話は暴君ネロの治世下燃えるローマを舞台にキリスト教徒の娘リギアとロー
マ貴族の青年ウィニキウスの恋を描いたシェンキービッチの壮大で感動的な
歴史小説の映画化でかつてのハリウッド映画のリメイク・・・今回は作家の
故郷ポーランドの映画で役者もポーランド人である。
リメイクだとどうしても前作と比較してしまうがストーリーは原作に忠実に
しようとするあまり多少派手さに欠けるし分かりにくいかも・・・是非原作
を一読する事をすすめます。
相手の迷惑もなんのその、恋にまっしぐらに突き進む一途な青年貴族ウィニ
キウスとキリスト教徒の娘リギアの役は原作のイメージにぴったり・・・
特にリギアは初々しく可憐にして高貴な雰囲気を漂わせてヌードになっても全然卑しくならない犯しがたい気品がある、まさに春が具現化したよう・・
どこか悪魔的な性格のペトロニウスが彼女の為に一肌ぬいでしまうのも納得できる。
一方自身を含め人の生死すら気にしない氷のような心を持ったニヒリスト
にして「優雅の判定者」ペトロニウスは平凡で善悪を超越した悪魔的な魅力
というものがあまり感じられない。
暴君ネロにいたっては旧作のピーターユスチノフ演じるネロの圧倒的な存在
感にはとうてい及ばない。
ウィニキウスとリギアの恋もともかくネロとペトロニウスの丁丁発止とかけ
あう場面が面白いのに残念だ・・・
その辺はくどいようだが原作を読んで欲しい・・
(意外にインチキ哲学者キロンがおもしろかった・・・)
もう一つ欲を言うなら旧作の音楽を付けたミクロスローザのような荘厳で
華麗なサントラを付けて欲しかった・・
厳しい事を書いたけれどそれは期待が大きいからだと理解してください。
面白くて役に立つ・・・見るべき映画がここにある・・・