小学生の頃に見たきりだった。ディスクを再生してストーリーが進むにつれ、子供の頃に抱いた感想がよみがえってきた。可哀想で恐ろしい…。そう思ったのだった。
人の姿をしていながら、怪獣のように巨大に育ってしまったフランケンシュタイン。もし自分が、そんな風にこの世に生まれてきていたらと想像し、その時感じるであろう絶望的な孤独感に、子供心は慄然としたのである。そして、映画の中のフランケンシュタインを可哀想だと思い、そうした孤独や絶望を忖度することもなく、いたずらに生命をオモチャにするように彼を生み出した、心なき科学の力を恐ろしいと感じたのだ。
特撮映画としても見応えがある。住宅地を走るパトカーがミニチュア丸出しだったのが残念だったが、合成にそれほど不自然を感じなかったし、フランケンシュタインが徘徊する野山のセットなどは大変よく出来ており、クライマックスでの山林の炎上シーンも迫力があった。
そして、やはりこの世界では存在していけないフランケンシュタインを、見えざる神の手が異界へ運び去ってゆくようなラストに、いくらかの救いを覚えた。他の怪獣映画では見たくてしょうがない自衛隊による砲撃シーンは、この作品では見たくなかった。もしフランケンシュタインが人の手によって抹殺されたなら、あまりにも可哀想すぎ、人間の身勝手さが、あまりにも恐ろしすぎるではないか。