映画「コーダ あいのうた」「エターナルズ」「サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜」などで、ろう者・難聴者の俳優による演技の評価が高まっている。そうした中、ろう者・難聴者の表現者育成の場を提供する〈育成×手話×芸術プロジェクト〉が、ろう者・難聴者の俳優志望者を対象に、映画美学校アクターズ・コースの協力のもとで〈デフアクターズ・コース2022〉を開講する。
期間は2022年10月4日〜11月18日(全20回)。ろう者・難聴者を対象とした2ヶ月にわたる実践的講座は日本初となり、授業は手話で進行。映像や舞台など多様なメディアでの演技の技術と知識を育成するとともに、ろう者・難聴者ならではの演技表現を皆で議論しながら共有していくことも目標の一つとしている。
講師には、各分野の第一線で活躍する聴者とろう者を迎える。聴者講師は第79回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門選出・2022年公開「LOVE LIFE」(ろう者俳優・砂田アトム出演)の深田晃司監督をはじめ、青年団で活躍する近藤強や兵藤公美など。ろう者講師は、2019年公開「虹色の朝が来るまで」の今井ミカ監督、日本ろう者劇団公演やNHK Eテレ「みんなの手話」スキットに出演する今井彰人など。
講師・深田晃司(映画監督)コメント
表現とは「私にとっての世界」を他者に向けてフィードバックすることだと思います。その小さな積み重ねによって世界は少しづつ相互理解を獲得してきました。だから、誰もが当たり前のように表現の当事者になれることはとても切実で大切なことです。
残念ながら、これまでその「当たり前」は映画の世界では実現していませんでした。「ろう者の役はろう者が演じる」。これからはそれが当たり前の社会になっていくでしょう。デフアクターズ・コースはそのための重要な、何よりとても楽しい第一歩となるはずです。
企画・牧原依里(映画作家/東京国際ろう映画祭代表)コメント
これまでろう者と聴者が協働して、ろう者・難聴者が持つ表現力に注目する長期的な講座はありませんでした。本講座では、俳優としての「演技」とともに、ろう者・難聴者が「自身の身体性」を知覚して「手話での演技」をブラッシュアップできるようにしたいと思っています。そして、ろう者・難聴者ならではの演技表現をみんなで議論しながら共有していくことも目標の一つとしています。本講座が、芸術の各分野とろう者・難聴者俳優をつなぐキャスティングの架け橋となり、ろう者・難聴者からみたこの世界が映画や舞台により反映されるための後押しになることを願っています。
詳細は特設ページ(▶︎こちら)にて。