1997年2月、返還の年の旧正月に、僕は香港を旅した。
そのとき映画館で観た映画が、本作『ラッキー・ファミリー』。
ご存じ、チャウ・シンチー主演のオールスター顔見せ興業である。
広東語をほとんど解さず、英語の字幕がよくわからない僕でも、
この映画のいい加減なお気楽さは、それなりに楽しめたように思う。
ように思う、などと曖昧なのは、実は記憶があやふやなのである。
でも、観たのは本作に違いないから、17年ぶりにDVDを購入。
日本語字幕でしっかり観てみようと思ったわけだ。
実際に観てみると、あのシーンもこのシーンも、
どれも確かに見覚えのあるような気のするものばかり。
逆に、へえ、こんな内容だったのか、と新鮮に観たところもあるが。
これは褒め言葉として言うのだが、その年に「返還」を控えているとは
とても思えない、くだらないギャグの数々にもあらためて舌を巻いた。
さすがチャウ・シンチー!
ちなみに当時の香港の映画館は、
観客がタバコを吸いまくるわ、ケータイで大きな声で話をするわで、
日本では考えられないようなマナーがまかり通っていたが、
そういうことは映画の内容よりも意外によく覚えているものだ。
それも含めて、無性に懐かしくて仕方のない思い出の1本。
だから、出来栄えなどを正当に評価できるはずもなく、
個人的な思い入れだけで★5つとしておきたい。