本作のオリジナル画角は「2.35:1/スコープ」なのですが、本品(ブルーレイ)に収録されている素材は「1.85:1/ビスタ」で、つまりは左右の映像を削除し、残った中央部分の映像をブローアップして収録しています。
私が本品を購入したのは発売直後だったのと、この頃(2012年)はブルーレイに対してワケもなく盲信していまして、過去の映像記録媒体とは異なり「事後処理で画角に手を加えるはずがない」との漠然とした根拠の確信で信頼を寄せていました。
だから本品に対しても購入前に仕様を細かく精査することもせず、ただただ「初ディスク化」されたって一点だけで浮かれて、すぐにポチッてましたし、(地上波放映とVHSで)既に鑑賞済み作品でもあったため、購入後は「いつでも見れるサ」的安心感も手伝っていて、つい最近まで封も切らず、部屋の一角を占めているディスクの山に放置したままでした。
で、気が向いたので鑑賞していると...なんとなく映像に違和感があり、「まさか」とは思いつつも撮影時の画角を確認してみたら、冒頭で記したとおりに「トリミング版」だったワケです。
そしたらもぅ...一気に見る気が失せて、鑑賞途中で停止し、再びディスクの山へと戻してしまいました。
なんで、↑こんな仕様にしちゃうんだろうか?
仮にテレビ画面いっぱいに映像を映し出したいならばテレビのリモコン操作で「ズーム」処理が可能で、画角を問わず端々まで映像が希望ならばその手段で見れるワケで(←但し、ズーム処理だと字幕が見えなくなる場合があるけれど)、ディスクに記録する段で映像を削っちゃったらあとは何をしてもオリジナル画角では鑑賞できなくなるし、オリジナル画角の素材を圧縮処理(スクイーズ)で収録してくれていたら消費者側での「二者択一」を選べるから簡単にトリミング一択にするのではなく、ズーム対応も可能な「2.35:1/スコープ」画角にしておいてほしいですね。
本商品で言うなら「ビスタ/トリミング」でも見れなくはないけれど、そういう「見れればいい」といった話ではなくて、もっと根本的な部分を無下にされた/欺かれた感じがするし、この仕様では個人的には納得しづらく、それに技術的に可能な対処であるだけに、何故に旧規格のビデオテープと変わらないカット映像へとすり寄らねばならないのか? の「理由」が分からないのです。
なので、一刻も早い本作のオリジナル画角素材にて収録してある盤の発売を願いたい次第。
それでも、既に廃盤みたいな商品にディスってばかりというのもナンなので(←購入に関しては自己防衛の徹底が浅かったし)、本作でも突出して良い点も書いておいて、〆させていただきます。
それは音楽担当のロイ・バッド(故人)の素晴らしい仕事で、躍動感ある楽曲は聴く度に胸踊るし、同時に心揺さぶる情緒的メロディも合わさるので、盛り上げ方の曲構成は他の作曲家の追随を許さない才能を感じさせます。音楽が気に入れば「マルセイユ特急」「シンジケート」「爆走!」「ワイルド・ギース」「ドラブル」などでも似た高揚度合い、楽曲的多幸感を得られますので、本作も含め各サントラ盤をオススメしたいですね。