「死んでもいい」「ヌードの夜」「GONIN」など 映画監督・石井隆さん死去

「死んでもいい」「ヌードの夜」「GONIN」など 映画監督・石井隆さん死去

「死んでもいい」(92)「ヌードの夜」(93)「GONIN」(95)「花と蛇」(03)「GONIN サーガ」(15)などで知られる映画監督の⽯井隆(本名:⽯井秀紀)が5⽉22⽇、癌のため都内自宅で死去した。75歳。葬儀は近親者で行った。喪主は石井の制作プロダクション・有限会社ファムファタルの阿知波孝、鈴⽊隆之。

「GONIN」撮影現場の石井隆(C)femme fatale

1946年生まれ、仙台市出身。早稲田大学商学部卒業後の1977年、ヤングコミック誌上で劇画『天使のはらわた』の連載をスタート。名美という女と、彼女に翻弄され運命を狂わされる男・村木哲郎。ふたりの物語を連作し一躍人気劇画家に。同作は78年、にっかつロマンポルノ作品「女高生 天使のはらわた」として映画化。ロマンポルノの看板シリーズのひとつとなり、79年の「天使のはらわた 赤い教室」では、原作者の石井自身が脚本を執筆。そして88年、「天使のはらわた 赤い眩暈」で少年時代からの夢だった映画監督デビューを果たす。今でこそ自主映画出身や異業種監督は当たり前になっているが、撮影所の厳しい徒弟制度がまだ生きる中、助監督修業を経ずにいきなり監督になった石井は非常に稀有な存在であった。

92年には、大竹しのぶ、永瀬正敏、室田日出男らが出演した「死んでもいい」を発表。第33 回ギリシャテッサロニキ国際映画祭で最優秀監督賞および第10 回イタリアトリノ国際映画祭審査員特別賞(準グランプリ)を受賞するなどで国際的な評価を得ると共に、国内でもキネマ旬報ベスト・テン脚本賞および主演女優賞(大竹しのぶ)はじめ、各映画賞を賑わせた。監督作第2作目にしての快挙に映画界は沸き、続く93年「ヌードの夜」(出演:竹中直人、余貴美子、根津甚八、椎名桔平)ではサンダンス・フィルム・フェスティバル・イン・トーキョー’94のグランプリに輝く。その後も94年の「天使のはらわた 赤い閃光」(出演:川上麻衣子、根津甚八)、「夜がまた来る」(出演:夏川結衣、根津甚八)と、“名美と村木の物語”を描く。95年、佐藤浩市、本木雅弘、竹中直人、根津甚八、椎名桔平、木村一八、鶴見辰吾、永島敏行、ビートたけしのオールスターキャストで、ヤクザの資金強奪と壮絶な報復劇を展開した「GONIN」を発表。ロカルノ国際映画祭、トリノ国際映画祭、エイテボリ国際映画祭、バンクーバー国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭に正式招待された。遺作となった2015年の「GONINサーガ」の舞台は、その「GONIN」から19年後の世界。親世代の因縁で犯罪に絡めとられていく子どもたちの物語を紡いだ。

「フィギュアなあなた」の屋上シーンを演出する石井隆(C)femme fatale

団鬼六によるSM小説を杉本彩主演で映画化した「花と蛇」(03)「花と蛇2パリ/静子」(05)では“ハナヘビ現象”と呼ばれたセンセーションを巻き起こす。他の主な監督作に「月下の蘭」(91)「GONIN2」(96)「黒の天使 vol.1」(98)「同vol.2」(99)「人が人を愛することのどうしようもなさ」(07)「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」(10)「フィギュアなあなた」「甘い鞭」(13)などがある。

97年にはローマ・トリノ・ボローニャで「死んでもいい」など8作品、98年にはモントリオールで「GONIN」「GONIN2」「黒の天使vol.1」、01 年にはフランスのエトランジェ国際映画祭で“石井隆レトロスペクティブ” が開催され7作品が上映されるなど、世界各地の映画祭で観客を魅了。実現には至らなかったがスティーヴン・ソダーヴァーグから「GONIN」ハリウッド・リメイクのオファーが届いたことをはじめ、クエンティン・タランティーノなど海外の映画監督からも深く愛された。

すべての作品で自らが監督のみならず、脚本も手掛け、“石井隆ワールド”を純化。終生、妥協なき映画人生を貫いた。

「フィギュアなあなた」の廃屋ロケセットにて(C)femme fatale

 

 

 

訃報カテゴリの最新記事