あなたのお宅も実は……!? 残暑の眠れぬ夜にオススメ! 最恐の“怪奇物件”ホラー!

暦の上ではもう季節は秋。しかしまだまだ続きそうな厳しい残暑。そんな暑さを吹き飛ばす、体感温度が一気に下がる最恐の“怪奇物件”ホラー映画をご紹介します。

古今東西、数多く存在する家や土地、場所に関する恐ろしい物語。地縛霊という言葉があるように、その地に思いが残り、縛りつけられている忌まわしい存在にまつわるホラーをご堪能ください。

(C)2016「残穢-住んではいけない部屋-」製作委員会

 

「そばに置いておくだけでも怖い」とまで評された、小野不由美原作の山本周五郎賞受賞作『残穢』。これを映画化した「残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-」(16)は、現代の怪談映画と呼べるような恐怖オーラを放っている。

語り手の“私”(竹内結子)は、怖い話を収集し、様々な土地にまつわる怪異を追う作家。「住んでいる部屋で奇妙な“音”がする」という手紙を寄こした読者の“久保さん”(橋本愛)と共に、彼女が暮らすマンションを調べることに。すると過去の住人たちが転居した先で、殺人や心中を引き起こしていることを突き止める……。

その場所でかつて生活していた者の負の感情や憎悪、心残りが土地に染み込み、新しく移り住んできた者にも影響をおよぼす──。“事故物件”をテーマにした「事故物件 恐い間取り」(20)は、まさにそうした恐怖に焦点を当てている。

“事故物件住みます芸人”として活動する主人公(亀梨和也)は、引っ越した部屋で心霊体験や、以前の住人の不幸な死に方を幻視する。息子に暴力をふるわれ殺された老母、自ら死を選ぶ女性、無理心中したカップル……。転々としてきた事故物件で様々な怪奇現象に見舞われた彼は、やがて心身に不調を覚えるようになる。

考えてみれば病院をはじめ、この世界のあらゆる場所で人は亡くなっている。それは言い換えると、死者の念が残っていない土地など、存在しないということなのかもしれない。「事故物件 恐い間取り」を手がけた中田秀夫監督による「クロユリ団地」(13)もまた、団地という空間の特色を存分に活かしたJホラーだ。

家族と共に団地に入居した明日香(前田敦子)が出会った、ふしぎな少年ミノル。隣の部屋の住人の死体を発見してしまったことから、明日香の周辺で奇妙な出来事が続く……。古い団地が醸しだす独特のもの寂しさも、物語の雰囲気と絶妙にあっている。

ちなみに、同監督の過去作「仄暗い水の底から」(01)では、古びたマンションで起こる怪異を抒情的に映し出し、屋上の貯水タンクや共同廊下を恐怖空間として効果的にみせていた。

 

©2018 Winchester Film Holdings Pty Ltd, Eclipse Pictures, Inc., Screen Australia and Screen Queensland Pty Ltd. All Rights Reserved.

 

ところ変わってアメリカには、実在する幽霊屋敷を映画化した作品がある。

ウィンチェスター銃の製造・販売で、巨万の富を築いたウィンチェスター社。その経営者である夫を亡くし、悲嘆にくれる未亡人サラは霊媒師の勧めに従い、カリフォルニア州サンノゼに大豪邸を建築。38年もの長期にわたって増改築をし続けた。現在は「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」と呼ばれ、観光名所となっているこの屋敷の建設秘話を綴ったのが、「ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷」(18)だ。

夫が死んだのは、自社の銃で亡くなった人々の復讐と考えるサラ(ヘレン・ミレン)は、死者の霊から逃れるため屋敷の増築に没頭する。彼女の孤独と苦悩、そして邸宅内で次々と起こるオカルト現象が迫ってくる。行き止まりの階段や2階の外に出てしまう扉(つまり開けたら落下する)など、意味不明な間取りがまた不気味だ。

幽霊屋敷の出てくる映画といえば、「シャイニング」(80)も忘れてはいけない。雪に覆われたオーバールック・ホテルへ管理人としてやってきたジャック(ジャック・ニコルソン)は、妻子を斧で斬殺した以前の管理人の霊に取り憑かれる。幼い息子ダニーの目線に合わせた低めのアングルの映像が、建物内の人間を呑み込もうとするかのような圧迫感を生んでいる。このダニーが成長し、再びホテルに立ち向かう姿を描いたのが続編「ドクター・スリープ」(19)だ。幽霊屋敷モノとしても、父と息子の物語としても見応えある出来栄えとなっている。

ゴシック・ファンタジーの大家、ギレルモ・デル・トロによる「クリムゾン・ピーク」(15)は、“幽霊屋敷”にゴシックロマンス要素を加えたもの。ミア・ワシコウスカ扮するヒロインは、夫とその姉の住む屋敷で同居しはじめるのと同時に、さまざまな怪奇現象に遭遇する。おぞましくもユーモラスな幽霊や、赤い粘土が雪の上に染み出る現象など、趣向を凝らした映像に目を奪われる。

“究極の幽霊屋敷”と謳われるホラーハウスへ入ってみたら、殺人鬼たちが待ちかまえていた──そんな、アトラクションハウスを疑似体験できるかのような作品が「ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷」(19)だ。手作り感満載のトラップや、棺桶に入ると開くドアなど、内部に仕掛けられた数々のカラクリにぎょっとさせられ、かつワクワクさせられる。タイトルが示すとおり、お化け屋敷的な楽しさが詰まった一本だ。

その他、ポルターガイスト現象が起きる屋敷を舞台にした「死霊館 エンフィールド事件」(16)や、新居での超常現象に悩まされるカップルの恐怖を描きスマッシュヒットした「パラノーマル・アクティビティ」(07)など、様々な切り口の“怪奇物件”映画がある。

土地や部屋、家にまつわる怪異は私たちの日常のすぐそばに存在している。身近なだけに怖くて不気味。あなたの身近にも恐怖スポットは潜んでいるのかもしれない……。

 

(C)2016「残穢-住んではいけない部屋-」製作委員会

文=皆川ちか 制作=キネマ旬報社

 


■残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―
・DVD:4,620円 BD:5,720円(税込)
・発売元:ハピネットファントム・スタジオ
・販売元:ハピネット・メディアマーケティング
※ジャケットはBD版です


■ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷
・DVD:4,180円 BD:5,170円(税込)
・発売元・販売元:ポニーキャニオン
※ジャケットはBD版です

 

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