アツい映画の季節がやってきた!こがけん×松崎健夫が語る「死ぬまでにこれは観ろ!2022」【後編】

アツい映画の季節がやってきた!こがけん×松崎健夫が語る「死ぬまでにこれは観ろ!2022」【後編】

アツい映画の季節がやってきた!こがけん×松崎健夫が語る「死ぬまでにこれは観ろ!2022」【後編】

「クー」と言いながら二人で「不思議惑星キン・ザ・ザ」ポーズ

映画評論家・松崎健夫と、いまもっとも映画に造詣の深い芸人として、 またハリウッド映画ものまねでおなじみのこがけんの二人が、 9年目に突入したキングレコード夏の恒例キャンペーン 『死ぬまでにこれは観ろ!2022 キング洋画320連発!』を語る後編。

▶前編はこちらから

松崎&こがけん「死ぬこれ2022」おすすめの3作品

松崎 僕がおすすめしたいのはジャン=ポール・ベルモンド作品。中でも「恐怖に襲われた街」(75)がすごく好きで。ベルモンドが、パリのど真ん中のビルの屋上で銃撃戦、走行中の地下鉄の上を走ったり、匍匐前進したりとジャッキー・チェン顔負けのアクションをしている。ジャッキーは幼いころから武術をやっていたけど、ベルモンドは『ルパン三世』のモデルともいわれるような華奢な体でそれをやってのける。今回のベルモンドのラインアップではこれが一番すごいので、ぜひ観てほしい。

こがけん 追悼の意味も込めて観てみます。僕は「アメリカン・サイコ」(00)を。もう好きすぎて。

松崎 「アングスト/不安」にもつながる!?

こがけん そうです! 男性上位社会の歪みをスプラッタホラーに昇華させた作品。監視カメラがたくさんあるタワーマンションで主人公の男がどんどん殺人を犯していくのを主観で見せていく。しかし事件が起きても騒ぎにならない……その伏線が最後に回収される。だからこのタイトルだったんだ! とびっくりしました。ホラーとコメディは、緊張と緩和が表裏一体で、この映画の象徴的な名刺交換シーンがそれ。自分よりいい名刺を出してきた相手を見て、汗をダラダラかく様子を、ホラーやサスペンスのトーンで描く! それが一番シニカルで笑えます。

松崎 2本目のおすすめはブルック・シールズが売りの「エンドレス・ラブ」(81)。

こがけん (松崎が持参した私物DVDを手に取り)「永遠女優シリーズ」ってシールが付いていますけど……。

松崎 このシールはきれいに剝がして、捨てずに再びパッケージ本体に貼り直します(笑)。「天使とデート」もこの「永遠女優シリーズ」。当時、僕はブルック・シールズが大好きで。この作品ってラブラブのロマンスものに見えるでしょう? だけどすごく悲惨な話、ジェットコースター・ドラマみたいな展開で、公開当時はものすごく引いた。彼女見たさに映画を観に行ったのに、全然違うものを見せられた感じで、何でこんな物語なんだよと思ったんですが ……このフランク・ゼフィレッリ監督は「ロミオとジュリエット」(68)で有名になったと後で知り、現代版ロミオとジュリエットをやりたかったんだなと。ブルック・シールズは当時15〜16歳。小学生の僕からするときれいなお姉さんだと思ったけど、30代になって観直したら、あ〜子どもだったんだな〜と思った。それも発見で、大人がこの映画に熱狂しなかったのは、子どもの話に見えていたから。一方で、そうした若い年代に向けて作られる映画があることもわかった。そうそう、これはトム・クルーズのデビュー作。ちょい役で、40秒間くらい出ている。

こがけん 僕の2本目のおすすめは「スーパー!」(10)。ちょっとカルト臭のする、僕的にはA級のB級映画で、同時期にヒットした「キック・アス」(10)と同じ自警団もの。主人公のおじさんは特殊能力もないのに、ヒーローになりきる、クレイジーな人と紙一重なところが面白い。「ジョーカー」(19)みたいに、つきはなして痛々しく妄想を撮る方法もありますが、おかしなおじさんをヒーローとして持ち上げるところがいい! ジェームズ・ガン監督はそもそもカルト志向が強くて、同監督の前作「スリザー」(06)はゴア表現も多々あり、なかなかグロい造形のモンスターを登場させつつも笑わせようとするという変わったホラー作品。「スーパー!」もそういったゴア表現やシニカルな笑いは健在で。本作は、何も持たないただの男でもヒーローになれる、という勇気を出して行動を起こす重要さを、かなりひねくれた形で教えてくれます(笑)!

松崎 3本目は「サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス」(74)。これはいろいろあって、米国でVHSやDVDは出たけどそれっきり。おそらく昨年日本で上映されたのが世界初公開だと思います。「ジョイフル・ノイズ」(84)というライブ映画もあって、それを観ると、サン・ラーという人の背景がよく分かる。こちらはSF映画で、サン・ラーが宇宙から地球に帰ってきた設定です。僕がこれを推した理由の一つは、フィルムをスキャニングしてデジタル化していますが、ゴミや傷を一切取っていないこと。古い映画をきれいにリストアすることは、果たして監督が意図したものになるのか!? それに対する答えのような気がして。映画は上映するたびに劣化する文化だってことを知らしめるために、わざわざそうしたんだと思うんです。そういう視点からお薦めしたい一本です。

こがけん 僕は旧ソ連(ジョージア)で作られた「不思議惑星キン・ザ・ザ」(86)を。ほんと、ほっこりします。

松崎 これも音の映画ですね。

こがけん 本当ですね。出てくる異星人も、「天使とデート」の天使ぐらい「クー」とか「キュー」しか言わない。僕、SFストップモーションアニメ「JUNK HEAD」(21)にいたく感動して。ほぼ1人で7年かけて制作した堀貴秀監督が「〜キン・ザ・ザ」に影響を受けたと聞いて、なるほど! と。かつてNSC(吉本総合芸能学院)にいたとき、ユーロスペースに観に行ったんです(2001年)。スチームパンク的な世界観に、拍子抜けするぐらい見た目は地球人のキン・ザ・ザの人たち。特殊メイクする気は一切なく、あくまでセットと小道具で説得力を出すんだ! という割り切り方も気持ちよかった。観た後絶対に「クー」って言いたくなる素晴らしい映画体験でした。SFとしても輝く個性があって、今となってはカルトでもない、普通に面白い作品だと思います。

松崎 前半の3本は見事に毛色が違い、後半のおすすめ作品はそれぞれバランスが取れた3本になりました。

こがけん やっぱり「死ぬまでにこれは観ろ!」シリーズのラインアップは幅が広い!

文=岡﨑優子/制作:キネマ旬報社(キネマ旬報7月下旬号より転載)

松崎健夫(まつざき・たけお)/1970年生まれ、兵庫県出身。東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻終了。デジタルハリウッド大学客員准教授。テレビ、映画の制作現場を経て映画評論家に。雑誌、パンフレットをはじめさまざまなメディアで執筆、テレビ、ラジオ番組等で映画紹介を行っている。映画評論家・添野知生氏とのYouTubeチャンネル『そえまつ映画館』は毎週金曜更新。

こがけん/1979年生まれ、福岡県出身。2001年から吉本興業に所属し、芸人として活動。ハリウッド映画ものまねで人気に。19年、R-1ぐらんぷり決勝進出、20年、ユニット・おいでやすこがでM-1グランプリ準優勝。映画関連のテレビ番組、イベントなどの出演多数。ミュージカル『GREASE』、舞台『スーパー銭湯LIVE「ユーラン・ルージュ〜笑いの源泉かけ流し!〜」などにも出演。

 

「死ぬまでにこれは観ろ!2022」キング洋画320連発!
<史上最多!“大豊穣”ラインナップ!!(当社比>
第一弾:7月6日(水)発売 第二弾:8月10日(水)発売
ブルーレイ:各2,750円(税込) DVD:各2,090円(税込)

3枚買ったら、全320タイトルの中からもれなく1枚もらえる!キャンペーン実施中
<応募期間>
7月発売タイトル:2022年7月6日~2022年12月31日まで
8月発売タイトル:2022年8月10日~2022年12月31日まで

発売・販売元/キングレコード
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