モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由の映画専門家レビュー一覧

モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由

激しく惹かれ合った男女の10年を綴り、主演のエマニュエル・ベルコが第68回カンヌ国際映画祭で女優賞に輝いたラブストーリー。スキー事故で大怪我をした女性弁護士トニーは、リハビリをしながら、ジョルジオとの情熱的で波乱に満ちた愛を振り返っていく。「フィフス・エレメント」などに出演、「パリ警視庁:未成年保護部隊」(未)で第64回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞したマイウェン監督が、普遍的な男女の問題を描く。相手役のジョルジオを「美女と野獣」のヴァンサン・カッセルが演じる。劇場公開に先駆け、フランス映画祭2016にて上映(上映日:2016年6月25日)。
  • 批評家。音楽レーベルHEADZ主宰

    佐々木敦

    現在のフランス映画界にはすぐれた女優兼監督が沢山いる。この映画の監督マイウェンもそうだし、主演エマニュエル・ベルコもそう。二人の才女に最近ノリにノッているヴァンサン・カッセルが加わって、いかにも仏映画らしいリアルな恋愛映画を撮り上げた。ヒロインがスキー事故で足を大怪我してリハビリに励みつつ過去十年を思い出すという枠組は、彼女にとって回想自体がリハビリとして機能するということでもあるだろう。でも個人的にはこういう男女の感情のもつれ合いは苦手です。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    怒ったり喧嘩したりするにはエネルギーがいる。それらを怠ったことによるコミュニケーション不足でねじれた人間関係を描くドラマは少なくないが、エネルギーがありすぎてぶつかってもやはり上手くはいかない。何せエマニュエル・ベルコの演じる弁護士は頭に血がのぼるとガラスを割って自分の拳を傷つけるほどすべてにおいて激しい性格。同情するにはいささか存在感が強すぎるか。それを長期にわたりじっくりと見つめた本作自体も相当に体力のある映画だと言える。

  • TVプロデューサー

    山口剛

    監督マイウェンと主演のE・ベルコ、二人の女性が作り出したヒロインは多分に男性依存症的な恋愛依存症的でその自己陶酔的演技と相まって終始なじめなかった。恋は盲目と言うから、ある意味では恋愛の本質をついているのだろうが、人間の悲しさ愚かさを見つめる冷めた視点が欠けている。弁護士という職業人の側面は全く描かれていない。女性の精神的、性的自立とは対極の人物のように思える。V・カッセルは優しさと残酷さ、誠実と不実を併せ持つ人物を相対的にうまく演じている。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事