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海外テレビドラマ「ランサム 交渉人」ー交渉人たちは、”情報戦”と”心理戦”で使命を果たす

主人公は”交渉人”。犯人との”駆け引き”が腕の見せどころ

知的な風貌の捜査官たちが颯爽と並んだジャケット写真だけを見ると、チームで事件を捜査するよくあるタイプのドラマかと思ってしまいそうだが、このドラマは一味違う。主人公は、公的機関の捜査官ではなく、民間会社の交渉人たち。彼らの目的は、事件の解決ではなく、犯人と交渉して人質を解放させることなのだ。人命救助が最優先で、そのためにはウソをついても問題ないし、あえて警察に協力しないこともある。そんなユニークなクライム・サスペンス「ランサム 交渉人2」(全13話)が6月3日に、「ランサム 交渉人3」(全13話)が7月8日にDVDがリリースされる。この機に一気に鑑賞してみるのはいかがだろうか。

交渉人たちの武器は”情報”と”心理分析”

突然、会社に侵入してきて立て籠もり事件が発生。ドラマは現実と同様に、いったい何が起きているのか分からないところからスタートする。社長の命を狙う男の目的は何なのか。また家族旅行の途中で、いきなり母親だけを誘拐した男達は、何が目的なのか。チームの仕事は、状況が示すわずかな情報を元に、犯人の目的を探るところがら始まる。その過程は、謎解きミステリーにもなっているのだ。

もう一つ、このドラマがユニークなのは、主人公たちの使う武器が、腕力ではなく知性、”情報”と”心理分析”なこと。まず、相手の生活環境から事件直前の行動、現在の表情までの各種情報を集積し、プロファイリングによって心理や動機を分析する。次にそれに基づいて、相手に心理戦を仕掛ける。

その時、その人物に何をどう語ったら有効なのかを見極めるのが、交渉人の腕の見せどころ。教会に人質と一緒に立て籠った犯人が、神の声を待っていることが推測された時は、どんな行動をするのか。また、別の犯人のPTSDが長期の監禁によるものらしいと分析された際には、何を語るのか。そんな時に交渉人が披露する技が予想外で、いちいち唸らせてくれる。

そんなスゴ技の数々を見せてくれるのが、カナダの危機管理会社クライシス・レゾリューション社の精鋭メンバー4人、交渉の達人エリック(ルーク・ロバーツ)、プロファイラーのオリヴァー(ブランドン・ジェイ・マクラレン)、元警官のザラ(ナズニーン・コントラクター)、交渉人志望の新人マキシン(セーラ・グリーン)。シーズン2の途中からは、マキシンに代わり、元政府職員のシンシア(カレン・ルブラン)がメンバーとして参加。彼ら4人が世界各地に呼ばれて、事態の解決を試みる、1話完結のドラマが展開していく。

ドラマのリアルさ奥深さは、実在の交渉のプロが監修しているから

こうしたストーリーがリアルで人間心理の奥深さに満ちているのは、実在の交渉人たちの実体験に基づいているから。実在の交渉人ローラン・コンバルベールとマルワン・メリーの体験を元にして、彼らを監修に迎えて作られたドラマなのだ。その時、警察はどう動くのか、FBIならどう行動するのかといった描写がリアルなのは、彼らの体験があってこそだろう。

そのうえ、クリエイターの一人は人気シリーズ「X-ファイル」の脚本家出身で、「高い城の男」「トランスポーター ザ・シリーズ ニューミッション」などの脚本&製作総指揮で知られるフランク・スポトニッツ。もうひとりのデヴィッド・ヴェイノーラも脚本家出身で2人が自ら脚本を書いたエピソードもあり、ストーリーの面白さには、脚本家ならではのこだわりも感じられる。

このタイプのドラマにありがちな、エピソードをまたいで続く主要登場人物による人間ドラマも、シーズン1にはあったが、シーズン2以降はほとんどなく、あくまでも1話完結のエピソードの面白さや充実度を重視。だからストーリーに見応えがある。

キーワードは「別の方法を探そう」

そして、こんな今だからより胸に染みるのが、凄腕交渉人エリックが、究極の選択を迫られたときに決まって口にする言葉、「方法を探そう」。彼ら交渉人たちは、いつも犯人に「AかBか」の究極の選択を迫られる。代表的なのは「自分の要求に従うか、人質が殺されるのを見ているか」という選択だ。だがエリックたちはそんな時、「方法を探そう」と言って、AもBも選択しないですむ、別の方法を探そうとする。犯人の要求に従わず、人質も殺させない、そのためにはどうすればいいのかに知恵を絞るのだ。そして、彼らはいつも方法を見つける。シリーズの根底にあるこのポジティブなメッセージが、事件が解決した時の感動を、より深く温かいものにしてくれるのだ。

 

文=平沢薫 制作=キネマ旬報社

 

「ランサム 交渉人2」

●6月3日(金)DVD発売(レンタル同時リリース) 
DVDの詳細情報はこちら

●DVD-BOX 14,080円(税込)  

 

●2018年/カナダ/本編約548 分
●クリエイター・製作総指揮:フランク・スポトニッツ、デイヴィッド・ヴェイノラ
●出演:ルーク・ロバーツ、セーラ・グリーン、ブランドン・ジェイ・マクラレン、ナズニーン・コントラクターほか
●発売・販売元:KADOKAWA
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