原作は知らずにTV放送を見て良い作品だと思いました。
横浜の空襲被災を免れた丘の上にある「喫茶店・方舟(はこぶね)」を中心に、祖父の家に遊びに来た13歳の少年と60年前の空襲によって霊体と化した女学生達とのひと夏の時間旅行。
少年もヒロイン達もパワフルで前向きで明るいが、空襲で突然に命を奪われた暗い時代の悲しみや怒りが激しく密やかに描かれている巻話は切ない。
全13話のタイトルには懐かしいヒット曲の題名が充てられ、各話中にも時代の流行歌が流れていて、いい雰囲気。また、回顧ナレーション担当の麦人さんの口調も優しく染み入る味わいがあっていい。
本作全編を見て、秀作であると思った。設定や展開は昨今のアニメと比較すると使い古されたものであるが、そこも狙い目なのかもしれない。絵柄や描き込みは優れていて、ジリジリと暑い夏の雰囲気を色彩・コントラストとで綺麗にとても良く描写しており、映像内に実写やミニチュアモデルも使われている。
全話を振り返ると、パロディ、笑い、ジーンと感動、コスプレ、ホロリと涙のストーリー展開の中に“命の大切さ・人を思うことの純粋さ・存在の在り方・平和な時間の尊さ”が込められている。
キャラクター達の個性はお決まりのベタキャラだが、嫌味はなくマッチしていて安心して見ることができる。また、主人公・嵐山小夜子のCVを務めている白石涼子さんの声質がピタリとハマッていて、白石さんの代表作のひとつになりそうな予感もする。
事実上の最終話である12話では過去ではなく未来時間との関わりがターニングポイント的に描かれていて、最終の13話は第1話のコスプレパロディのプレイバックアナザーバージョン。毎話に挿入されているショートストーリーは笑える出来栄えで、これだけでまとめても面白いかもしれない。
第1期は放送終了しているが、第2期放送の今秋スタートがリリースされ期待している。