ムン・ソリら“三姉妹”が数々の女優賞に輝いた注目作

ムン・ソリら“三姉妹”が数々の女優賞に輝いた注目作

 韓国の主要映画賞で軒並み女優賞に輝き、釜山映画祭パノラマ部門にも出品された『ThreeSisters』(英題)が、「三姉妹」の邦題で、6月17日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開される。

 本作は「オアシス」(02/イ・チャンドン監督)でヴェネツィア映画祭の新人賞であるマルチェロ・マストロヤンニ賞に輝き、以後もパク・チャヌクやホン・サンスといった韓国の名匠たちとタッグを組み世界を魅了してきた名優ムン・ソリが、その脚本に感銘を受け、主演を務めるとともに共同プロデュースを買って出た、現代を生きる烈しくもあたたかい三姉妹の絆の物語。

 

 

 韓国の賞レースでは、第42回青龍映画祭で最優秀主演女優賞・最優秀助演女優賞、第57回百想芸術大賞で最優秀助演女優賞、第41回韓国映画評論家協会賞で最優秀主演女優賞・最優秀助演女優賞、第30回釜日映画賞で最優秀助演女優賞に輝くなど、女優部門を席巻。イ・チャンドン監督は「非凡な映画。何を想像しても、それ以上」と絶賛コメントを寄せている。
 日本では第16回大阪アジアン映画祭の特別注視部門で上映されて観客の心を掴み、SNSに絶賛コメントが並んだ。そしていよいよ日本正式公開が実現。

もがきながら希望を見出す三姉妹

 韓国・ソウルに暮らす三姉妹。長女ヒスクは別れた夫の借金を返しながら、しがない花屋を営んでいる。一人娘には疎まれ相手にされなくても、“大丈夫なフリ”をして日々をやり過ごす。次女ミヨンは熱心に教会に通い、聖歌隊の指揮者も務める模範的な信徒。高級マンションに暮らし、家庭でも“完璧に”振る舞うが、そんな日常は次第にほころび始める。劇作家の三女ミオクはスランプで、昼夜問わず酒浸りの自暴自棄な日々を送り、夫の連れ子である息子の保護者面談に“酔っていないフリ”で乗り込む始末。性格、仕事、生活スタイル、全てが異なる彼女たちは、父親の誕生日を祝うために久しぶりに一堂に会し、蓋をしていた幼少期の心の傷と向き合うことに──。
 真正面から自身と対峙し、もがき、苦しみながらも新たな希望を見出していく三姉妹の姿を、ユーモアを交えながらも激しく活写した。

実力派女優たち×鬼才監督

 長女ヒスクを演じたのは、名バイプレイヤーのキム・ソニョン。日本でも一大ブームとなったドラマ『愛の不時着』で、北朝鮮の人民班長ナ・ウォルスクを人情味豊かかつコミカルに演じて話題となったが、今回も悲哀に満ちながらもどこか可笑しみを感じさせる熱演を披露。ムン・ソリは完璧な人間として気丈に振る舞いながらも、徐々に仮面が剥がれていく次女ミヨンを演じている。三女ミオク役には、長年トップモデルとして活躍し、2015年の韓国で年間興収1位を記録した「ベテラン」で映画デビューしたチャン・ユンジュを抜擢。自暴自棄になり感情を爆発させる劇作家ミオクを体当たりで演じている。
 監督は長編デビュー作『Communication&Lies』(15)で釜山国際映画祭NETPAC賞に輝き、本作が長編3作目となるイ・スンウォン。イ・チャンドン監督がその手腕を激賞する鬼才だ。

 

「三姉妹」

監督・脚本:イ・スンウォン
製作:キム・サンス、ムン・ソリ
音楽:パク・キホン
出演:ムン・ソリ、キム・ソニョン、チャン・ユンジュ、チョン・ハンチョル
2020年/韓国/韓国語/ビスタ/カラー(一部B/W)/5.1ch/115分/原題:세자매/字幕翻訳:中西美絵
配給:ザジフィルムズ
http://www.zaziefilms.com/threesisters/
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