原題“Outcast of the Island”は「島のならず者」という程度の意味にすぎませんが、公開当時、キャロル・リード作品として、『第三の男』の評判につり合うよう、構えの大きな邦題にしたのでしょう。、東南アジアの小さな島で落剥した主人公(トレヴァ・ハワード)が、辛うじて自分を取り立ててくれた船長(ラルフ・リチャードスン)からも見放され、衝動的に一緒になった現地人女性(ケリマ)と、非文明的環境に置き去りにされるという、爽快感に乏しい、救いのない話です。 60年代まで見かけた南海ものに属しますが、現地人の描写を織り込んでサスペンスを醸成していく点はさすが一流だし、カメラ(ジョン・ウィルコックス)もよい。私は初見のときよりも、面白く見ることが出来ました。技術的には星5つといえるでしょう。なお、原版120分を95分としたTV版です。