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【第26回】グレイト余生映画ショーin日活ロマンポルノ

 2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。

 衛星劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定)

2013年10月放送「絶倫」

 どうも、こんにちは。みうらじゅんと申します。「グレイト余生映画ショー In 日活ロマンポルノ -民俗学入門-」。今回扱うテーマは「絶倫」でございます。これ見てる方で「あっ俺の事だなと思う方」だけはチャンネルをひねらず、そのまま見て下さいね。

 その時、股間がうずいた 今宵の教材は、百戦錬磨のスケコマシ。『極楽坊主 女悦説法』勃っても勃ってもまだ勃ちやまぬ。果てしなき性欲の限界に迫る!!いたるところでテント張り、穴があったら入りたい。その瞬間から新たな歴史が始まる

 今回のテーマ「絶倫」、僕はそのことを「Z」と読んでいるんですけども、街とかでZ会って文字を見つけるとね、ついつい、絶倫の人が集まってるのかなと思ってしまいます。さあ、今回紹介するのは、『極楽坊主 女悦説法』という作品でございます。

坊主・ビー・アンビシャス 『極楽坊主 女悦説法』

 この番組でも何度か「坊主」ものとりあげたかと思うんですけども、この時代、70年はですね、坊主と言うと何故か「絶倫」の称号でもありました。禁欲のイメージが色濃くあったんでしょう。それが真逆に扱われたのかも知れませんね。

 僕は小学校の時から仏像趣味があり、将来的にどこか地方のお寺の住職になろうと思ってたんです。中学高校は仏教系の学校に通ってたんですけどもね。でも、エロ坊主という言葉を知り、極楽とはそういう意味じゃないと思いましたね。

 そもそもそもそも極楽と地獄という設定は、奈良時代の終わり、または平安時代の始め頃に、源信というお坊さんがまとめました「往生要集」という仏教の経典から、極楽と地獄の考え方が広まったと言われております。今回この『極楽坊主 女悦説法』ってタイトル、かなり矛盾がありますよね。

 「色即是空 空即是色と言いつつ、女悦説法の極意を教えるというのですが、それでなぜ極楽に導くか、そこを調べるためには「極楽往生」という言葉を知らなければいけません。

■おイキなさい 仏教と絶頂のメカニズム

 そもそも女の人が「イク」というのはどういう意味か?

 「イク~ッ」という言葉は漢字に直すとね「極楽往生」の「往く」なんですよね。だから、女の人の「イク~ッ」っていう言葉は、平安時代からあったのかも知れません。。。

 それに反して、洋モノピンク映画、いわゆる洋ピンの場合は「カム、カム」ですね。これは極楽が「COME=来る」という表現なんでしょう。絶頂を「往く」と「来る」で表現するということで宗教観の違いがありますよね

 この『極楽坊主 女悦説法』ふんだんに、お寺のシーンが使われております。1972年、どこのお寺なんでしょうかね、こういう映画にオープンで撮影場所として貸しているということはずですね。ものすごくオープンであるということですね。

 本堂はもとより、ほとんどセットじゃないと思うですよね。それに太鼓であったり、神様にまつわるものも置いてありますから、当然仏教と神道が合体しているお寺ってことはですね、僕は長年「見仏記」という連載で、お寺を巡っておりますので、かつて行ったこともある場合があります。

 本堂の中の撮影を許している上に、鐘ですよね。鐘をつくとこの外ロケ、そこに女の人がこういうシーンででてくるので、うーん、思わず絵が描きたくなりました。

 いやあ、どう説明したら許可が降りたんですかね? 映画の中でも如意棒とていう言葉が出きます。「西遊記」の孫悟空が使っていたもので自由自在に伸びたり縮んだりする棒のことですよね。そういうことを全てね、いやらしい方向にもっていこうとしてるのがこの『極楽坊主 女悦説法』でございます。そしてこの映画に祀っている神様がこれですね。

 

 完璧にこっちの方は、女陰の形を模してあります、これはまあ多分神様系のもの、そしてこっちは背中の光背の部分が男根を似していて、そして下に俵を二つ、これは当然宝殿ということで、俵を模しているでしょうけども。これは、いろんな神様が集合しているからヒントを得ているんだとおもいます。もちろん男根の形態を模したものは、ヒンドゥー教の「リンガ」(ヒンドゥー教の寺院にまつられる男根を形どった彫刻)に由来するものですよね。そうしたものは日本では「秘仏」として扱われいる場合が多く、この作品にもそうした民俗学的な流れあるのかも知れません。

 ということで、今回は秘めたるそうした文化を考えながら見て頂くと一層楽しめると思います。

 今月の映画を紹介したいと思います。

極楽坊主 女悦説法』 

1972年製作。坊主役の平凡太郎さんの絶倫ぶりをお楽しみください。

発禁 肉蒲団』 

1975年製作。田山花袋の純文学とは違いますよ。

犯す!』 

1976年製作でございます。

レイプ25時 暴姦』 

1976年製作でございます。

各作品はamazonFANZAをはじめする動画配信サービスにて配信中です。

それではあなたもグレイト余生を!

 

出演・構成:みうらじゅん/プロデューサー:今井亮一/ディレクター:本多克幸/製作協力:みうらじゅん事務所・日活

衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」を放送!

※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集

【日活ロマンポルノ】
日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 日活ロマンポルノ公式ページはこちらから
 
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