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“あらゆる現代の問題提起がぶち込まれて、全く新しい映画に変容する”。「よだかの片想い」コメント&イラスト到着

直木賞作家・島本理生が顔にアザのある女性を主人公に綴った恋愛小説を、監督・安川有果 × 脚本・城定秀夫で、松井玲奈と中島歩の共演により映画化した「よだかの片想い」が、9月16日(金)より新宿武蔵野館ほかで全国公開。俳優の倍賞千恵子、映画監督の奥田裕介、映画評論家の森直人、太田母斑の主人公を描く漫画『青に、ふれる。』の作者・鈴木望ら著名人のコメント、ならびにmajoccoと秋鹿えいとのイラストが到着した。

 

▲majoccoイラスト
▲秋鹿えいとイラスト

 

理系大学生の前田アイコ(松井玲奈)は、顔の左側のアザを幼い頃にからかわれた辛い経験から、恋や遊びに消極的だった。だが取材を受けた「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本が話題となり、状況は一変。本の映画化の話が進み、友人の編集者・まりえの紹介で、監督の飛坂逢太(中島歩)と出会う。そして、初めは映画化を断っていたが、話すうちに彼の人柄に惹かれていく。飛坂への片想いを自覚し、不器用に距離を縮めていくアイコ。しかし、飛坂の元恋人の存在、さらに飛坂は映画のために自分に近づいたという疑心暗鬼が、彼女の恋と人生を大きく変えていく……。

 

各者コメントは以下(※50音順・敬称略)。

青柳美帆子(ライター)
島本理生の生み出した、恋でぼろぼろに傷つき、恋で自分を知る女の子。むずかしい恋だとわかっていても、飛び込まずにはいられない。松井玲奈が浮かび上がらせたアイコの輪郭を、安川有果は光の中に映していく。

秋鹿えいと(漫画家)
イラスト寄稿

池田園子(株式会社プレスラボ代表取締役)
踏み出すのが怖い、という感情を持つのは自然なこと。でも、一歩進んでみれば違う世界が見えてくる。アイコがときに涙を流しながらも、しなやかな強さを宿して踊る様は、観る者の背中を優しく押してくれる。

奥田裕介(映画監督)
「女性監督ならではの視点」なんて野暮な言葉だ。安川有果という監督が捉える感情には、心の芯を震わす力があり、繊細さに寄り添う姿勢はいつしか攻撃的な気味悪さに変わっている。登場人物たちが「二本の足で立つ」その瞬間が描かれている。それがどうにもこうにも美しかった。カッコよかった。絶対に映画館で観届けて欲しい。

太田尚樹(LGBTエンタメサイト「やる気あり美」編集長)
光を教えてくれるのが闇であるように、マイノリティという経験は「ない方がよかったが、あってよかった」と私にいつも思わせる。きっと、アイコの闇は消えない。だがそれは、アイコのそばに光がこれからありつづけることを意味している。ラストシーンのかがやきは、彼女の美しさそのものだった。

苅部太郎(写真家)
人間の目は全ての光を見ることができない。紫外線や赤外線などをのぞく、ごく限られた可視域の世 界の中でさえ、どれほど自分は「見えているのか」。そのことに気づかせてくれる、鏡のような物語。

神崎メリ(恋愛コラムニスト)
ざらざらのカカトを軽石で擦って磨き上げるように、切ない恋は少女をオトナへと磨き上げてくれる…。
「おクズ様は女の人生の軽石ですなぁ」と心を前向きにしてくれるステキな映画でした。

神原由佳(アルビノ当事者)
きれいな俳優が「顔にアザのある女性」を演じる事に期待と不安がありました。主人公アイコは恋に臆病で、だけど好きという気持ちにまっすぐな強い女性です。私も、一方的な視線を向けられるのではなく、真剣に誰かと向き合う恋がしたいと思いました。

北村紗衣(研究者)
赤の他人のインスピレーションの源になるというのはわくわくするような体験でもあり、とてもつらい体験でもあります。この映画は、そうした経験を芸術作品のモデルになる人の視点から繊細なタッチで描いています

児玉美月(映画執筆家)
この映画は「ありのままの自分を愛そう」と声高に謳わない。こんなに傷つけられてしまう恋愛ばかりのこの世界で、否応なくルッキズムに縛られてしまうこの世界で、「ありのままの自分」が脆弱な存在になりえるこの世界で、そんなメッセージはときに、欺瞞の響きを伴いさえするだろう。安川有果はひとりの女性の〈片想い〉に、多くの〈想い〉を込めた。ひとつのドラマを跳び越えて、そこには映画作家として、映画が内包してきてしまった非対称性や暴力への自覚的な意思表明も含まれている。シスターフッドを伴奏にして見えない羽根を揺らす女性たちの舞いが途切れるその瞬間まで、眩く切実な〈想い〉のすべてを決して取り零してはいけない。

下村健一(ジャーナリスト)
好奇の目より、それを叱る言葉の方が痛いとか。「びわ湖」が刺さる とか。当事者の多様なリアルが細やかに織り込まれ、観る者の傍らに“気づき”をそっと置いていってくれる。決して押し付けることなく。

鈴木望(『青に、ふれる。』漫画家)
誰かと深く関わりたいと思った時、より深く見つめるのは自分の内面なのだ…と、どんどん表情が変わっていくアイコと一緒に、感情のジェットコースターに乗っている気分でした。
観終わった後は温かな気持ち。 素敵な気持ちでした。
沢山の方に届いてほしい作品です。

外川浩子(NPO法人マイフェイス・マイスタイル代表)
「“見た目”と正直に向きあえば、人生の次の扉が開かれる。」 アイコを通して、誰もがそう実感できる映画です。

西森路代(ライター)
かすか不安や、かすかな疑い、その積み重ねによって得られる、ともすれば切り落とされてしまいそうな細やかな感情のひとつひとつが伝わってくる。そんな映画でした。

倍賞千恵子(俳優)
じんわりとしみ込んできて心の中にソット足音を残されたような気がしました。世の中には白黒をつける事が出来ない事がある中彼女が生きている様がよかった。そして周りで生きている俳優さん達の無理のない居方心地がよかった。安川さん鎌倉の上映会で会えて良かったね。映画を愛してくれてありがとう。

はらだ有彩(文筆家)
「マイノリティ性」を通して当事者が世界を見ることと、世界がマイノリティ性を通して当事者を見ること。カタルシスに他者が踏み入るときの足跡、その足跡の粗さ、それでもあなたが居心地のいい場所を選ぼうと思えるなら。

真魚八重子(映画評論家)
控えめに生きてきた瓜実顔の女は、曖昧な恋愛に揺らぎ、愛するゆえの孤独を感じる。それは自然な感情だ。凛として乱れる前にみずからをとどめる強さ。ラストの夕陽を指した彼女の姿は、美しくて走馬燈に現れそうだ。

majocco(イラストレーター) *イラスト寄稿
「でも、美人でしょう」
「でも、頭がいいのでしょう」
「でも、お金があるのでしょう」
「でも、家族に恵まれているのでしょう」
「でも、あなたは主人公になるのでしょう」
「でも、顔にアザがあるでしょう」

「でも」の全部を無視できればいいのに。

アイコの心、選んで産み出した光のことだけ大好きになりたい。それは誰にもできない。
選べなかった全てと、選んできた全てには関係があるから。
「でも」「だから」みたいな、
すべてをひっくるめて人を大好きになったり、
大嫌いになったりすることしかできないなと感じる映画でした。

水野敬也(作家/「顔ニモマケズ」著者)
開始13分で主人公のアイコ(松井玲奈)と一緒に号泣し、そのあとも数えきれないくらい泣かされたけれど、ただの感動作ではなくすべての個人を悩みから解放する作品で、とか色々言ってきたけれど、めっちゃ好き。めちゃくちゃ好きな映画でした。

森直人(映画評論家)
増村保造からセリーヌ・シアマの遙か先まで走っていく怒涛の100分。クラシックな恋愛映画の濃密さに、ルッキズム、当事者と演技、表現の加害性など、あらゆる現代の問題提起がぶち込まれて、全く新しい映画に変容する。これが僕の今年のベストワンです。

ロックバンド「騒音寺」Vocal Nabe
数年前、当事者の方々の交流会で演奏し、短いながら皆と話をしてみると、皆が「想像以上に」明るい事に驚いた。差別区別のない私だと思っていたのだが「想像以上に」という感覚を私は恥じた。これこそ見た目を差別してきた感覚だったからだ。映画を見たあとあの頃の私の恥ずかしさが思い起こされた。誰も当事者本人にはなれないが、この映画を機に少しずつあなたの「見る目」が変わればいい。以前の私のように。人は仕事もするし恋もする。あなたも当事者も同じ社会に立っている。とても美しい映画をありがとう!

 

 

©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会
配給:ラビットハウス

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