最高の花婿の映画専門家レビュー一覧

最高の花婿

多様な人種が混在するフランスを背景に、4姉妹の結婚相手をめぐる騒動を映し出すコメディー。敬虔なカトリック教徒のヴェルヌイユ夫妻。3人の娘たちがアラブ人、ユダヤ人、中国人と結婚。さらに末娘はコートジボワール出身の恋人を連れてくる。監督は「ボクサー 最後の挑戦」の脚本を担当したフィリップ・ドゥ・ショーヴロン。出演は「コルシカン・ファイル」のクリスチャン・クラヴィエ、「愛しき人生のつくりかた」シャンタル・ロビー、「パリより愛をこめて」のフレデリック・チョウ、『レッド・ナイト』のフレデリック・ベル。フランス映画祭2015にて「ヴェルヌイユ家の結婚狂騒曲」のタイトルで上映された。
  • 映画・漫画評論家

    小野耕世

    「なんでこうなっちゃうの?」を意味するフランス語の原題どおりのコメディー。一家の四人の娘たちが、それぞれアフリカ系、アジア系など異なる人種の男たちに恋をし結婚式をあげるはめになり、両親はあわてふためくのだが。娘や花婿や相手の親たちが出会っての会話がとびきりはずんでおかしく。楽しめる。娘たちはそのことにまったくこだわらず平然としているのに、意地になって見栄を張ったりするのは男たちだ。むしろ多国籍・多人種のほうが今後あるべき家族かもと、私には思えてくる。

  • 映画ライター

    中西愛子

    フランスの白人中流家庭。娘たちの結婚相手は、アラブ人、ユダヤ人、中国人と外国人ばかり。末娘には同じカトリック系の婿を期待する両親だったが、彼女が選んだのは同じ宗教を持つ黒人青年だった。異文化が凝縮した家族の大騒動を、機知に富んだ面白さで描くヒューマン・コメディー。14年にフランスで大ヒットしたというが、翌年の不幸なテロを思うと、“家族的なユートピア”で多様性を括る理想の限界も感じる。とは言え、異質なる者への意識が低い日本人としては大変勉強になった。

  • 映画批評

    萩野亮

    本国フランスでは一二〇〇万人が見たというからおどろいた。フランスの観客がもとめていた語りの形式がここにあったと想像するほかないのだけれど、どれだけベタでご都合主義的(エスプリ?)であろうとも、異人種・異文化という決してたやすくはないテーマをこのように描けるということ、そしてこうした作品に観客が駆けつけ、劇場でともに笑い声をあげるということに、小さくない意味があると思う。各国で動員するなか、ロシアではさっぱりだったというのがその意味では興味ぶかい。

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