ダニエル・シュミット × 坂東玉三郎「書かれた顔」が4Kレストア版で甦る!

ダニエル・シュミット × 坂東玉三郎「書かれた顔」が4Kレストア版で甦る!
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異才ダニエル・シュミットが当代一の女形である歌舞伎役者・坂東玉三郎を主人公に日本で撮影した「書かれた顔」(95)の4Kレストア版が、3月11日(土)よりユーロスペースほかで全国順次公開。メインビジュアル、予告編、著名人コメントが到着した。

 

 

『鷺娘』『大蛇』『積恋雪関扉』の舞台映像で玉三郎が濃厚な美の世界へ誘い、俳優の杉村春子や日本舞踊家の武原はんの談話、ならびに現代舞踏家・大野一雄の舞踏が挿入される。女形という特異な存在を通してジェンダーや生死を見つめ、フィクションとドキュメンタリーの境界に虚構としての日本の伝統的女性像を浮かび上がらせた、ダニエル・シュミットならではの夢幻的な異色作だ。

撮影はシュミットの盟友にして多くの偉大な映画作家と組んできた名手レナート・ベルタ。そして、芸者に扮した玉三郎を2人の男が奪い合う挿話『黄昏芸者情話(トワイライト・ゲイシャ・ストーリー)』は青山真治が助監督を務めた。

映画は1995年にロカルノ国際映画祭で上映。4Kレストア版は2022年に同映画祭で世界初上映され、日本では同年10月開催の〈現代アートハウス入門ドキュメンタリーの誘惑〉で公開された。

 

 

各者コメントは以下。

ダニエル・シュミット(※公開時パンフレットより抜粋)
この映画はドキュメンタリーではありません。フィクションです。わたしは、黄昏についての物語、すなわち映画についての映画を作り上げようとしているのです。
わたしは坂東玉三郎という奇跡を何度も目のあたりにしてきました。けれど、わたしはその謎を、その秘密を、解き明かそうとは思いません。この作品は、その坂東玉三郎という秘密とともに作った映画であり、日本という秘密とともに作った映画なのです。

青野賢一(文筆家、選曲家)
女形を演じることについて坂東玉三郎が語り、役のために顔を塗る姿をカメラがとらえるとき、フィクションの世界が現実を侵食する。作中の『黄昏芸者情話』の悲しくも甘美なノスタルジーと大野一雄の舞踏に心打たれた。

川口隆夫(ダンサー・振付家)
魂の水底の深い暗闇から湧き起こる大野一雄の踊りは、シュミットの映像の中でほわっと浮きがり、まるで水面を滑るように軽やかで優雅、しかもこの上なく愛くるしい。 

川村美紀子(ダンサー・振付家)
その顔は誘う。ふと僕を香らせたかと思えば、ほの暗い奈落へと姿くらませて。いま追いかける、目くばせの先を。ひそやかに踊る唇を。

草野なつか(映画作家)
幕が閉じて映画が始まる。
はざまの場所で<ごっこのできる人たち>が無邪気な笑顔や少女のようなはにかんだ表情をみせ、舞踏のブルーが、<こちら側>との距離を曖昧にする。
『黄昏芸者情話』の素晴らしい音設計を経て、時間も空間も超えた旅は終わりへ向かっていく。それでもきっと、幕は何度でも開くのだろう。

黒田育世(振付家・ダンサー)
かけがえのない芸で舞台のためにご自身を手放していく姿。
その美しいお姿が、厳しいお稽古と失敗の許されない本番の、気の遠くなる程の積み重ねであること。
この構図が異次元のそして異様な優しさに思えてなりません。
あの時舞台一面に湛えられた夢のような風景は、次元を超えた優しさによって観客に手渡されていたはずです。
たしか10歳だった私は、玉三郎さんの舞に取り憑かれ、その夢を大事に持ち帰り、40年近く経った今も心にずっとしまっています。
俳優の優の字をもう一度ずしんと手渡してくれる映画です。

スピリアールト・リサ(映画監督)
舞と弦、隠れた鏡、重なる層。あやつる指と、舐める指。見終わったあと、私の心に青い宝石箱がありました。アメイジング!

甫木元空(映画監督)
大学に入り授業で初めてみた映画が「書かれた顔」でした。
物語を飛び越える幸福なアクションの連続。登場人物の所作一つ一つが一筆書きの踊りの様に映画を貫く。
ドキュメンタリー?フィクション?真実?嘘?そんな事どうでもいいと言わんばかりにアクション映画でありミュージカル映画……
次から次へとジャンルをはみ出しながら動き続ける黄昏と映画。
映画の謎がこの映画には散りばめられている、そんな気がします。

麿赤兒(大駱駝艦主宰・舞踏家・俳優)
日本のレジェンドたちの妖・怪・美をダニエル・シュミット監督が色鮮やかに織り上げる!
我々は秘密の花園に誘われ浮遊する。

 

               

 

「書かれた顔 4Kレストア版」

監督:ダニエル・シュミット
出演:坂東玉三郎、武原はん、杉村春子、大野一雄、蔦清小松朝じ、坂東弥十郎、宍戸開、永澤俊矢
撮影:レナート・ベルタ 
1995年/日本・スイス合作/カラー/94分/ヴィスタ・サイズ
製作:ユーロスペース、T&Cフィルム/プロデューサー:堀越謙三、マルセル・ホーン 配給:ユーロスペース
公式HP:kakaretakao.com
©1995 T&C FILM AG / EURO SPACE

 

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