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見知らぬ乗客 特別版 [DVD]

4.0 5つ星のうち4.0 125個の評価

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フォーマット ドルビー, ブラック&ホワイト
コントリビュータ パトリシア・ハイスミス, ファーリー・グレンジャー, ルース・ローマン, アルフレッド・ヒッチコック, ロバート・ウォーカー, ディミトリ・ティオムキン
言語 英語
稼働時間 3 時間 23 分

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登録情報

  • アスペクト比 ‏ : ‎ 1.33:1
  • 言語 ‏ : ‎ 英語
  • 梱包サイズ ‏ : ‎ 18.03 x 13.76 x 1.48 cm; 83.16 g
  • EAN ‏ : ‎ 4988135597571
  • 監督 ‏ : ‎ アルフレッド・ヒッチコック
  • メディア形式 ‏ : ‎ ドルビー, ブラック&ホワイト
  • 時間 ‏ : ‎ 3 時間 23 分
  • 発売日 ‏ : ‎ 2008/4/11
  • 出演 ‏ : ‎ ファーリー・グレンジャー, ルース・ローマン, ロバート・ウォーカー
  • 字幕: ‏ : ‎ 日本語, 英語
  • 言語 ‏ : ‎ 英語 (Mono)
  • 販売元 ‏ : ‎ ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 生産者 ‏ : ‎ アルフレッド・ヒッチコック
  • ASIN ‏ : ‎ B001525JGC
  • ディスク枚数 ‏ : ‎ 1
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 125個の評価

カスタマーレビュー

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5つのうち4つ
125グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2022年12月28日に日本でレビュー済み
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■ はじめに

本作はパトリシア・ハイスミスの原作があり、アルフレッド・ヒッチコックが監督をした。

ハイスミスの原作だけあって、ブルーノ・アントニーのキャラクタには異様に引き込まれる。

鉄道での移動が多く「ちょっと時間的に無理ではないか」と思われる部分もあるが、その程度はしようがないだろう。

■ 登場人物
 ガイ・ヘインズ(ファーリー・グレンジャー) テニス選手
 ミリアム・ジョイス・ヘインズ(ケイシー・ロジャース) 妻

 ノートン上院議員(レオ・G・キャロル)
 アン・ノートン(ルース・ローマン) 娘、ガイの恋人
 バーバラ・ノートン(パトリシア・ヒッチコック) 娘

 ブルーノ・アントニー(ロバート・ウォーカー)
 アントニー氏(ジョナサン・ヘイル) 父
 アントニー夫人(マリオン・ローン) 母

 ターリー署長(ハワード・セント・ジョン)
 ヘネシー刑事(ロバート・ギスト)
 ハモンド刑事(ジョン・ドーセット)
 コリンズ教授(ジョン・ブラウン)

■ 概要

テニス選手のガイ・ヘインズは妻ミリアムとは離婚協議中。さらに恋人のアン・ノートンがいた。離婚してアンと結婚するつもりである。

アンは上院議員の娘だが、アンも上院議員も事情を知っており離婚してアンと結婚」という路線は了解している。

ガイは列車の中でブルーノ・アントニーという若者に出会った。話し好きの若者で気さくな印象を受けた。しかし彼はガイのことを熟知していた。ミリアムとアンとのことも知っていた。

おまけにブルーノは、ミリアムと自分の父親の交換殺人を持ちかけた。ガイは、その話を冗談と受け取る。列車を下りる時にガイはアンから贈られたライターを忘れてしまった。

ミリアムと会った。今までの話とは違って離婚を拒否した。

ブルーノは突然に遊園地でミリアムを殺害した。そして執拗にガイに交換殺人を要求した。アンや上院議員もミリアムの死亡、ブルーノの存在を認識した。

幸いなことに、アンや上院議員はガイを批判するものの、ガイの味方であった。

追い詰められたガイはついに交換殺人を了解し、ブルーノの屋敷を訪れた。しかし屋敷には父親はおらず、ブルーノが待っていた。そして父親の殺人要求を撤回した。

ブルーノはガイをミリアム殺害犯として告発するつもりである。殺害現場に例のライターを置きに行く。

それを察知したガイは試合が終わって遊園地に急ぐ。ガイとブルーノの戦いとなる。

■ 出演者

アンの妹バーバラ役のパトリシア・ヒッチコックはヒッチコック監督の娘。

◆ ファーリー・グレンジャー

(1948)夜の人々/They Live by Night。共演はキャシー・オドネル。仲間と脱獄したボウイは、さらに銀行強盗をした。ボウイはキーチと出会った。二人は過去を捨てて新しい生活を始めた。

しかし昔の仲間が訪ねてくる、他の犯罪者が「ボウイ」を名乗る。二人は逃亡生活を続けるが、それでも幸せだった。子供ができた。知人を頼っていくが、警察に売られた。ボウイは射殺され、キーチは泣き崩れた。

本作は犯罪映画の形式を纏った恋愛映画である。二人の感情がとてもよく表現されている。

(1951)Behave Yourself!。共演はシェリー・ウィンターズ。コメディ、大推薦。密輸業者(smuggler)が密輸品のバイヤー(buyer)に密輸品を渡す。その連絡手段としてバイヤーはテリア犬をホテルの預かり所に預けて密輸業者に渡す。密輸業者はテリア犬に案内されて密輸品を渡す計画。すばらしいな。

彼らを狙って密輸品や代金を横取りしようとしているギャング(hijacker)がいる。ウィリアム(ファーリー)/ケイト(シェリー)・デニー夫妻は偶然にテリア犬がなついてきたことから事件に巻き込まれる。

(1952)人生模様・賢者の贈り物/O. Henry's Full House。原作はオー・ヘンリーの短編。共演はジーン・クレイン。ジム(ファーリー)とデラ(ジーン)は貧乏だが、お互いに相手のことを思いやっている夫婦である。二人は大金持ちになったつもりのゲームをしている。そのゲームの中で、それぞれが欲しいクリスマスプレゼントを言う。

それは単に想像の上での話だが、二人は相手に本当にそれをプレゼントしようとする。プレゼントを買うために自分の大事なものを売る。

◆ ケイシー・ロジャース

(1950)サムソンとデリラ/Samson and Delilah。旧約聖書「士師記」の物語の映画化である。出演はヴィクター・マチュア、アンジェラ・ランズベリー、ヘディ・ラマー、オリーヴ・デアリングなど。

サムソン(ヴィクター)はダン族の怪力の青年。ダン族の女性ミリアム(オリーヴ)はサムソンが好きだが、サムソンはペリシテ族のセマダール(アンジェラ)が好き。

サムソンがライオンを倒したことでセマダールと結婚することになるが、セマダールの姉デリラ(ヘディ)もサムソンが好きで結婚を恨む。

◆ レオ・G・キャロル

(1939)嵐が丘/Wuthering Heights。原作はエミリー・ブロンテ。孤児のヒースクリフはアーンショーに拾われて大きくなり、娘のキャシーと愛し合う仲になったがキャシーは金持ちのエドガー・リントンにプロポーズされた。ヒースクリフは姿を消した。

一方アーンショー家は落ちぶれて借金まみれとなった。金持ちとなって戻ってきたヒースクリフはエドガーの妹のイサベラと結婚した。ヒースクリフはまだキャシーを愛していたのだが、キャシーを弄ぶような態度で接した。そのような状態に耐えられずにキャシーは病気となり死亡した。ここにいたってヒースクリフは涙を流した。

(1940)レベッカ/Rebecca。原作はダフニ・デュ・モーリエ。出演はジョーン・フォンテイン、ローレンス・オリヴィエなど。マリアン(ジョーン)はマンダレーに広大な土地を持つマキシム(ローレンス)と出会い結婚した。マキシムは一年前に妻のレベッカを亡くしていた。

マンダレーではレベッカの付き人だったダンヴァース夫人が取り仕切っており、マリアンにはレベッカと比較する形で何かと注文を付けた。マリアンは、次第に追い詰められていく。

マキシムは優しいが、突然に怒り出すことがあった。マリアンは、海岸で放置された小屋を見つけた。後ほど、その小屋はレベッカの死亡原因と関係があると判明した。

なお、ジョーン出演の「(1944)情炎の海/Frenchman's Creek」もモーリエの原作である。なんとジョーンが海賊になる。

(1940)哀愁/Waterloo Bridge。出演はロバート・テイラー、ヴィヴィアン・リー。マイラ(ヴィヴィアン)は将校のロイと出会った。二人は結婚しようとしたが、ロイは急遽フランスへ旅立った。ロイの戦死が報道された。マイラは失業して、娼婦となった。

しかし奇跡的にロイが帰ってきて、二人は結婚するために、ロイの故郷のスコットランドに行った。マイラはロイの家族に受け入れられたにも拘わらず、自分の職業を卑下してロンドンに戻った。

(1941)断崖/Suspicion。監督は本作と同じくヒッチコック。出演はジョーン・フォンテイン、ケイリー・グラント。リーナはジョニーと結婚した。しかしジョニーが無一文であることが判明。

ジョニーは従兄の会社に勤めたが、そこで横領をした。また止めたはずの競馬も続けていた。ジョニーは友達のビーキーと土地開発を計画したが頓挫。さらにジョニーのビーキー殺害疑惑が浮上した。リーナをも殺そうとしているようである。

(1945)Gメン対間諜/The House on 92nd Street。出演はロイド・ノーランなど。ビルはナチスに勧誘されてスパイとなった。しかし実はFBIの二重スパイである。

ビルはナチスの命令通り通信拠点を設置してナチスのスパイが集めた情報をドイツに送信した。当然その情報はFBIに傍受され改竄された。ナチススパイの摘発は進んでいくが、一番重要なMr.クリストファーの正体が掴めない。

(1945)白い恐怖/Spellbound。出演はイングリッド・バーグマン、グレゴリー・ペック。精神病院に新所長(グレゴリー)が赴任した。唯一の女医コンスタンス(イングリッド)とお互いに一目ぼれ状態。しかし新所長の記憶がおかしい。新所長は失踪しコンスタンスは追いかけた。

◆ ルース・ローマン

(1946)ギルダ/GILDA。出演はグレン・フォード、リタ・ヘイワースなど。ジョニー(グレン)はブエノスアイレスの賭場でイカサマをして命を狙われた時、バリンに助けられて、バリンのカジノで働くことになった。カジノを任されるようになった。

バリンは旅行をしてギルダ(リタ)という妻を連れて帰ってきた。ギルダはジョニーの元の恋人。ギルダはジョニーにあてつけるような振る舞いをし、二人は小競り合いを繰り返した。

(1950)三人の秘密/THREE SECRETS。出演はエリノア・バーカー、パトリシア・ニール、ルース・ローマン。

飛行機の墜落事故が発生。六歳の孤児の男児が乗っていたとの情報。やむを得ない事情があって、過去に自分の子供を孤児院に預けたことがある女性が三人駆けつけた。

◆ ロバート・ウォーカー

(1943)キュリー夫人/Madame Curie。出演はグリア・ガースン、ウォルター・ピジョン。マリー・キューリーのピエールとの出会いからラジウムの発見までを映画化している。

(1945)夢のひととき/Her Highness and the Bellboy。出演はへディ・ラマー、ロバート・ウォーカー、ジューン・アリソン。ベルボウイのジミー(ロバート)はホテルに宿泊していた王女のヴェロニカ(へディ)の世話をすることになった。

ヴェロニカは以前に付き合ったコラムニストのポウルに会いに来たのだが、ポウルは自分の地位にこだわるヴェロニカを相手にしない。

しかしジミーが恋人のレスリー(ジューン)と結婚すると聞いてヴェロニカは自分の地位を捨てる。

(1947)大草原/The Sea of Grass。共演はキャサリン・ヘップバーン、スペンサー・トレイシー。セントルイスで育ったルーティ(キャサリン)は大牧場主のジム(スペンサー)と結婚し、ニューメキシコの大草原の中で暮らし始めた。しかし友人はおらず、孤独な生活が続いた。

ジムとの間にサラ・ベスが生まれ、弁護士との間にブロック(ロバート)が生まれた。ルーティはずっとニューメキシコを離れていたが、戻ってくるとブロックがならず者となっていた。

(1951)復讐の谷/Vengeance Valley。共演はバート・ランカスターなど。牧場主の息子リー(ロバート)はリリー(サリー・フォレスト)と浮気して、リリーは妊娠・出産。しかしリーは責任を取ろうとしない。

牧童頭のオーウェン(バート)は、リーやリリーのために尽力するが、リリーの兄弟からはリリーの相手と疑われる。全く反省しないリーは、オーウェンを亡き者にしてオーウェンに責任を押し付けようとする。

◆ ジョナサン・ヘイル

(1949)荒くれ男/Stampede。共演はロッド・キャメロン、ドナルド・カーティスなど。悪人のスタントン(ドナルド)は、マッコール(ロッド)牧場周辺の不毛の土地を開拓者に売りつけた。

スタントンは、マッコール牧場の牛を追い立てて断崖絶壁から落とした。さらにマッコールの土地の湖のダムを爆破しようとした。マッコールはスタントンの陰謀を阻止したが、最後に自分のダムを爆破して開拓者に水を供給することにした。

◆ ハワード・セント・ジョン

(1954)愛の泉/Three Coins in the Fountain。出演はドロシー・マクガイア、ジーン・ピーターズ、マギー・マクナマラ。ローマで働く三人のアメリカ女性の恋愛模様。それぞれの相手役はクリフトン・ウェッブ、ロッサノ・ブラッツィ、ルイ・ジュールダン。

マリア(マギー)はディノ(ルイ)のことをいろいろ調べてうまくディノの気に入られるが自分が卑怯な作戦をしたことで自己嫌悪に陥る。アニタ(ジーン)は、勤務先のイタリア人との交際禁止ルールを破ってジョルジオ(ロッサノ)と付き合う。しかしジョルジオが解雇される。フランシス(ドロシー)は作家フレデリック(クリフトん)の秘書。長年秘書をしているが、フレデリックが好き。

◆ ジョン・ドーセット
(1952)無頼の谷/Rancho Notorious。出演はアーサー・ケネディ、マレーネ・ディートリッヒなど。

ヴァーン(アーサー)は恋人のベスを殺されて、犯人を捜すために旅に出た。チャック・ア・ラックという場所を探し当てた。アルター・キーン(マレーネ)が犯罪者を匿い、それで報酬を得ている場所である。その中の一人が犯人である。

(1954)雨の朝巴里に死す/The Last Time I saw Paris。出演はエリザベス・テイラー、ヴァン・ジョンソンなど。チャールズ(ヴァン)とヘレン(エリザベス)は結婚した。ヘレンは結婚した後も遊び歩いた。チャールズは除隊して記者となった。その合間に小説を書いた。

しかし執筆はうまくいかず、次第に陰鬱になってくる。そしてロレーヌという女性と付き合った。チャールズとヘレンの子供のヴィッキーは、両親がこのような状態ではあったが、素直な良い子に育った。

(1950)折れた矢/Broken Arrow。出演はジェームズ・ステュアート、デブラ・パジェット、ジェフ・チャンドラー。トム(ジェームズ)はアパッチの少年を助けたことをきっかけに酋長のコチーズ(ジェフ)と親しくなった。またアパッチの娘ソンシアレイ(デブラ)と付き合って結婚した。ハワード将軍はコチーズと交渉し、合衆国とアパッチの平和条約として結実した。

これを好ましく思わない連中が双方にいた。コチーズ、トム、ソンシアレイなどがいたところを白人の集団が銃撃した。一味は撃退されたもののソンシアレイが死亡した。ハワード将軍とコチーズは双方の怒りを抑えて、しっかりと条約を守った。
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2022年12月27日に日本でレビュー済み
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ヒッチコック映画は中学生の頃サイコ(1960年)を観ましたが、この映画は1951年で小学生だったので、
今回初めて観る事となりました。ショック度はサイコに劣りますが、ヒッチコックスタイルで貫かれています。現代のネツト社会では、見らぬ人同士が起こす重大犯罪が日常化してますが、ヒッチコック監督だったらどう想うのでしょうか??
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年9月13日に日本でレビュー済み
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列車で初対面の人から交換殺人の話が出た瞬間に、普通だったら席を立つところ。人は怪しい人間は瞬時に避ける習慣があるからである。しかも、映画では、別れ際に交換殺人の誘いに曖昧な返事をしている。これがストーリーの初期の設定になっている。その後、容疑者の執拗な接近に対して、普通だったらすぐに警察に連絡して、一切を話し、相談するところだが、綿々と相手をしている。これがストーリーの中間の設定になっている。それらの前提の上で、主人公が忘れた証拠品となるライターを巡ってストーリーがクライマックスに到達し、手に持っていたライターが明らかになる。子供の頃観たが、容疑者が婦人の首を冗談で絞めるシーンしか記憶にない。印象が薄い作品です。
2023年10月30日に日本でレビュー済み
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1951年のこのヒッチコック映画は交換殺人という斬新なテーマで作られた非常に見応えのあるサスペンスの名作である。1951年というとあの黒澤明の羅生門がグランプリを受賞し世界のクロサワになった年だ。そんな大昔に作られたとはとても思えない非常に完成度の高い作品となっている。監督の娘パトリシアの演技も大変素晴らしい。
2022年9月24日に日本でレビュー済み
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本作の主人公はテニス選手のガイ・・・なのだが、
しかし、印象に残るのは彼にとって「見知らぬ乗客」であるブルーノだろう。

不適な笑みを浮かべる、年齢不詳、職業不詳のマザコン。
なんともミステリアスで「危ない」存在だ。

そんな「危ない」男と偶然乗り合わせ、取り返しのつかない事態へ巻き込まれる、というのが大まかな筋である。しかし、そこは「サスペンスの神様」ことヒッチコック。
鮮烈な映像により、ブルーノの狂気をしつこい位に描写する。

・他の客がラリーに注目するなか、一人ガイを見つめるブルーノ
・ヘネシー刑事と談笑するガイを見つめるブルーノ(ジェファーソン記念堂でのシーン?)

私としてはこの2つが特に印象深い。
前者では試合には目もくれない点、後者では白い建物を背景に黒いスーツで佇んでいる点により、周囲とは全く異なる「異常者」ブルーノを強調している。また、どちらでも彼は画面に向かってこちら側を見つめている。彼があたかも我々を監視しているような錯覚を起こさせ、「異常者」につきまとわれる恐怖を増幅させているのだ。

とは言え、どこか間の抜けたシーンも挟まれるのがまた良い。
ガイは試合で予想外の苦戦を強いられるし、ブルーノはライターを側溝に落としてしまう。
おまけに、二人が決着をつけるのは問題の深刻さとは無縁な遊園地・・・。

この「緊張と緩和」こそが、本作の魅力なのではないか、と私は思っている。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2023年5月18日に日本でレビュー済み
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『見知らぬ乗客』(Strangers on a Train)('51)
出演∶ファーリー・グレンジャー、ロバート・ウォーカー、ルース・ローマン、パトリシア・ヒッチコック、レオ・G・キャロル、ケイシー・ロジャース、マリオン・ローン、ジョン・ブラウン、ロバート・ギスト、ジョン・ドーセット、ハワード・セント・ジョン

監督:アルフレッド・ヒッチコック

"スリラーの巨匠"、"サスペンスの神様"と言われるアルフレッド·ヒッチコック監督の数ある傑作群の中では、『サイコ』『鳥』『めまい』『裏窓』などに比べると、やや知名度で劣るかもしれない。だが、"交換殺人"というミステリー·ファンが喜びそうなテーマに、ニューロティックな先天的犯罪者のオーラを纏うブルーノという魅力的な犯人キャラがいい。

『太陽がいっぱい』などで知られるパトリシア·ハイスミスの原作を、ハードボイルドの巨匠レイモンド·チャンドラーが脚本化しているのも注目だ。(この当時、チャンドラーはビリー·ワイルダー監督の傑作サスペンス『深夜の告白』などの映画脚本も手掛けている)

列車で出会った見知らぬ男から、"交換殺人"を持ちかけられた主人公。主人公を苦しめる性悪妻を殺してやる替わりに、男にとって邪魔な父を殺してくれと言う。利害関係と動機がないから、お互い足はつかないと…。主人公は一笑に付すが、男は勝手に彼の妻を殺してしまい、"父殺し"の実行を迫ってくる。やがて、妻殺しの容疑が主人公の身に……!!

[物語] テニス·プレイヤーのガイ(グレンジャー)の最大の悩みは、浮気を繰り返す性悪妻ミリアム(ロジャース)が他人の子を妊娠までしながら、離婚に応じないこと。ガイは遠に冷めており、上院議員モートン(キャロル)の令嬢アン(ローマン)との結婚を望んでいたのだ。

ある日乗った列車で、ブルーノ(ウォーカー)という見知らぬ青年が声をかけてくる。ブルーノは、ガイの私生活を熟知しており、妻を殺してやるから、替わりにブルーノの資産家の父を殺してほしいと、"交換殺人"を持ちかける。ガイは、適当に受け流して去るが、ブルーノは本当に、妻ミリアムを殺してしまう。

やがて、ガイの前に姿を現したブルーノは、"約束"を実行するよう迫る。焦ったガイは断ろうとするが、ブルーノは、すでに殺人の"共犯謀議"が成立していると言い、早く自分の父親を殺すよう脅しをかけてくるのだった。しかも警察は、ミリアム殺しの容疑をガイに向けていた。ガイの身辺に出没する不審な男の存在に疑惑を抱いたアンと、その妹のバーバラ(P.ヒッチコック)は、ガイを問いただすと……。

見知らぬ他人から持ちかけられた"交換殺人"という突拍子もない話から始まり、知らぬうちにジワジワと陥穽にハマってゆくサスペンス描写が秀逸だ。そしてクライマックスの遊園地の場面。アクシデントで、高速で暴走回転するメリーゴーラウンドでのスリリングなアクションは、70年以上前の作品としては出色だろう。

ヒッチコック作品のいくつかを見て感じたのだが、英米人は"不倫"に寛容なのだろうか? 
『舞台恐怖症』は、人気女優と愛人関係にある男が、女優の夫殺しの疑いをかけられるサスペンス話。『ダイヤルMを回せ !』は、夫以外の男と愛人関係にあるヒロインが、夫に命を狙われる話。『サイコ』は、既婚男と不倫関係にあるOLが殺されて行方不明となり、不倫相手の男と殺されたOLの妹が、事件の真相を追う話。そして『見知らぬ乗客』もまた……。

ヒッチコックのみならず、西部劇などでも、ヒロインに夫や婚約者がいるケースがたまにある。ストーリー半ばで夫(婚約者)は死に、最後に主人公とヒロインが結ばれるか、そうなることを暗示して大団円……だ。ヒッチコックの場合も含めて、主人公の夫なり妻なりが、財産目当ての悪人だったり、嫌なヤツだったり、とんだ悪妻や尻軽浮気妻だったりと、主人公に感情移入しやすい設定にはなってはいますが……。

韓国などでは、どんなに主人公たちに同情的な設定にしても、不倫している主人公の話は道義的に受け入れられず、当たらないという話を聞いたことがある。日本でも、不倫というと『失楽園』などのように、重いものになってしまうことが多いような……。

アメリカ映画の場合、悪妻や悪夫(?)、あるいは主人公の人生に決してプラスにならない妻や夫は物語から排除されて、主人公は"新しい恋"を成就させて、ハッピーエンド……「これでいいのだ」という例が目立つように思えるのだが、偏見だろうか。国民性の違いと言ってしまえば、それまでだが……。