なんだかおかしな邦題だが、原題はRoyal Weddingということで、エリザベス女王(1926~。
当時王女)の成婚に合わせた企画で、パレードの実録フィルムもはさまれ(これはこれですごい)、アステアの
相手役にはチャーチルの娘サラ・チャーチルが配されている。兄と妹がそれぞれ恋に落ちて二組のカップル、と
いうことでこのタイトルのなのだろうけれど、アステア自身姉アデールとのコンビで一世を風靡した人だし、ア
デールはデヴォンシャ公次男チャールズと結婚したから、彼自身の物語ともいえるだろう。
筋立ては他愛もないものだが、例の、ジムで体育用具や帽子掛けを使って踊りまくるナンバーや、揺れる大型
客船で滑りながら踊るシーン、なんといってもあの有名な壁や天井で踊る場面など、見所の多さ、贅沢さに驚く。
アステアの自伝Steps in Timeによれば、ダンスのアイディアはいつも午前4時に浮かぶとのことだが、これらも
そうらしい。
スタンリー・ドーネンの初のソロ監督仕事。共演はキーナン・ウィン。「ウソつき男」や「ハイチに帽子を忘れ
てきた」は定石通りの演出だが楽しく、全編飽きさせない1時間半だ。
同じく自伝によれば、初めジューン・アリスンで進んでいたが彼女のおめでたが分かりジュディ・ガーランドへ、
ジュディの病気でジェイン・パウエルへ、とのこと。ヨーク公夫人から姉アデールへのカード「1926年8月
9日 赤ちゃんを見にいらっしゃいませんか。」の「赤ちゃん」というのが現女王のこと、というエピソードなど
も感慨頻り。