殺人捜査

さつじんそうさ
上映日
1971年9月18日

製作国
イタリア

制作年
1971
レーティング
ジャンル
サスペンス・ミステリー

check解説

ある殺人課長が犯した殺人によって、警察内部に湧き起ったさまざまな波紋を描いて権力機構の愚かしさを徹底的にあばきたてた作品。製作はダニエレ・セナトーレ、監督は「悪い奴ほど手が白い」のエリオ・ペトリ、ストーリーと脚本はウーゴ・ピッロとエリオ・ペトリの共同執筆、撮影はルイジ・クヴェイレル、音楽はエンニオ・モリコーネが各々担当。出演は「山いぬ」「総進撃」のジャン・マリア・ヴォロンテ、「ベニスの愛」「最後の谷」のフロリンダ・ボルカン、サルヴォ・ランドーネ、ジャンニ・サンツッチョ、アルツーロ・ドミニチ、オラツィオ・オルランド、セルジョ・トラモンティ、マッシモ・フォッシなど。
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この作品のレビュー

ユーザーレビュー

  • ミャーノフ大佐

     映画のタイトルからサスペンス物かと思っていた。観たら、警察が殺人犯を追い詰めていくというサスペンスでは無く、不条理な室内劇でした。
     警察幹部が愛人を殺し、その殺人事件を陣頭指揮を執って捜査する。しかも自分が犯人と判る様な証拠もわざと残す。さて、ラストは?
     こういう映画が評価されたのは、やっぱり時代だよなあ。フランスではヌーヴェル・バーグが始まっていたし、アメリカではアメリカン・ニューシネマが作られていたし、ポランスキーなんかも亡命してきた頃じゃないかな。だとしても無理筋だよなあ。こういう映画が作られるのは、やっぱり当時の東西冷戦の閉塞的な空気感が西側ヨーロッパにあったからだろうか。当時、中国は国を閉ざしていて、国交を持っていた国はフランスくらいしか無かったのではないか。それで毛沢東思想がもてはやされた時代だ。先の見えない空気感の中で、外に希望を見いだしたかったのだろう。西側ヨーロッパにいる限りは不条理からは抜け出せない。
     でも、今観ると正義は成し遂げられないといけない、と思う。まあ、それとは別にそんなに面白い映画では無かった。
     主演がジャン・マリア・ヴォロンテなのね。マカロニウエスタンの悪役のイメージだ。それより殺される愛人役がフロリンダ・ボルカンでした。久しぶりに彼女の名前を見た。当時、彼女の出ていた「ベニスの愛」という映画の音楽がフランシス・レイの「ある愛の詩」の曲と似ている、とフランシス・レイが訴えられた。フランシス・レイは特に争わなかったと記憶している。この騒動のおかげか、当時、フロリンダ・ボルカンが出ていた映画が日本で何本か公開されていた。脱ぎっぷりの良い女優という記憶だ。懐かしいですね。
     音楽をエンニオ・モリコーネが担当している。今でこそエンニオ・モリコーネは映画音楽の巨匠みたいにいわれているけど、ハッキリ言って何でも書いていた。ニーノ・ロータの方が格上だと思うけど。

  • 89bubble93

「殺人捜査」のストーリー

ローマ警察殺人課長(G・M・ヴォロンテ)は愛人アグスタ(F・ボルカン)を殺害した。そして、「アパートに女が殺されている」と警察に通報し、故意に血痕のついた自分の足跡を残し、さらに女の爪にネクタイの糸くずまで付着させて出勤していった。その日は、殺人課長から公安部長への昇進祝いのパーティーが開かれる日でもあった。通報を受けた新任の課長(A・ドミニチ)はシャンペンで乾杯したあと、ただちに捜査を開始した。昇進したばかりの公安部長も現場検証に立ち会い、部下にあれこれと指示した。血痕のついた足跡、爪に付いた糸くず、指紋そして大量の写真などが採集された。写真には実際に起きた事件の被害者を再現したアグスタの裸の写真も、含まれていた。容疑者として離婚した夫が逮捕されたが、何一つ証拠があるわけでなく、捜査はふり出しに戻った。現場に残された指紋は、部長のものばかりだったが、誰一人、部長を疑うものはいなかった。アグスタは犯罪に対して異常な興味を示し、殺人事件の被害者のモデルになっては種々のポーズの写真を部長に撮らせていた。ある日、部長はアグスタと学生パーチェ(S・トラモンティ)の浮気の現場を見つけ、甚く自尊心を傷つけられた。アグスタは部長を、絶えず愚弄し、侮辱していた。時には、常に権力をカサにきる部長をおだてあげ、得意がらせて喜んでいたのだ。捜査は一向に進展せず、部長は逆に、爪の糸くずと同色のネクタイを殺人課に送ったりして、捜査の不備をなじり、その傲慢な態度を増長させていった。その日は、浮気相手を問いただす部長を終始愚弄し、ついには不能とまで罵って追い出したアグスタに、部長の殺意が頭をもたげたのだ。「俺に不可能はない。殺人さえも」。公安部長として学生デモを取り締った際、パーチェが逮捕者のなかにいた。拷問にかけようとした部長は逆に、あの事件の犯行を目撃したといわれ、急に剛直さを崩して、涙ながら犯行を自供した。殺人課に自首した部長に、警視総監以下全幹部はそれを否定した。足跡、ネクタイ、写真などの証拠さえも。「おまえはノイローゼだ。警察権力そして全体制を侮辱することは許さん」と厳命した総監の言葉に、部長の顔にはみるみる不敵な笑いがひろがった。そして、自分は無罪である、と言い放った。

「殺人捜査」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「殺人捜査」のスペック

基本情報
ジャンル サスペンス・ミステリー
製作国 イタリア
製作年 1971
公開年月日 1971年9月18日
製作会社 ベラ・フィルム・プロ
配給 コロムビア
レイティング
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
カラー/サイズ カラー/ビスタ

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