プリキュアシリーズも2019年で16作に到達しましたが、
初代の出来はやはり素晴らしく、
プリキュアの歴史を振り返る度に思い起こされるのも
当然と感じました。
設定がきちんとしていて、その説明が丁寧になされ、
演出がやや抑え目である分、ストーリーに時間を割けるのが、
近年の作品と比べて特に良い点だと感じられます。
初めての変身シーンで口上を述べた後に
「わたし、なんでこんなこと言っちゃってるの?」
と呟くのはとても新鮮でした。
実際なら確かにそう思うでしょうね。
なぎさ(キュアブラック)とほのか(キュアホワイト)が
パンチにキックの肉弾戦で大活躍。
もちろん放出系飛び道具も用いますが、
最初から魔法や道具に頼る後年の作品とは臨場感が違いますね。
黒白のコスチュームも引き締まった雰囲気を出していい感じです。
二人が揃わないと変身できないという設定は
なんと『ウルトラマンエース』と合致します。
あの名作では描き切れなかったものが
ここで昇華して描かれていることには感動を覚えました。
プリキュアシリーズに興味を持った方なら見て絶対に損はありません。
全力でお勧めします。
ちなみに主人公二人が通う学校ベローネ(Verone)学院は
イタリア北部の都市ヴェローナ(Verona)に由来するかもしれません。
円形闘技場もあり戦いの場に相応しく、
シェークスピアの『ロミオとジュリエット』でも有名な都市です。
序盤から出てくる敵、歌舞伎役者のような顔と衣裳のピーサードは、
歌舞伎の語源である”傾く(かぶく)”から
傾いていることで有名な”ピサの斜塔”→ピサ塔が由来かも。
中盤から出てくる敵の名がイルクーボ、
イタリア語で il cupo は”暗闇”を意味します。
同じく中盤から出てくるキリヤの名前の由来は
Chi lì amerà?(誰がそこを愛しますか?)かもしれません。
そんな深読みをしてしまうほど、良く作り込まれた作品だと思います。