メリー・ポピンズ・リターンズの映画専門家レビュー一覧

メリー・ポピンズ・リターンズ

P.L.トラヴァースの児童文学を原作にしたミュージカル・ファンタジー「メリー・ポピンズ」の20年後を描く続編。大恐慌時代のロンドン。妻を亡くし悲しみに暮れるマイケル一家のもとに、以前と変わらぬ姿の魔法使いメリー・ポピンズが舞い降りてくる。監督は、舞台演出家・振付師として活躍する一方、「イントゥ・ザ・ウッズ」「シカゴ」などでメガホンを取ったロブ・マーシャル。子供たちを厳しくも優しく包み込むメリー・ポピンズを「クワイエット・プレイス」のエミリー・ブラントが演じる。また、1964年の「メリー・ポピンズ」でバート役を演じたディック・ヴァン・ダイクがカメオ出演。「ヘアスプレー」(2007)のマーク・シェイマンとスコット・ウィットマンが新曲を含む音楽を担当する。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    古典ミュージカル映画の感じをこれだけ踏襲している映画は随分久しぶりで、嬉しくなってつい星の数を奮発。その「感じ」に最も貢献しているのが素晴らしい楽曲群なのは言うまでもない。64年版を踏まえてどーんとバージョンアップしたアニメ合成シーンが楽しく、本物のミュージカルスター(ミランダ)と互角にわたり合うE・ブラントにまたもや瞠目。おまけにディック・ヴァン・ダイクが、64年版でバート役の傍らカメオで演じた役の息子に扮し、しかも踊るのだからもうどうしましょう。

  • 映画監督

    内藤誠

    ジュリー・アンドリュースの「メリー・ポピンズ」をロブ・マーシャル監督やヒロインのエミリー・ブラントが大好きだったことで、55年後の映画化も巧くいっている。街灯点灯夫リン=マニュエル・ミランダが歌と踊りと人柄のよさを感じさせる演技で冒頭から作品を引っ張り、傘を手に空から登場するブラントは堂々としてツンとすました顔。「クワイエット・プレイス」とはまた別の面を見せる。点灯夫たちの自転車部隊や風船の乱舞など、さすがディズニーらしい贅沢さで、楽しめた。

  • ライター

    平田裕介

    VFXバリバリだが、前作の世界観を壊さないクラシカルな画作りを目指した仕上がり。伝説のアニメーター集団ナイン・オールドメンが手掛けたかのようなアニメーションと実写の融合はやはり楽しくて夢うつつの状態に。メリーが混迷の世を生き抜く術を子供たちに教える展開はいま風だが、主人公一家の窮地を救うのが投資だったというのは夢がなさすぎ。そのわりに夢と希望を持とうと訴える矛盾には、スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスと唱えたくなる。

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