プレミアがついて、とても買えないので、江古田まで出かけて、日大芸術学部にて鑑賞させて頂きました。このDVDはレンタルされておらず、国会図書館にも所蔵されていないので、見つけるのに、なかなか苦労しました。ある本にはこの作品の日本語版には漫画家の池田理代子さんのナレーションが付いているとありましたが、このDVDはフランス語のナレーションに日本語字幕が付いているものです。少し、がっかりしました。
全体の70%が日本(78年頃から81年頃くらい)についての映像、20%がアフリカ、ギニアについての映像、残りの10%がアイスランドやアメリカ、サンフランシスコなどの映像。アルフレッド・ヒッチコックの往年の名画「めまい」についての言及もあります。この映画を観ていると、日本という国が極めて絶妙なバランスを保って、倒れずにいるガラス細工のような共同体であることが判ります。そして、日本人とは極めてユニークな文化、風習を持ち合わせている民族であることが判ります。これは、傍目八目ということばがあるように、日本人には気づかずに、他の国の人に指摘されて初めて理解できることなのかもしれません。それは、クリス・マルケルという才能あるドキュメンタリー作家の手腕に拠るところが大きいかもしれませんが・・・。猫に対する偏愛、など、いかにもクリス・マルケル、という描写も横溢しています。
この映画は記録映画としては極めて優れているのにも拘わらず、日本ではそれに見合う評価を獲得していないように思えます。日本人は日本という国に余り、関心がないのでしょうか。尚、一点、気になる描写がありました。アフリカで野生のキリンが胸に銃弾を二発、受け、鮮血を吹き出しながら絶命していくのですが、この残酷な描写、何のためにあるのか、判りませんでした。人間の手によって殺されていくのですから、食物連鎖を暗示したものではない筈です。この点がやや、消化不良でした。
また、最後になりましたが、この映画の題名「サン・ソレイユ(英語では sunless という題名です)」はロシアの作曲家モデスト・ムソルグスキーの歌曲の題名に由来するとのことです。