デリシュ!の映画専門家レビュー一覧
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映画監督/脚本家
いまおかしんじ
謝れと言われても謝らない、頑なで融通が利かない料理人が主人公。彼がだんだん女の人を好きになっていく感じが良かった。彼女にいろんな食材を味見させて、一個一個口の中に入れていくところ、エロくてドキドキした。舞台となる家のロケーションが素晴らしい。季節や風や匂いを感じる。そこで作られる料理も実に美味しそうだ。うまいうまいと言いながら食べる彼らの嬉しそうな顔。うまくいきそうになると不幸が次々と襲ってくるのが、分かっていてもジリジリした。
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文筆家/女優
唾蓮みどり
宮廷を追い出された料理人と、その弟子になることを希望するひとりの女性。18世紀の革命前夜という設定で、これだけですでに夢がある。彼女が訪れた理由はやがて明かされるが、家庭のための料理ではなく仕事人として料理をする彼女の目は輝いている。伝統的な料理と独創的な料理の闘いは、古い価値観と新しい価値観の闘いの物語に直結する。美食は庶民のものではなく貴族が独占するものという価値観が崩れ去ってくれて本当に良かった。料理だけでなく衣裳や美術も素晴らしい。
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映画批評家、東京都立大助教
須藤健太郎
ありていにいえば復讐劇の変奏だが、爽快さとは無縁の味わい。複数のプロットを一本に収めるのはいいが、欲張るわりに捌ききれていない。それはモンタージュ・シークエンスが繰り返し飽きもせずに使われる点に顕著であり、こう何度も時間経過や出来事の要約が必要になるのは脚本の構成に難があるからだろう。これでは単に間延びした印象を与えるだけだ。最後もマンスロンの復讐とルイーズの復讐を交錯させて山場となるはずが、どうも盛り上がりに欠ける。ちぐはぐなのである。
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