Amazonより
1952年、フィルム・ノワールの衰退期にリチャード・O・フライシャー監督は『その女を殺せ』を製作。低予算で製作された、構成のしっかりしたB級のスリラーで、列車の中でギャングの未亡人を守らなければならなくなった刑事の話だ。これは芸術品ではないが、フライシャーのノワールには、人違いによる衝撃的なクライマックス、不吉な閉所恐怖のような感覚、そして、運命に翻弄される、タフで、下手をすると好きになることができない主役たちが描かれ、彼らは頭の切れる会話をとうとうと交わし、互いに対して軽蔑しか感じていないのだ。ハリウッドで映画がリメイクされる時、製作者たちが題材を現代風にしようとして、ほとんどの場合は控え目な表現や魅力は失われてしまう。これは、脚本家で監督のピーター・ハイアムズのリメイク版が抱える多くの問題のひとつだ(52年版の原題は『The Narrow Margin』だが今作は少し短くなって『Narrow Margin』となっている)。ハイアムズは本末転倒な動機づけで、プロットの意外な展開をなくし(これで、走っている列車の上での、よくあるアクション映画になった)、キャラクターたちを柔和にした(夢遊病者ぐらいのソフトさでジーン・ハックマンとアン・アーチャーが演じている)。以前のまま残ったのは列車内であるということだけのようだが、ハイアムズはどんな圧迫感よりもいかにアクションを盛り込めるかの方に興味を持ったようだ。彼は、アクションの流れと、ばかばかしいまでに命知らずなスタントを強化するために、あいまいな人間関係とスマートな会話を削った。もろもろのハイアムズの高価なトリックは、刺激を加えると言うよりも、『カナディアン・エキスプレス』が『その女を殺せ』から引き継ぐことのできたはずのテンションをすべて奪ってしまっている。(Dave McCoy, Amazon.com)
レビュー
製作総指揮: マリオ・カサール/アンドリュー・ヴァイナ 製作: ジョナサン・A.ジンバート 監督・脚本・撮影: ピーター・ハイアムズ 音楽: ブルース・ブルートン 出演: ジーン・ハックマン/アン・アーチャー/ジェイムズ・シッキング/J.T.ウォルシュ/スーザン・ホーガン/ナイジェル・ベネット/M.エメット・ウォルシュ 声の出演: 石田太郎/田島令子/寺島幹夫/小島敏彦/高橋ひろ子/秋元羊介/藤本譲
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)