劇場版ドクターXの映画専門家レビュー一覧
劇場版ドクターX
米倉涼子扮する天才外科医・大門未知子の活躍を描いた人気テレビドラマシリーズの劇場版にして、テレビ朝日65周年記念作品。突然現れた東帝大学病院の新院長・神津比呂人と、その双子の弟で医療機器メーカーのCEO、多可人。最強の敵、天才ツインズたちの目的は何なのか、大門未知子誕生の秘密が明らかになる。共演は「あの人が消えた」の田中圭、「陰陽師0」の染谷将太。
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ライター、編集
岡本敦史
人気ドラマの劇場版というと、やりたいことは大体テレビでやり尽くしたあとに作られるパターンが多いと思うが、これも多分そんな一本。もともとのファンには延長戦的に楽しめるだろうし、未見の観客も「こんなのがウケてたんだ」と眺める気分で退屈はしない。ただ、レギュラードラマ部分のおちゃらけぶりと、手術シーンの大真面目さのギャップには戸惑った(当然「M★A★S★H」の諷刺はない)。同業の芸達者陣に囲まれて楽しそうに演じる西田敏行の雄姿を見届けるために足を運んでもいい。
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映画評論家
北川れい子
人気ドラマと聞いて何度かチラ見をしたことはあるものの、しっかり観たのはこの劇場版が初めてなのだが、強気で冷静沈着な外科職人・大門未知子のキャラに、かなり“浪花節”的資質があるのを目撃。そうか、だからお茶の間受けが良かったのね。今回もお馴染みの大学病院を舞台にいくつもの因縁や思惑が絡んで進行、これがまた村社会的な賑々しさで、脚本も演出、演技も堂々と右往左往。冒頭のエピソードと後半の大手術は、現実にはありそうもなさそうだが、未知子の見せ場としてはこれもありか。
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映画評論家
吉田伊知郎
TVシリーズ未見につき予備知識なく接したが、各キャラが完成しているだけあって、自然と没入できる作りに安心する。往年のスターがカメラに向かって目を剥いてオーバーな演技をしたのと同じく、開腹した患者を覗き込んで目をカッと開く米倉の表情に価値あり。内田有紀とのコンビも良く、2人を見ているだけで愉しい。しかし、田中圭が米倉の故郷を尋ねて過去を探るのは唐突で、劇場版用の水増し感が強い。痛ましさなど無縁に座ったままでも躍動して笑わせる西田敏行が忘れがたい。
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