アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方の映画専門家レビュー一覧

アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方

成功を夢見ていた20代のドナルド・トランプが、伝説の弁護士に導かれて驚愕の変身を遂げ、トップへと成り上がるまでを暴いた衝撃の問題作。不動産業を営む父の会社が政府に訴えられ、破産寸前まで追い込まれたトランプは、悪徳弁護士ロイ・コーンから“勝つための3つのルール”という非道の手段を伝授される。監督は「聖地には蜘蛛が巣を張る」のアリ・アッバシ。出演は「アベンジャーズ」シリーズのセバスチャン・スタン、「ジェントルメン」のジェレミー・ストロング。カンヌ国際コンペティション部門正式出品作品。2024年11月に実施されたアメリカ大統領選において、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領の再選が確実となった(アメリカ東部時間11月6日午前5時半、日本時間午後7時半)。2024年11月22日(金)~11月28日(木)までTOHOシネマズ 日比谷、キノシネマ新宿で一週間限定の緊急先行上映が決定。
  • 文筆業

    奈々村久生

    ふさふさとした金髪をサイドに流した特徴的なヘアスタイルと、頭を大きく振ってその前髪を飛ばす仕草。それだけで誰もが知っているトランプ次期大統領の姿がありありと眼に浮かぶ。スタンの素顔は決してトランプに似ておらず、モノマネをしているわけでもわけでもないのに、ちょっとした振る舞いの端々に滲む“らしさ”の精度の高さに目を見張る。若きトランプが政財界を駆け上がっていくのに反比例したロイの失速はあまりに象徴的で、後半の展開をもっと丁寧なドラマで見られたらなおよかった。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    僕は悪いことをすることが悪だとはどうしても思えないのです。でも資本主義はどう考えても悪だし、勝ち負けがあるあらゆる場で勝ち続けようとすることも完全に悪だ。この映画を観て人間トランプに共感することはなくても、自分の中にもトランプがいると思えないリベラル男性はダメなリベラル男性です。観てる最中は面白くてさすがアッバシと感じてたのだが終わってみたら何かがもの足りない。現実のトランプがやってきたことに比べたら情報量が少なすぎたのだろう。4時間くらい観たかった。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    なぜ制作したのか?という疑問しか湧かない。トランプに対し批判的な映画を撮りたいのは山々だが、裁判沙汰など避けて通れないだろう。そのため本作はトランプが若かりし日に、エイズによって亡くなった弁護士との当たり障りがない話になっている。ゲイだと知りつつ親交があったという理解を示すつもりだろうが、それほど深い関係性はない。正直、トランプを持ち上げた業界人という域を超えるものは見えない。むしろ映画自体はトランプの下卑た人格への嫌悪が滲み出てしまっている。

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