な日常を綴った本書。キム・シヨン氏の日常の一ページを開くことで、著者と同じように爆発しそうな感情と隣り合わせになりながらも、今日一日を頑張って生き抜いたあなたにそっと寄り添い、心を蘇らせてくれる1冊です。

 

また、本書の発売を記念したイベントも開催予定ですので、本書や韓国エッセイに興味のある方などはぜひご参加いただければと思います。

●2021年7月2日(金)20:00~21:30

【オンライン】人気翻訳家に聞く! 共感できる韓国エッセイとは? 韓日翻訳家という仕事の魅力に迫る(→こちらから

『僕だって、大丈夫じゃない』の翻訳家・岡崎暢子さんと『あたしだけ何も起こらない』の翻訳家・藤田麗子さんの、今をときめく2大韓日翻訳家の豪華対談でお贈りします。本書に込められた想いや、ここでしか聞けない翻訳家のお仕事について、皆さんのご質問もお受けしながら語っていただきます。

 

●2021年7月5日(月)

岡崎暢子×名越康文「モヤモヤを抱えて働くあなたへ贈るーー精神科医に聞く!
“感情労働者”の心のモヤモヤとの付き合い方」韓国翻訳エッセイ『僕だって、大丈夫じゃない』刊行記念(→こちらから

「医師だって感情を持つひとりの人間なのに」と思いつつも、そんなことはお構いなしに向かってくる患者さんたちとの間で生まれる“感情労働者”の苦悩を吐露した内容を、名手・岡崎暢子さんが翻訳した本作。精神科医で最新作『仕事で折れない心のつくり方』を著書に持つ名越康文先生に、『僕だって、大丈夫じゃない』の著者のように、仕事上で自分の心の弱さや鬱憤に日々向き合う人々への“しなやかな仕事の仕方”のヒントを、日韓の労働環境も比べながらお聞きします。

 

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◆新刊書籍のご案内

「大家さんと僕」シリーズの著者・矢部太郎さんが絶賛!

「第18 回ハンミ随筆文学賞」優秀賞受賞、今最も翻訳が期待される話題のエッセイ。

僕たちはみんな、互いに生かし生かされて今日を生きている—。雑多な感情の中で今日一日も生き抜いたあなたに贈る、     珠玉のエッセイ。  

仕様:A5判変形・並製/304頁/1,650円(税込み)/発売日:2021年6月11日発売/発行:キネマ旬報社 ※電子版書籍も6月11日同時発売です

長い間ERと霊安室の間で緊迫した日常に追われていた韓国の医師・キム・シヨン氏が、「もう少し違う生き方があるのではないか」と考えて移った田舎町の病院で出会う人々。親戚との関係に思い悩む主婦、人生の岐路に立つ青年、そして今日一日を逞しく生きようとする、ちょっとわがままなご年配の方々とのエピソードを、医師自身の幼き日や壮絶な過去を交差させながら、心象風景豊かに優しく紡ぎ出す。

ちょっとシニカルな町医者と、彼の診療所に集う患者たちとの対話に垣間見る、“私たちは互いに生かし生かされて、今日も生きている”という心温まる人生のメッセージ。たとえ自分が“大丈夫じゃないとき”も、周囲の人がそっと自分の味方をしてくれていることをじんわりと感じられる、38の温かくて愛おしい物語。

 

韓国で、感動・共感の声、続々!
「思わず自分の人生を振り返ってしまう本。」
「ささやかな出来事に目を向けることの大切さを、思い出させてくれる。」
「まるで一本の映画を見終わったような読後感でした。」
「こんなふうに温もりが感じられる病院に通えたら、どんなにいいんだろうと想像してみる。」
「生産的な仕事をしていないという絶望感に陥っている人、みんなに推薦したい。」
「泣かせて笑わせる、作家の力量を感じました。」
(韓国大手書店KYOBO文庫、韓国のネット書店YES24のブックレビューより)

 

 

著者・訳者プロフィール 

[著者] キム・シヨン 

韓国の片田舎に位置する、五日市が立つ広場の傍らで診療所を営む医師。医大で学んだ後、人命救助の最前線に身を置きたくて、長い間ERと霊安室の間を右往左往する。十数年前、何の因果か町医者となり、緊迫していた前職とは打って変わった平和な場所に身を置く日常に。子どもの頃から暇を見つけては書いていた日記を再び綴り始めたところ、またもや何の因果かそれらの文章がハンミ随筆文学賞を受賞し、出版されることになる。お婆さんたちの荒れた手を握りながら、「いい加減にお仕事を引退したらどうですか?」と言うのが現在の仕事であり、帰宅して家族と二匹の犬と触れ合うのが日々の楽しみで、この退屈で平凡な日常の中に時折感じる幸せを忘れないように記録するのが趣味である。

[訳者] 岡崎暢子( おかざき・のぶこ)

韓日翻訳家・編集者。韓国人留学生向けフリーペーパーや韓国語学習誌、韓流ムック、翻訳書籍などの編集を手掛けながら翻訳に携わる。訳書に『あやうく一生懸命生きるところだった』『今日も言い訳しながら生きてます』(ダイヤモンド社)、『頑張りすぎずに、気楽に お互いが幸せに生きるためのバランスを探して』(ワニブックス)、『1cmダイビング 自分だけの小さな幸せの見つけ方』(宝島社)、『自分をすきになる こころの練習帳』(小学館)などがある。

 

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