二度めの夏、二度と会えない君の映画専門家レビュー一覧

二度めの夏、二度と会えない君

赤城大空の青春ライトノベルを「武曲 MUKOKU」の村上虹郎主演で映画化。不治の病に倒れたバンド仲間・燐に告白した智。死に際に取り乱させたことを後悔し続けた彼は、燐と出会った頃にタイムリープし、気持ちを隠しながらもう一度あの夏をやり直す。監督は「花のあと」の中西健二。燐を思う高校生・智を村上虹郎が、残された時間の中懸命に青春を楽しむ燐をガールズバンドたんこぶちんでボーカルとギターを担当する吉田円佳が演じる。
  • 映画評論家

    北川れい子

    正直、またですかー。ま、10代の人たちの需要がそれなりに見込まれるから、高3、夏、文化祭、ライブ、難病、タイムリープ、初恋、友情など、すでに散々いじり回された設定でも、飽きずに繰り返して映画化するのだろうが。むろん、それなりの違いもトーゼンあって、今回でいえば主演・村上虹郎の過剰なほどのクローズアップ。特に後半、彼が少女の病室を訪ねるシーンなど、画面の外に少女の台詞を流して延々と村上の顔、何やら動くブロマイドの図。少女役の吉田円佳は邪魔者扱い?

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    何かをしたというカットや場面が欠落している。タイムリープでバンドものでヒロインが死んでからの話、というのはmiwa&坂口健太郎の「君と100回目の恋」があったし、村上虹郎主演の青春SFには「忘れないと誓ったぼくがいた」があったが本作はあれらと比べて、どうか。せっかくミュージシャン(“たんこぶちん”吉田円佳)がヒロインなのに「君と100回目~」よりもかなり演奏や歌を出し惜しみしてないか。この手のもの観過ぎてタイムリープ気分の私だが本作こそやり直してほしい。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    病室で主人公が少女に告白する序盤。それまで二人のアップで会話を切り返していたカットは、告白の言葉と共に少し引いた画へと切り替わる。この不安定なカメラ位置によって、少女の姿は遠くなっている。つまりフレーム内における〈距離〉は、心の〈距離〉を表現しているのだと解せる。それゆえ、主人公の姿が映されてもそこに少女の姿はなく、オフからの声しか聞こえてこない。終盤では同じ場面を繰り返すが、フレーム内の〈距離〉を縮めることで序盤との変化を印象付けるのである。

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