割と映画を鑑賞する私でも詳しい人物像は知らないのだが、「SAW」シリーズや、「死霊館」シリーズで、今やホラー映画界の巨匠監督兼プロデューサーとして名をはせる「ジェームズ・ワン」監督の出世作「SAW」でプロデューサーの一人として名を連ねる「ピーター・ブロック」が製作した作品。
「SAW」が低予算ながらアイデアで世界を驚かせてメガヒットに繋がったわけだが、この時の製作陣の一人である、この映画のピーター・ブロックも2匹目のどじょうを狙ったわけでもないだろうけれど、この作品も役者のギャラ以外はCGもほとんど使わず、モンスターなども造形せず、低予算でホラー映画にチャレンジしている。
比較的有名なのは「トワイライト」シリーズに出ていた主演の「ピーター・ファシネリ」だけという布陣で役者の演技で見せるホラーにチャレンジしている。キリスト教における異端審問で絞首刑になったある信者が悪魔化し、自分を絞首刑にしたものの子孫を抹殺しようと暗躍する。この悪魔的な存在は自分が殺害されるとその殺した人間に憑依することが出来るという設定で、不死身な存在。ある意味無敵な存在であるのだが、子孫の一人である老人の邸宅にある部屋にだけは封印することが出来る。
そうやって30年封印し続けてきたのだが、主人公とその婚約者や娘とその彼氏などが事故を起こし、その家に助けを求めたところ、少女の姿で部屋に封印されているその悪魔的な存在を解き放ってしまう。謎解きサスペンス風の展開のホラーで、特に殺戮シーンも派手さはなく、次々憑依される登場人物たちが疑心暗鬼になり、また、憑依されたこれまでの友人たちに襲撃されながらも、うっかり殺してしまうと憑依されてしまうというジレンマと戦う姿が、後半怒涛の展開を見せてきて、既視感たっぷりの映画であるけれど、それなりにスリルがあって面白かった。役者の演技だけでホラーを完成させるという低予算アイデアホラーは目新しさはないが、結構面白かった。凝ったホラーを期待する向きには全く物足りないとは正直思うけれど、これはこれで十分面白いと思う。前半ももたつきはやや気になるけれど、佳作ホラーとしては十分評価でできる作品。派手さは全くないので、その手のホラーファンにはお勧めできないが頑張りを評価したい作品。