ALONE アローンの映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
花婿とその父の狙撃を主人公がためらうところから物語が始まるのが予言的。やがて彼の回想や彼が見る幻のみならず、身の周りでの現実の出来事までが、彼の内面の実体化のように見えはじめる。実際、登場する人や物すべてが何かの象徴として解釈可能なように脚本が書かれていて、解読しながら観るとまた別の物語が立ち上がる仕掛け。これは知的作業としては非常に面白いけれど、やればやるほど「映画」から遠ざかるように思う。あと、この内容なら尺はもう少し短いほうがよかったろう。
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映画監督
内藤誠
レジナーロ&グアリョーネ監督の長篇デビュー作は砂漠を舞台に地雷を踏んで、一歩も動けない米人兵士、アーミー・ハマーのサバイバル・サスペンス劇として始まる。だがベルベル人が登場し、「前に進め。自由になれ」と言うあたりから、広大な砂漠がブニュエルの「皆殺しの天使」の一室と化し、夜空に浮かぶ満月が「アンダルシアの犬」の月のように無気味に見えてくる。ベルベル人のジグザグ歩きや謎めいた子どもの登場、現実と幻想が入り乱れる意図もいいのだが、図式的にまとめすぎた。
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ライター
平田裕介
言ってしまえば、地雷版「127時間」。こちらも砂漠で地雷を踏んでしまったというまったく動けない状況に主人公が身を置くことで、自身の生き方や抱える闇と対峙するという展開になって回想&幻覚シーンが続く。だが、それらが「127時間」と違って、ことごとくハッとしてグッとくるものではないのでダレてくる。他人の思い出話や戯言は、ただ単に聞かされても(or見せられても)まったく面白くないなと改めて痛感。こうしたワン・シチュエーションな内省ドラマは活劇好きには辛い。
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