Site icon 【公式】「キネマ旬報」ホームページ / キネマ旬報WEB

彼らは単なる “加害者” か? パレスチナ・イスラエル取材を続けてきた土井敏邦監督の集大成「愛国の告白—沈黙を破るPart2—」

1985年以来、34年間パレスチナ・イスラエルに通って取材し、ガザ地区、ヨルダン川西岸、東エルサレムなどパレスチナ人地区とイスラエルについて多くのドキュメンタリー映像や著作を発表してきた映像ジャーナリストの土井敏邦監督が、キャリアの集大成として製作したドキュメンタリー映画「愛国の告白—沈黙を破るPart2—」が、11月19日(土)より新宿K’s cinemaほかで全国順次公開。ビジュアルと著名人コメントが到着した。

 

 

さまざまな映画賞を受賞して話題を呼んだ「沈黙を破る」から13年。この間、イスラエルでは右傾化が加速し、パレスチナ人自治区にユダヤ人入植地が増殖。ガザ地区ではイスラエル軍の激しい武力攻撃が繰り返されてきた。

“占領軍”の兵士となったイスラエルの若者は、パレスチナ人に対して絶大な権力を行使する中、道徳心や倫理観を麻痺させ、それがやがてイスラエル社会のモラルも崩壊させるという危機感を抱くようになる。そんな元兵士たちの一部が“占領軍”を告発するNGO「Breaking the Silence(沈黙を破る)」を立ち上げた。前作では彼らの姿と証言、そして占領地の凄まじい実態を描いた。

個人と社会の倫理のために占領を告発し続ける彼らの活動は、イスラエル社会でさらに重要な存在意義と役割を持つようになったが、一方で政府や右派勢力からの攻撃も急激に強まっていく。それでも彼らは屈せずに活動を続ける。「自国の加害」と真摯に向き合う元兵士たちの生き方は、私たち日本人にも大きな問いかけをしている。

 

                

 

コメントは以下。

ほんとに観るのがつらい映画だ。
しかし、今だからこそ観なければならないドキュメンタリーだ。
土井敏邦さんの作品を見ていつも思うのは「正義とはなんなのか?」という根源的なことだ。そしてこの映画の凄いところは、イスラエル軍の兵士たちをも「単なる加害者」ではないと伝えている所である。彼らが人間として苦悩し、自分に問いかける感情がはっきりとこちらに伝わってくる。
──渡辺えり(女優・劇作家)

これはパレスチナに対するイスラエルの軍事占領、支配、暴力の物語であるばかりか、ロシア軍に侵攻されているウクライナの物語でもあり、さらにプーチンのロシアにおいて、反戦・非戦の声をあげている人々をめぐる物語でもあり、世界の各地で起こっている国家の暴力による領土獲得という普遍的な問題についての物語であるということだ。さらにここが最も重要な点なのだが、私たち日本で起きている過去の歴史の抹消、修正、改ざんの物語でもあるということだ。
──金平茂紀(ジャーナリスト)

入植者に蝕まれているパレスチナ人の土地を案内する彼らには、内にこもった攻撃性も、欺瞞を隠す気取りも、現状を容認して体制に適応する卑屈さもない。加害者の側に、これほど理知的な青年たちの運動が生まれたのである。政治状況のために、イスラエル国内で観ることが難しいこの映画を、私たちは観ることができる。この映画との出会いを大切にしたい。
──野田正彰(精神科医・ノンフィクション作家)

政治や政府と対抗することは「沈黙を破る」グループが求めたものではい。健全な社会を求めるグループの活動が、増え続ける入植地建設、繰り返されるガザ攻撃での無差別空爆など、国際法に反する自国の“加害”を目の当たりにして、グループは政治や政府と対抗して、パレスチナとの関係を模索しなければならなくなった。「愛国の告白」が描く“(前作「沈黙を破る」から)13年後”の現実は、イスラエル政府自身が国と国民の安全と平和を脅かしているという現在のイスラエルの状況を反映している。
──川上泰徳(中東ジャーナリスト)

 

 

「愛国の告白—沈黙を破るPart2—」

監督/撮影/編集/製作:土井敏邦 編集協力:尾尻弘一、渡辺真帆、小林桐美 整音:藤口諒太
デザイン:野田雅也 配給:きろくびと
2022年/日本/170分(第一部100分・第二部70分)
©DOI Toshikuni
http://doi-toshikuni.net/j/aikoku

Exit mobile version