講談社刊・小野不由美原作/山田章博イラスト
『十二国記』TVアニメ第43〜最終話を収録したDVD16巻です。
序列のない人の尊厳を説いた前章とは相対する王として苦渋を強いられる
統治の意味合いを捉えた作風が唸ります。
第四十三話「東の海神 西の滄海 三章」★★★☆☆
自分は特別。そう思い込んでいる斡由の臆病で矮小な人間的な脆さが窺える物語です。
本章が「風の万里〜」の後に位置付けられたのも、止水という地方解放に注視した
陽子に対する警鐘でしょうか。作画がかなりカクカクして雑なのが残念。
それゆえかやや盛り上がり欠けています。
第四十四話「東の海神 西の滄海 終章」★★★★☆
尚隆の読み、国と民を想う毅然とした凛々しさに対し
州の玉座で一人、責任転嫁と自己顕示で踊る斡由の姿が痛々しいです。
本章での「もう一人の俺」とは内面に潜む律するべき自分の弱さ(がそこに眠っていること)
を指摘する、自己啓発のように感じられました。色艶鮮やかな作画も終始安定して一安心。
第四十五話「東の海神 西の滄海 転章」(終)★★★★☆
本章を解説する形式を取りつつ、天意あっての王と民の関係性に
注目したこの十二の国記の物語を締めるエピローグに仕上がっています。
国と人としての道に準じつつ、if(もし)の可能性を含んだもう一人の危うい自分を
見据える冷静柔軟さを説いていますが、転章せず、「終幕」してしまったのは非常に残念。