月極オトコトモダチの映画専門家レビュー一覧

月極オトコトモダチ

男女の友情をテーマにしたラブコメディ。30歳を目前にしたWEBマガジン編集者の那沙は“レンタル友達”を生業とする柳瀬と出会い、連載企画のために契約する。ある日、風邪で倒れた那沙の看病にアパートを訪れた柳瀬は、ルームメイトの珠希と急接近する。出演は、「春との旅」の徳永えり、「まく子」の橋本淳、「ジムノペディに乱れる」の芦那すみれ。監督は、本作が長編デビュー作となる穐山茉由。第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門正式出品、MOOSIC LAB 2018長編部門グランプリ受賞。
  • 評論家

    上野昻志

    世の中には、中老年男が、時間決めで少女と散歩や食事をしたりする、レンタル交際(?)はすでにあるが、正面切って「レンタル友達」として、女性が男をレンタルするというのが、設定上の工夫というべきか。要は、友達という一線を越えるか越えないかという話なんだけど、友達としての友情があるのかないのか、よくわからない。合わせて、画面作りが薄いのが気になる。室内にしても室外にしても、人物の背景になる空間に、奥行きや厚みが感じられないのだ。これもレンタルのせい?

  • 映画評論家

    上島春彦

    タイトルまんま。以上。ではあるが微妙なおかしさを感じさせるのは、恋愛じゃないのに三角関係、という不条理な展開のせいだ。あくまでジャーナリスティックな興味から「レンタル友達」契約に踏み込んだはずの主人公は、ところが部屋をシェアする女友達が契約一切なしに彼と友人になってしまうのが悔しくてならない。自分の打算を棚に上げて彼の計算を非難する彼女。相当色々コジらせてるのだが嫉妬の表現や発散のさせ方にアラサーならではの知的な屈折がある。音楽の入れ方も最高だ。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    レンタルなんもしない人に通じるタイムリーな題材かと思いきや、現実の方が先を行くだけに、恋愛に絡め取られていく本作が古めかしく感じてしまうのは致し方ない。室内の空間処理が突出し、ベッドと床の高低、台所とリビングを分けたやり取り、エレクトーンと椅子等の活用が見事。レンタル友達の橋本と、徳永の同居相手である芹那が、あれよあれよと意気投合するくだりを自然にではなく、作為性を堂々と用いる不敵さも良い。橋本は山内ケンジの舞台や映画の延長的なイメージで登場。

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